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ミャクミャク様とミシャグジ様 - 岡本太郎と諏訪信仰

 「いのちのかがやき君」と呼ばれていた大阪万博マスコットキャラクターの愛称が「ミャクミャク」に決まった。Twitterでは水色の身体に、目が複数開いた原始的な多細胞生物のようなデザインから「ミャクミャク様」と「様」付けで土着の神のような存在として呼ばれるようになった。一部では諏訪信仰の神「ミシャグジ」様を彷彿とさせるという声もみられた。

 大阪万博と言えば太陽の塔。太陽の塔と言えば芸術家の岡本太郎だ。「太陽の塔」内部の「生命の樹」「地底の太陽」のように、抽象的で力強い生命力を表現している。岡本太郎は縄文文化に厚く、火焔型土器を初めて見た際は「なんだこれは!」と強い感銘を受けたそうだ。

 「ミシャグジ」様は諏訪の土着神だと言われている。洩矢神と同一視されることもある。洩矢神は祭神であるタケミナカタ来訪以前から存在し、明治初期まで神長官を務めた守矢氏が祭っていた。また、諏訪地方には茅野市の縄文・石器時代の遺跡も多く分布し、土偶「縄文のビーナス」の存在や、八ヶ岳山域の黒曜石が東北でも見つかるなど、古代から文化が栄えていたと考えられている。

 岡本太郎は「万治の石仏」に感銘を受けるなど、40回近く諏訪を訪れており、昭和55年には御柱祭を見学。「オイ、縄文人が満ち満ちてるゾ」と興奮し、御柱に跨った際は「危ないから降りて」と言われても「死んで何が悪い。それが祭りだ」と悔しそうにしていたという。今年の御柱祭は新型コロナウイルス流行の影響で、急坂を御柱と乗った氏子が滑り降りる「木落とし」は中止されたものの、縄文の生命力は、令和の世までミャクミャクと受け継がれているのかもしれない。


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