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VRで空から日本を見ながら地理トーク!バーチャル巡検で感じた新たな体験学習の可能性 #空から日本を見る会 -VRChat


 ◆地図を囲んで地理トーク

 姫之宮ゆきえさんと、私、蘭茶三角は2021年3月5日夜、VR交流サービス「VRChat」で「空から日本を見る会」を開催した。VoxelKeiさんが国土地理院の標高データをもとに日本列島の地形を再現したワールド「JAPANELAND」を活用。VRユーザーが30人以上参加し、地形のモデルを囲んで地理トークを楽しんだ。
 VRChatは、ユーザー同士が場所を越えてアバター状態で空間を共有できるサービスだ。VRゴーグルを装着すると実際にその場にいるような感覚を得られる。ユーザーがワールドをアップロードすることもでき、デザインによっては実際にはできない体験も可能だ。
 VoxelKeiさんの「JAPANELAND」は、日本列島全域の標高データに、地域ごとの土地条件や土地利用を分類した情報を合わせて色分けすることで、衛星写真に近い見た目にしたワールドだ。標高を3倍に強調し、地形の起伏をわかりやすくしている。海を含めた日本全域が再現された実際に歩き回れる巨大な立体地図だ。
 VRで地形を見ることは対応している地図サービスでは可能だが、複数人で楽しむことは難しい。VRChatはユーザーが多くコミュニティが発達しているため、大勢で会話を楽しむことができる。今回は立体地図を組み合わせて、臨場感のある地理トークができた。

 ◆山の大きさや海の広さを体感

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↑VR立体地図「JAPANELAND」で開いた「空から日本を見る会」。時間になるとワールドには続々とユーザーが集まってきた。最初は各地に分散し、自分の出身地や、よく行く旅行先を見に行く参加者が多かった

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↑JAPANELANDワールドから各地のフォトグラメトリワールドへ飛ぶポータルと、VoxelKeiさん。ワールドの作り方や仕組みを聞き、各地のフォトグラメトリワールドのポータルを開いたり、地図そのものを観察したりした

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↑熊本県にある阿蘇カルデラを観察。霧島連山や鹿児島湾も回った。海底にある鬼界カルデラを「心の目」で観察し、南九州のカルデラ列に、巨大噴火の規模を感じた。九州中部から四国、近畿を通り、長野県にかけて伸びる中央構造線も観察し、地質現象の雄大さを実感した

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↑沖縄県南大東島の更に南にある無人島「沖大東島」を観察する参加者と、解説する姫之宮ゆきえさん(中央右)。かつては一企業が所有し、リンの採掘で栄えていたといい、国土の隅々にまで人が暮らしていた昔の様子に思いを馳せた

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↑日本最東端の南鳥島を探しに行った。小笠原諸島からはほとんど目標物が無い。VoxelKeiさんによると「太陽の方角は南で投影法はメルカトル図法」という。航海と同じく一定の角度を保てば着けるだろうと、参加者15人くらいでローラー作戦のように南鳥島のある方向へ進んだが発見はできなかった。これも地理の面白さだ

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↑北海道の東部にある野付半島を観察。海流が砂を堆積させて湿地帯になった特徴的な地形だ。根室海峡のすぐ東側には北方領土もあり、本土との距離感も体感。国後島や択捉島を見て「大きい」とびっくりする人もいた

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↑沖縄本島を囲む参加者。地形だけからも米軍の飛行場が確認でき、基地が占める土地の広さを確認できた。ニュースで取り上げられている社会問題もVRで体験できる可能性を感じた

 
 ◆バーチャル巡検に感じた体験学習の可能性
 JAPANELANDは各地点にそれぞれの現実の風景を、フォトグラメトリという手法で立体化したワールドへ移動するポータルが置かれている。立体地図で観察したあとに、擬似的に現地に赴くことが可能だ。地理に詳しいユーザーがいれば、自宅にいながら楽しく日本列島を旅することもできるかもしれない。
 やがてはそれぞれの分野に詳しい人をゲストに、地形や地質、災害など、テーマに沿って観察会を開いても面白いかもしれない。距離が離れている人間同士が同じ空間を共有し、現実では難しい風景を見ることは、地理だけでなく、宇宙やミクロの世界にも応用できるだろう。さまざまな分野で、VRしかできない体験学習を考えていきたい。

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