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すばらしき★映画パンフの世界 ⑤アキ・カウリスマキの映画パンフ(「マッチ工場の少女」メイン)

こんにちは!「アメリカン・ユートピア」でスーツ姿+裸足でパフォーマンスするデヴィッド・バーンさんに痺れまくって泣いて感動した平田でございます。(映画パンフは制作していなかったようです。かなしー・・)

今回はフィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキ監督の映画パンフをご紹介したいと思います。ぼくが敬愛する村上春樹氏、安西水丸氏はじめ著名人にもファンの多いカウリスマキ監督。

カウリスマキ作品のパンフの仕上がりは、どれも素晴らしく、今回、どのパンフを取り上げるか正直悩みました。。。とりわけ、近年の作品における大島依提亜氏のアートワークは、映画愛に満ちあふれ、デザインは細部まで徹底してこだわっており、鼻血が出るほど素晴らしいのですが、すでに紹介されている方が多いと思いますので割愛いたします。

今回は、最も密度の濃ゆ〜いパンフを選んでみました。

そのパンフとは・・・・・・

「マッチ工場の少女」でっす!

でっす、でっす。。

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1990年の作品です。日本で公開されたのは1991年3月。その時、ぼくは小学生でした。ですので、リアルタイムで見ておりません。

カウリスマキ映画のミューズ、カティ・オウティネンさんが主演。マッチ工場ではたらく少女演じるオウティネンさんに「これでもか!」と不幸が降りかかる映画です。不幸が重なりまくって、ついには笑ってしまうほどです。

早速、パンフを見ていきましょう〜!

表紙を開くと右側に本国のオリジナルポスター、左側にスチールです。マッチ工場の写真とすやすや眠っているオウティネンさんの寝顔。

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どーんより暗〜い、本国のポスター。陰鬱なトーンの中にクラシカルなフォント。1990年の映画?と疑ってしまうデザインです。でも、カッコイイ。

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目次!

ちょっと見て下さい、すごいボリュームと執筆陣ですっ!コラム、映画評だけで11個もありますよっ。とんでもない熱量。編集者の鼻息の荒さを感じます。ほかのカウリスマキ作品のパンフでもここまでのボリュームはございませんっ!目次がある時点ですごいことです。最近の映画パンフに目次はありません。

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辻邦生氏による硬質な映画評。手元の寄りのスチールが、カウリスマキ監督が敬愛するロベール・ブレッソン監督の映画とも重なり合い、神々しい雰囲気を醸し出す誌面です。

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カウリスマキ監督インタビュー。33歳の時のもの。

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三留まゆみさんにとるイラストのコラム。ワクワクする楽しい誌面です。

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見開きのオウティネンさん。無表情が良い表情。。くすんだ美術とフィルムの色合いがとても味わい深い。。

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解説と物語。手の平サイズのコンパクトなパンフなのですが、文字がぎっしり。でも読みやすい。

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カウリスマキ監督のプロフィール。グラサン姿のカウリスマキ監督が渋かっこいい。

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定番の採録シナリオ。細川直子さんというお名前、この時代の映画パンフでよくお見かけします。

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最後はスチールで締めております。

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可憐な花・・・うつくしい。

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裏表紙。ここでもオウティネンさん登場!オウティネン締め。

オウティネンさんのスチール写真がどれぐらい使われているのか、数えてみたところ、なんと23枚も使われていました。オウティネンさんファンにはたまらないですね。

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クレジット情報。これでもか!と最後の最後まで情報を詰め込んできます、しかも、さりげなく。。

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いや〜、すごい映画パンフですね。密度の濃さがお分かりいただけたでしょうか。古書店で見つけましたら即ゲットして欲しいパンフです。

ほかのカウリスマキ作品の映画パンフもご紹介したかったのですが、「マッチ工場の少女」だけで息切れしてしまいました・・・。すみません。

ぼくが所有しているカウリスマキ映画のパンフを、発行日順に表紙だけアップしたいと思います。どうぞ、お楽しみ下さい。

「真夜中の虹」

発行日:1990年9月1日/企画・発行:シネセゾン/デザイン:(株)アドス 

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「コントラクト・キラー」

発行日:1991年3月9日/発行権者:フランス映画社/デザイン:不明 

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「ラヴィ・ド・ボエーム」

発行日:1992年7月18日/企画・発行権者:シネセゾン/デザイン:アキタ・デザイン・カン

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「レニングラード★カウボーイズ モーゼに会う」

発行日:1994年7月23日/企画・発行:シネセゾン/デザイン:登モーゼンシュカ岡野(サイファ。)

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「愛しのタチアナ」

発行日:1995年2月11日/編集・発行:シネセゾン/アートディレクション:岡野登(サイファ。)

「愛しのタチアナ」は最高の映画です!右下は、オウティネンさんです。

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「浮き雲」

発行日:1997年7月19日/発行:ユーロスペース/AD+デザイン:辻修平

「浮き雲」は大好きな映画です!何回見ても発見があります。壁、小道具、随所にあしらわれた青色が作品を彩っています。パンフも基調色が青です。

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「白い花びら」

発行日:2000年6月24日/発行:ユーロスペース/デザイン:池田進吾(67)

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「過去のない男」

発行日:2003年3月15日/発行権者:ユーロスペース/デザイン:大島依提亜

ここから大島デザインの幕開けです!

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「街のあかり」

発行日:2007年7月7日/発行:ユーロスペース/デザイン:大島依提亜

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「ル・アーヴルの靴みがき」発行日:2012年4月28日/発行:ユーロスペース/デザイン:大島依提亜

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「希望のかなた」

発行日:2017年12月2日/発行権者:ユーロスペース/デザイン:大島依提亜

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駆け足で表紙だけご紹介しました〜。

ぼくが所有しているパンフで日本で公開されたカウリスマキ作品は網羅しているかと思うのですが、間違っていましたらご指摘ください。

初期の作品「カラマリ・ユニオン」「パラダイスの夕暮れ」「ハムレット・ゴーズ・ビジネス」「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」は日本で公開されているのですが、映画パンフが制作されたかどうかが不明確であります。もし、ご存じの方いらっしゃいましたら、お教え頂けますでしょうか。

5回にわたってご紹介してきました「すばらしき★映画パンフの世界」いかがでしたか?今回が最終回となります。noteでの連載がきっかけで、あらためて映画パンフを向き合うことができて、充実した数ヶ月でした。

ご覧いただきまして、ありがとうございました!

また、いつの日かお会いしましょう!

平田陽亮




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