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シティポップチャンネルその5 / 70'sのシティポップ創世記について


こんにちは。今回もシティポップについて触れていきたいと思います。

前回お話しさせて頂いた西海岸系シティポップで、山下達郎さんと大瀧詠一さんの名前を挙げました。

でもそれは、この人達の音楽でシティポップを感じる曲は少ないというお話しです。

個人的には、角松敏生さんの「AFTER 5 CLASH」や、杏里さん「WINDY SUMMER」などのエレクトロなファンクサウンドを感じる楽曲がシティポップであると考えております。

山下達郎さんで考えると、ロックバンドのスタイルなので、あまりエレクトロな印象はありません。

ですが、何故「KING OF CITY POP」と呼ばれるのか。。

それは、シティポップの基盤である「メロウなグルーヴ感」を感じることが出来る楽曲を70年代に生み出している事が関係しております。

この70年代は、フォークと歌謡曲が売れていた時代から、一気にポップスへと時代が変わる過渡期でありました。

そして、70年代の後半にシティポップと呼ばれる音楽が続々と誕生してきます。いわゆるシティポップ創世記です。

この創世記のサウンドの特徴は、メロウなグルーヴ感とライトな音色で「都会的な雰囲気を持つサウンド」を生み出しています。

このサウンドがのちに80`sの重厚感を感じるサウンドへ繋がっていきます。前述の通り、まさにシティポップの基盤となったサウンドなのです。

では、メロウなグルーヴ感とライトな音色とはどういった曲なのか、ご紹介していきたいと思います。

まずは、山下達郎さんからです。

1.山下達郎 - Love Space  (1977)

2ndアルバム"SPACY"の代表的な楽曲であるLove Spaceです。Spaceと言いながらも、夜の都会の景色が浮かんでしまう名曲であります。その曲のサウンドを聴いて頂けると分かると思いますが、まさにメロウなグルーヴ感とライトな音色で、シティポップを感じられる音色です。

余談ですが、この曲に関わってくるリズム隊がこの3名。

村上“PONTA”秀一:Dr
細野晴臣:Bass
松木恒秀:E・Gr(Right)

豪華すぎるメンバー。。

2.サディスティックス - The Tokyo Taste  (1977)

こちらも77年の楽曲。元々サディスティック・ミカ・バンドのバックメンバーだった高橋幸宏さん、高中正義さん、後藤次利さん、今井裕さんのグループ。

この曲もライトな印象ですが、しっかりと都会を感じるグルーヴがあります。この曲を歌っている女性歌手は以前ご紹介したラジさんです。

3.吉田美奈子 - 恋は流星  (1977)

またまたこちらも77年。(シティポップ豊作の年ですね。)

今となってはシティポップ界隈で有名すぎる楽曲ですが、こちらも70年代のシティポップ創世記に生まれた曲であります。

先ほどのLove Spaceと雰囲気が似ておりますが、それは山下達郎さんがこの曲のプロデュースとアレンジを行っているからなんです。

吉田美奈子&山下達郎は、70年代~80年代初期はお互いの楽曲によく参加している黄金コンビでご活躍されていました。


4. シュガー・ベイブ - 蜃気楼の街 (1975)

恐らくシティポップの始まりはこのアルバム「SONGS」と言われています。もはやこのアルバムはJ-POPの歴史においても名盤として位置づけられていますが、当時は7,000枚くらいしか売れなかったようです。

始まりと言われていますが、サウンドのクオリティーはとても高いです。個人的にシティポップ感が強い「蜃気楼の街」がオススメです。

この曲を聴きながら都市を徘徊するととても気持ちいいと思います。


5. 惣領智子 - City Lights by the Moonlight (1977)

個人的に70'sのシティポップで一番好きな曲かもしれません。

70年代前半に米国で活動し、ポール・マッカートニーから楽曲提供を受けたグループ:ブラウンライスのシンガーだった惣領智子さん。セカンド・ソロ・アルバムのタイトル曲でもあります。

大人の色気が漂いながら、演奏が軽やかな印象があります。


以上、70`sのシティポップの楽曲を5つご紹介させて頂きました。ライトな音色というキーワードが何となく分かって頂けたのではないでしょうか。

80`sはエレクトロも増してくるので、よりゴージャスに、よりシティポップ感が強い印象がありますが、70`sのライトなサウンドもとても良いですね。

70'sと80'sで好みが分かれることもありそうですが、いずれにしろ華やかさが伝わる良い時代と感じてしまいます。

様々な名曲が生まれた1977年にタイムスリップしてみたいものです。


また、山下達郎さんが「KING OF CITY POP」と呼ばれているのか分かって頂けたと思います。

1982年のアルバム「For You」以降から方向性が徐々に変わり、年齢とともに更に深みを増していくのですが、まだ大ヒット曲が出る前の70`sの頃は、シティポップの基盤となるFunk,Jazz Fusionを存分に使った楽曲が多いです。そしてシティポップと呼ばれる曲たちに沢山関わっている事がKINGと呼ばれるようになったのではないでしょうか。


70'sのPOPSとしてもバラエティに富んだ作品が多いので、ぜひ、色々と聴いてみてください。



シノハラ








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