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海辺でパンを食べたら欲望が消滅した

「海辺でパンを食べたいな♪」と思ったので実行しました。
夏が終わってしまう前に海を見たかったのです。ゆっくりと波を眺めながらチルしたいと思いました。
そして最高の時間にはおいしいものをペアリングするというのが私の信条です。
近頃どうにも「パンを思いっきり食べたい」という気持ちが収まらなかったので、おともにパンを選択しました。

かくして、「海辺でパンを食べる」という企画が爆誕しました。


えっちらおっちら遠出して、目的の海までやってきました。そしてパン屋さんでパンを食べられるだけ購入しました。計3つ。どれもおいしそうで選ぶのが大変だった。

さて、砂浜に着きました。
汚れてもいい服を着てきたので、座れる場所にどかっと座ります。
いつからでしょうか……公園のブランコに座ることすら尻込みするようになってしまいました。小学生の頃はブランコを漕いで思いっきり遊んだあと、そのスカートをはいたまま自宅のクッションの上にも座っていたはずなのに。

朝ごはんは早朝に済ませてきたのでおなかはぺこぺこでした。しかもその状態で歩き詰め。パンを食べる準備はとうに整っている。

パン・オ・ショコラ

フランス人のYoutuberが食べていたのを見てから無性に食べたくてしょうがなかったパン・オ・ショコラをかじりました。パリパリパリ! とクロワッサン生地が割れていきます。こぼさないように、「弱」の掃除機みたいに口でスーッと息を吸いながら慎重に食べます。
ミルキーなバターの香りが幸福を誘う。チョコ部分をかじると……おもわず笑みがこぼれます。うますぎる。塩気とバターのコクに絡み合う、チョコレートの香りと甘み。なんてご馳走。

3種類のパンをゆっくりと大切に時間をかけて味わいました。
「パンとか無限に食えるわ」と思っていたのですが、3つだけで充足感がありました。(でも、食べようと思えばあと1個はいける……)
普段は粗食なので、久しぶりのまとまった量の脂と甘みで、ちょっと胸やけすらしました。弱くなったものだ。

そして、ここ数日悶々と抱いていた「ミスド爆食いしたい」「宅配ピザ頼んじゃおうかなぁ」「マック行きたい」……という気持ちがスゥッと消えたのです。

予定では、帰りにサイゼリヤで昼食をとる予定でした。しかし、その欲も消えました。
前日の夜は「ピザとチキンで豪遊じゃ。明日は食うで~」とか思っていたのに。

たぶん、小麦の欲が満たされたのだと思います。
代わりにあっさりシンプル醤油味のなにかを食べたくなりました。波の音を楽しみつつ、手元のスマートフォンで「ホタテ焼き」と検索しました。

それに、パンを3つもたいらげたら元気が湧いてきました。
公園に来たときはおなかがすいていて「歩くのしんどいな」と思っていたのに、どこまでも歩けそうな気がしてきます。頭の中に「レンバス」という言葉が浮かんできます。(ひとつ食べるだけでどこまでも歩ける、トールキンの作品に出てくるエルフの携行食品)

すぐ帰るのもなんなので、しばらくのんびりと砂浜を散策することにしました。
歩いて、立ち止まって、海を見て、音と匂いをこれでもかと味わう。忘れないように、なんなら飽きてほしくて、一生懸命味わいました。
飽きることはなかった。

海って意外とエンターテイメント性があるんですよね。波のようすが時間経過でゆっくり変わる。激しくなったり凪いだり、満ちたり引いたり。
あと海鳥がめっちゃ喧嘩していたりする。


食べたくてしょうがなかったものを、静かですてきな場所でゆっくり食べると、だいぶ気持ちが落ち着くかもしれません。
海でも、山でも、ベランダで星を見ながらでも。


しかし2日後、欲望は復活しました。でも、見境ない感じはなくなった気がします。

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