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阿佐ヶ谷ジャズストリート

【療養日記2023 10月21日(土)】

 今日の日記を書く前に昨日書いた「禁煙の話」に自分にとってはいつも以上に「いいね」をいただいたことに驚き感謝の念が絶えません。お読みいただいて本当にありがとうございました。

 近いうちに今度は「禁酒の話」で日記を書く事にします(半マジ)。

 今日は体調の悪いのを押してでも出かけたくなるような好天だったので朝から出かける事にした。目的地は三鷹、前々よりずっと行ってみたかった場所があった。それはただの跨線橋だ。三鷹跨線人道橋という人が通る為の橋だがかなり古い橋で作られてから90年以上。かつて三鷹に住んでいた太宰治も好んで訪れていたという話をキン・シオタニが番組か何かで言っていた。吉祥寺在住のキンシオは頻繁に遊びにくるらしい。

 晴れの日は富士山が見え、夕暮れ時、日没後とそれぞれの顔を持つこの橋が今年中に撤去されるという話を聞いて行ってみることにした。

 実は去年の秋も車で三鷹まで行こうとしたものの渋滞が激しくて途中で断念した痛い思い出がある。その後は半ば諦めていたのだが今年中に解体されるというニュースを新たに耳にしてやっぱり何がなんでも見ておこうと思っていた。ところがこのところの体調不良でどうにも出かけることもできなかった。今日は行けるだろうと思ったので予定を立てて行ってみることに。

 東海道線沿線に住んでいると総武線や東北線、高崎線ほど中央線の沿線には馴染みがない。そんなわけで三鷹まではどう行くのか検索。湘南新宿ラインで新宿まで行き新宿からは中央線が最速らしい。

 ここにもう一つ横浜市民には全然馴染みではない中央線のルールがある。土日は快速電車が一部の駅には止まらない(西荻窪、阿佐ヶ谷、高円寺など)。このルール自体は僕が子供の頃にはすでにあったがそれが今だに残っていることは知る由もなかった。これらの駅に週末行きたい場合は黄色い電車に乗らないといけない。逆の意味でわかりやすいのかも。

 また中央線には快速だの特快だの青梅特快だのといろんな種類の電車があって乗り間違えると降りられなくなることもあり、なんとも煩雑で面倒臭い、面倒臭い=利用を控えたいという図式が出来上がり尚のこと中央線沿線は敬遠してしまう。

 新宿で乗り換えて三鷹に着いたのは11時過ぎくらいのこと。駅を降りると線路沿いに国立方面に向かい500メートルほど歩くと確かに目立つ鉄の橋が見えてきた。

三鷹跨線人道橋

 撤去というニュースを聞きつけてなのか、それとも日頃から親しまれているのか橋の上には大勢の人がいて、特に子供連れが目立った。お目当ては跨線橋から見下ろす中央線の電車と、跨線橋の真下にある電車基地だ。特に特急列車が橋の下を通過するときは子供は大喜びだ。

わんこ連れてきて正解
階段のいちばん上の段に並ばせて下から撮影
下を中央線の電車が豪快に走る
橋から電車基地も見えるので子供は大喜び

 跨線橋でたくさん写真を撮ると三鷹での用事は終わる。子供の頃は親戚の叔母さんが文房具屋を開いていたので良く遊びに行った三鷹だ。駅に戻る途中で玉川上水の横を通るのてそこでちょっと休んで次の目的地の吉祥寺へ。

 吉祥寺なんて場所は最後に来たのがいつだったのかさえ覚えていないくらい、もともと吉祥寺のノリは苦手で避けていた場所。今日は井の頭公園に行くために来たが吉祥寺の町そのものには間違っても行かない。

 天気も良かったので井の頭公園は大正解。わんこの散歩をさせるのにもとてもよい日だった。井の頭公園には自分が小学校に上がる前に一度来ただけで以後来ることはなかった。後にわんこを飼うようになってから公園としての評判はよく耳にしてはいたが吉祥寺がネックになっていてこれまでも行くことはなかった。

一度わんこを連れて来たかった井の頭公園

 今日も三鷹の跨線橋を見に行くついでに行ってみたというのが正直なところだが、

井の頭公園ってやっぱり評判通りだ。

 とつくづく思った次第だ。とにかく広くて気持ちの良い公園だった。しかし難点もある。それは、

自転車が怖すぎる。

 とにかく自転車の数が多いし、道のどちら側関係なく突っ走ってくるし、カーブで曲がりきれずに突っ込んで来るしで、自転車が怖すぎだ。公園利用者の共通の敵は自転車。これは断言できる。

 カナダのトロントにはトロントアイランドという島があり、島全体が公園だ。ここでは自転車は暴走できないようゆっくりとしか走れない構造の自転車をレンタルしていてまず歩行者がヒヤヒヤするようなことはない。同じ中央線沿線の昭和記念公園も自転車はレンタルでさらに専用道しか走れない。井の頭公園も何らかの策を講じる必要はあると思う。

池の畔はとにかく絵になる。
紅葉の季節はもっとすごいに違いない。

 公園内の池の外周を歩いたが日陰も多く雰囲気はまさにシカゴの往年の名曲、”Saturday in the Park” そのもの。頭の中で何度もあの軽快なピアノのイントロがリフレインする。

 コンビニで買って来たサンドイッチをベンチに座って食べたり、池の畔にあるタイ料理の店でお茶を飲んだりと色々と楽しめる。何よりのんびりしていてわんこと散歩しているだけでも気分も良くなる。

 少し陽が翳るくらいまで井の頭公園で散歩を楽しみあとはほぼ駆け足状態で吉祥寺の駅まで戻る。吉祥寺はやっぱり嫌いだ。

 電車に乗って次に向かったのは阿佐ヶ谷。これまで阿佐ヶ谷という場所は車で通っただけで歩いたことがなかった。アーケード商店街があるのでせっかくの機会だし行ってみようと思い立った。そのくらい何かの縁でもない限り横浜市民は中野区や杉並区とは縁がない。

 駅の外に出ると南口の広場でライブをしているのを目にする。のっけから楽しそうな雰囲気に出迎えられる。阿佐ヶ谷は毎年10月下旬に「阿佐ヶ谷ジャズストリート」というイベントが開かれ、あちこちでライブが開かれるということを聞いただけでもワクワクする。

 南口から続いている阿佐ヶ谷パールセンターというアーケード商店街からその先南阿佐ヶ谷駅へ続くすずらん通りにかけて散発的に路上やお店の中でライブが行われている。その様子たるやあちらこちらで同時進行していてジャンルもアコギ主体のブルーグラス、デキシーランドジャスから高校生のブラバンによるビッグバンドに至るまでジャズを堪能させてもらえる。通りを歩いていると至る所から演奏が聞こえてくる。

 その様子は昔日曜日にハバナの旧市街を歩き回っていた時に街中のカフェやレストランがそれぞれライブをやっていて通りを歩いているとあちこちからその演奏が聞こえて来たのと良く似ていた。

 そんなことを思い出しながら下町風情とジャズが一体化した阿佐ヶ谷の街を歩いた。文句なく楽しかった。ジャズ主体なので聴く側もおとなしくビールを片手に聴き入っている人が多く、悪ノリしている者など誰もいなかったのが好印象だった。

足が止まって聴き入ってしまう演奏が多かった

 スマホで「阿佐ヶ谷」と入力するとその次候補の筆頭に「姉妹」という言葉が出てくるくらい(最近のデフォルトはおそらくそう出る)にこれまで縁がなかった阿佐ヶ谷だったけどこのイベントのおかげですっかり好きになった。

 同じ中央線沿線でもこれまで誤解して近寄らなかったけどいい街だった高円寺、やっぱり好きになれない吉祥寺、そして思いもよらぬ楽しみのあった阿佐ヶ谷といろんな顔を持つ街が駅ごとにあるのは正直羨ましい。この他にも中野、荻窪、国立とやはり駅ごとに特徴のある街があると思うと中央線沿線はもっと早くから知っておくべきだったなと思った。阿佐ヶ谷ジャズストリートにはまた来年も行ってみたい■

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