半開きの口でアンニュイに
牛舎作業中に飲むペットボトルの蓋に最近名前を書くようになった。
以前は身体のために飲み物は常温と決めて飲んでいたのだけど毎日こうも暑いと流石に冷えた飲み物を欲してしまう、「常温と決めていた」などと偉そうに言っていたが、所詮暑さの前では私の意思なんてゆるゆるのドロドロ、そんなもんだ。
そうそう、なぜ名前を書くようになったのかというとペットボトルを冷蔵庫に入れるようになったので、一緒に入れる旦那の飲み物と区別したいからだ。
私はペットボトルには一切口を触れずに飲む方式を採用している。というのも、私は一本のペットボトルを結構な時間をかけて消費するタイプなので雑菌などが繁殖してもらっては困るからだ。
ある日、名前を明記しておいたのにも関わらず、旦那が私のペットボトルを飲んだ形跡があった。何故その犯行を知ったのか説明しよう。
旦那はペットボトルをまるでウィダーインゼリーを飲むかの如く、飲み口をすっぽり咥えて口腔内を陰圧にしてペットボトルを凹ませながらゴッキュゴッキュ飲むのだ、それなので、私が冷蔵庫を開けていざ自分の名前が記されたペットボトルを取り出したところ、その透明なボディがベッコリと凹んでいるのを目撃したというわけだ。
あまりのショックと怒りで、搾乳中の旦那のところまでかけより、なんてデリカシーの無い行動かと責め立てた。
冷蔵庫に飲み物を入れるのは私と旦那だけなので、なにも名前じゃなくても○でも♡でも何か印がある方が私のペットボトルだという事で良いのだろうけど、やはりそこはしっかりと本名を明記する事で、より確固たる所有権を行使出来るというか、言い逃れをする余地を与えないというか、とにかく絶対の絶対に私以外に触れて欲しくないという固い意思表示なのだ。
そうそう、ペットボトルの飲み口に一切口を触れずに飲むというのは案外難しい、最初の一口目なんかはほぼ100%目測を誤る。
初手は注がれる液体を間抜けな受け口で待ち構えるが、勢い余って口の脇から溢れたり、鼻の穴から逆流してきたりする。それでも飲むのはお茶か無糖の炭酸水なので多少溢れようと不快感はほとんど無い、再度飲む時は液体が飲み口に到達するまで多少の時間的余裕があるので間抜けな受け口にならなくとも、ほんのり口を開いたアンニュイな表情で水を受け入れられる。
オバサンの口が半開きになったアンニュイな表情なんて想像したくも無いだろうが、これは例えオジサンがやったとしてもこうなるのだから仕方ない。雑菌が増える脅威よりマシだろう。
そろそろ何が言いたいのかわからなくなってきたが、兎に角大切なのはデリカシーとアイデンティティということ。
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