現代の日本における幸福
幸福になりたい。
さて、皆さんは幸福ですか?
幸福とは、古代ギリシャの哲学者エピクロスによると、「苦しんだり恐怖をいだいたりすることがない状態」とのこと。
・まずは、お腹がすいたり暑い寒いという肉体的な苦しみがない状態。
・次に、恐怖や不安、欲望にとらわれていない、心が平静である状態。
エピクロスによると、心身ともにこれらを満たすと我々は幸福であるらしい。
つまり、何かが手に入った状態でなく、マイナスなことを避けた状態が幸福ということだ。
これって、今は手に入っているのではないか…?
現代における肉体的な苦しみ
現代の日本に生きていて、お腹が空いたという苦しみはほとんどないのではないだろうか。
実際に、食糧の不足で死亡する、いわゆる餓死者は年間で15人だという(厚労省『人口動態統計』2016年)。15人もいることが驚きだが…。
日本の食品ロス(食べられるのに捨てている)の量は年間で643万トン(2016年環境省資料)ある。
この数字が多いんだか少ないんだかよく分からないが、日本人1人当たりが毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てているくらいの量らしい。
普通に生きていれば、食べ過ぎることはあっても食べ物がなくて苦しむことはなさそうだ。
次に、暑い寒いという苦しみについては、エアコンが見事に解決してくれる。
エアコンがどのくらい普及しているかについては、調べるのがそろそろ面倒なので割愛する。
古代ギリシャと違い、お腹が空いたり、暑い寒いという肉体的な苦しみは日本に普通に生きていれば解決されている。
変わりに増えた肉体的苦しみは、アレルギー、肥満などだろうか。
筆者は肥満については問題ないが、アレルギーには悩まされている。
アトピーなどの体の謎の炎症、痒みに苦しんでいる。
こうしたアトピーや花粉症等のアレルギーは1970年くらいから急激に増え始めて、今では国民の3人に1人が何らかのアレルギー症状がある状況のようだ。
アレルギーと肥満を何とかしない限り、肉体的な苦しみから自由になれないようだ。
現代における精神的な苦しみ
恐怖については、現代は人類の歴史上初めてかもしれない、戦争がない時代を迎えている。日本は世界でもトップクラスの安全な国とも言われているので、日常的に恐怖はほとんど感じないのではないか。
問題は不安だと思う。資本主義社会に生きているためなのか分からないが、毎日不安はつきない。不安から解放される時が来るとしたらおそらく唯一といっていいかもしれない、生涯使いきれないほどのお金を手に入れた時ではないだろうか。あるいは、生涯お金を生み出し続けてくれるシステムを手に入れたときもそうだろう。稼ぎのいいパートナーと結婚した専業主婦(主夫)は不安から解放されているのではないか。
エピクロスはまた、欲望にとらわれてもいけないと言う。これはどういうことかというと、例えば生きるのに十分なお金や物があるのに、もっともっとと欲望のままに際限なく求めてしまうようなこと。資本主義社会において、企業はユーザーに消費を促さなければ成り立たない。毎日のようにお金を使って消費すれば幸せになれると、企業は広告を打つ。
こういった広告に囲まれた世の中で、欲望にとらわれずに生きるのは至難の業だろう。
さらには、企業は巧みに我々を意図的に依存させる罠も仕掛けてくる。
現代の日本における苦しみのまとめ
簡単に我々の置かれている整理する。
<肉体的な苦しみの代表例>
・アレルギー
・肥満
<精神的な苦しみの代表例>
・お金に関する不安
・(主に広告から生まれる)過剰な欲望
・依存症
<ほぼ解決している苦しみ)
・空腹
・暑い寒い
・危険に対する恐怖
こうしてまとめてみると、古代ギリシャの時代と比べて良くなっているのだろうかと少し疑問に思えてくる。狩猟採集民のころの方が幸せだったという説もあるくらいに、我々は現代においてあまり幸福を感じていない。
これから、現代における苦しみをそれぞれ具体的に見ていき、解決策を探っていこう。
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