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深読み:生まれ変わる

ケルト神話に「トゥアタ・デー・ダナンの神話」があります。エーダインという美しい女性が、神ミディルの妃となるのですが、一番目の妻ファムナハがその様子に嫉妬し、魔法でエーダインを水たまりに変えてしまいます。水たまりになったエーダインは、毛虫に変わり、やがて紫の蝶に姿を変えました。蝶のエーダインは、王宮から追い払われ、嵐によって吹き流されます。1エーダルという王女が飲もうとしていた盃の中に入り、飲み込まれてしまいます。子宮に入り、エーダルの娘エーダインとして生まれ変わります。エーダインは、人間の王であるエオヒドの妃となります。ところが、再び神ミディルがエーダインにアプローチしてきます。エーダインは再度ミディルから口説かれるのですが、彼女には記憶がなくなっていました。エーダインをめぐり、神ミディルと人間王エオヒドが知恵比べをし、結果、エーダインのうほうから王エオヒドを選ぶという結末になりました。
このケルト神話では、エーダインが、蝶になり、その後、人間の娘として生まれ変ります。生まれ変わりの思想は、仏教で言われる輪廻転生であり、もとを辿れば、ヒンドゥ教の生と死のサイクル(サムサーラ)です。そのような思想は、実は、ヒンドゥ教だけに見られるのではなく、ケルトをはじめ、古代世界には広くみられるそうです。

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