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OpenAI最高執行責任者が語る:66億ドルの使途、アップル、マイクロソフトとの連携と住み分け


 OpenAIのCOO(最高執行責任者)であるブラッド・ライトキャップ氏を迎えてのCNBCインタビューです。今回調達した66億ドルの使い道やアップルやマイクロソフトとのパートナーシップについての質問討議です。Apple Intelligenceと連携するサービスが提供予定の中で、OpenAIの有償サービスにお金を支払い続ける理由はあるのか、iPhoneのようなデバイスと蜜に連携することでユーザー体験はどう変わるのかなど、OpenAIの考える今後のAIサービスに触れられています。




1. インタビュー

(1)調達資金の使途


[デヴィッド・フェイバー](CNBC)

 CNBCの独占インタビューにお越しいただきありがとうございます。
OpenAIのCOO(最高執行責任者)のブラッド・ライトキャップさんです。
ブラッドさん、お会いできて光栄です。

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 こちらこそ、お会いできて嬉しいです。
 

[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 さて、66億ドルが入ってきます。何に使いますか?

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 成長のために利用します。AIについての非常に素晴らしいものの一つは、私たちが研究やビジネスにおいて極めて予測可能な形で投資することができることです。現在、モデルのスケールを拡大することでどのように性能が向上するか、科学的に証明できるようになっています。そのため、構築するシステムやトレーニングするモデルごとに、そのモデルがどのような能力や影響を持つかを予測することが可能となっています。そして、この予測可能性が、私たちが自信を持って投資を継続できる理由となっています。

[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 その投資は、ほとんどチームのためですか?つまり、人件費ですか?
 

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 主にコンピューティング・リソースになると思います。モデルの稼働にはコンピューティング・リソースの投入が必要で、一番大きな要素になります。もちろん、私たちはチームを慎重に拡大を進めていますが、最も重要なのは、予測可能な投資を継続することにあり、必ずその投資の結果として以前よりも明らかに優れた結果を得られるという確信を持てる必要があります。
 

[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 ニューヨークにオフィスを開設することもチームに対する投資の一環ですか?
 

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 はい、その通りです。
 

[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 なぜですか?
 

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 ここニューヨークには、出版社、金融サービス、ヘルスケアなどのパートナー企業が集まっており、重要な拠点となっています。ニューヨークは依然として、AIの影響を大きく受けると考えられる産業の中心地です。私たちは顧客いる場所に身を置きたいと考えており、顧客や企業との協業は、非常に実践的プロセスであり、顧客の近くにいることで、解決すべきビジネスの課題をより深く理解できるようになります。特に金融サービスなど、多様な企業との連携を進めていますし、私たちにとって重要なのは、課題を捉えている顧客の視点で、私たちがそれらの課題を理解することです。


(2)アップルから得られるもの


[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 さて、COOとして多岐にわたる業務を担当されている中でも、特にパートナーシップについて重要な役割を果たされていると伺っています。そこでまずはアップルとの関係についてお伺いしたいと思います。アップルとの協力がOpenAIにとってどのような意味を持ち、アップル側はどのようなメリットを期待しているのか、教えていただけますか?
 

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 アップルは本当に素晴らしい企業で、Apple Intelligenceに関わることができて、とても興奮しています。これが最初の一歩ですが、両社にとって大きな一歩だと思っています。我々のAIがデバイスに統合されるのは初めてのことですので、非常に重要なステップと考えています。
 これまでのAIの使い方を振り返ると、主にアプリやシンプルなサービスを通じて利用されてきました。しかし今回のパートナーシップによって、デバイス上で本当に興味深いことができるようになります。たとえば、カメラで写真を撮ると、ChatGPTがその画像の内容を理解することができます。ChatGPTのを毎週利用する2億5千万人の消費者にとっても、非常に大きな価値が生まれると思し、彼らにとってはデバイス利用の新たな体験を届けることになると思います。
 

[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 経済面からの質問ですが、確かにOpenAIの売上は急激に成長していますが、プライベート投資家は利益率にもちろん注目していると思います。アップルとのパートナーシップによってどのような経済的なメリットを得るのでしょうか? Google検索のようにGoogleがアップルに毎年莫大な金額を支払うような関係ではないと思いますが?
 

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 その通りです。私たちが考えているのは自社のプロダクトのことです。AIが提供する最高のユーザー体験がどのような形になるかは、まだ手探りなところが多いのです。実際、今はまだ作り上げていく段階にいると思います。先日、チームにも話したのですが、今はテクノロジーの歴史の中でも最もダイナミックな時期にあり、プロダクトを作る上ではまさに「フェーズシフト」のような転換点にいると感じています。今までのソフトウェアの在り方が、これからまったく新しい形に変わる時代の始まりに立っているんです。
 ですから、この新しいフロンティアを探求しながら、デバイスと人間らしい形でやり取りできるようになることが何を意味するのか、まだその答えを見つけている途中で、まさに今、私たちはそのプロセスの中にいるのです。
 

[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 それは理解できるんですが、例えば、私は毎月20ドルを貴社にお支払いしているのです。個人的に非常に満足していますが、もしApple Intelligenceがこのスマホに搭載されたら、引き続いて20ドルを支払い続ける価値はあるのでしょうか?

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 はい、そう思います。AIに任せたい作業は、さまざまなレベルがあります。シンプルな作業はデバイス上で完結するかもしれませんが、複雑で大規模な作業については、もっと強力なモデルに任せたいと思うはずです。
 たとえば、最近「o1」という新しいモデルをリリースしましたが、これは従来のGPT-3やGPT-4とは異なるタイプのモデルです。o1は、実際に「推論」ができる初めてのモデルです。つまり、問題を考え、それをいくつかのステップに分解して解決する能力を持っています。例えば、AIに「旅行の計画を手伝ってほしい」と依頼すると、その背後には複数のタスクが含まれています。そのような複雑な作業は、より高度な知能を持つモデルに任せる必要があります。私たちはそのような体験の実現を目指しています。

[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 それでは、Apple Intelligenceとは少し異なる部分で、GPTの有料版に適している内容については、有償版を使うことになるのでしょうね。
例えば、アップルの株を持っている方は、デバイスやアプリとのやり取りをどのような体験に変えるのかを気にされると思いますが、どうお考えですか?大きな変化は起こるのでしょうか?
 

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 変化すると思います。インターフェースは今後、より人間らしく、インタラクティブなものに進化していくと思います。たぶんご存知かと思いますが、ChatGPTでは最近、音声モードが導入されました。これにより、まるで今私たちが話しているように、自然に会話できるシステムが初めて実現しました。途中で会話を中断したり、冗談を言わせたり、もっと真面目なトーンにすることもできます。
 こういったインターフェースが今後の標準になるでしょう。数年後には、画面に向かって話しかけることができない状況がむしろ珍しいと感じるようになると思います。そして、その場で非常に複雑なことを頼むのも普通になるでしょう。今はまだその始まりに過ぎませんが、私たちはこの未来に非常にワクワクしています。
 

[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 もう一度質問しますね。Siriとの会話のような体験を考えているのですが、Siriがあっても、ChatGPTが不要になることはないと考えていますか?
 

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 そのようなものが至る所に広がると考えています。
 

[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 本当にそう思いますか?
 

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 はい。もちろんです。
 


(3)マイクロソフトの存在


[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 マイクロソフトとのパートナーシップについては、いかがでしょうか?
 

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 OpenAIは成長しています。私たちは、ビジネスとしても成長しなければなりません。現在、我々は極めて複雑なインフラとは極めて複雑なシステムを抱えており、毎週2億5,000万人以上のユーザーと数多くの企業にサービスを提供しています。その中には100万以上のビジネスユーザーも含まれており、そのため、私たちが特に焦点を当てて考えているのは、研究の最前線を走り続けるためにどのような体制を整え続けるか、ということで、このことについて深く検討を行っています。
 

[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 ですが、マイクロソフトはその中でどう関わってくるのですか?私の質問は、彼らの役割についてだったので、その点について詳しく教えていただけますか?
 

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 彼らは両面で素晴らしいパートナーになると思います。研究投資やインフラ拡張、システムのスケールアップにおいて非常に重要な役割を果たすと考えています。また、製品開発や市場展開においても、非常に興味深いコラボレーションの形があると思っています。
 

[デヴィッド・フェイバー](CNBC)
 ところで、マイクロソフトのコンピューティング・リソースは十分なのでしょうか? 夏には、オラクルとも契約も結んでいましたが、あれはマイクロソフトのコンピューティング・リソースが足りなくなってきたからですか?
 

[ブラッド・ライトキャップ](OpenAI)
 まさに私たちには多くのコンピューティング・リソースが必要だと考えています。そのため、インフラ全体を見直し、どこで私たちがモデルをスケールアップする最適なシステムを見つけられるかを検討しています。この点については、計画も立てており、マイクロソフトがその重要な存在になると考えています。
 



2. オリジナル・コンテンツ

 オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。

Bloomberg Televisionより
(Original Published date : 2024/10/5 EST)




[出演]
  OpenAI
    ブラッド・ライトキャップ(Brad Lightcap)
    COO

  CNBC
    デヴィッド・フェイバー(David Faber)



3. 関連コンテンツ




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だうじょん


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