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8/6「市場の安定には円の安定化が必要」この相場感の中で前向きに取り組む


 米国退役軍人が所有・運営する投資銀行「Academy Security社」がマクロ戦略部門のヘッドへのインタビュー&マーケットについてのディスカッション・コンテンツです(収録日:米国時間8月6日)。
 荒れ気味の続く相場の中で、何をリスクとしてとらえ、何を投資機会としてとらえているか、米国マーケットに直接参加している投資銀行の市場の見立てを参考情報として紹介します。どちらかといえば、アクティブな投資家向けの情報となりますが、よろしければご参考下さい。

[主なトピックス]

  • 今回の市場の混乱は、弱い経済指標、モメンタム・トレードの崩壊、円キャリートレード、株の買われ過ぎによるもの。現在、確かな市場の底打ち感はない

  • ボラティリティトレードが人気で、こだわっている投資家が多く存在する。ビットコインやQQQは高値を更新できず、安値切り下げており危険を感じる。

  • 中国株(iShares ETF「FIX」)に注目。コモディティには注視せず、地政学リスクから石油株に関心

  • 利下げは9月に25BP。FRBと市場の利下げ期待にズレ

※ Academy Security社について
 2009年に設立された退役軍人所有・運営の投資銀行。債券および株式、コモディティを含む資本市場での資産運用と公共金融を独自視点の投資戦略でサービスを提供。




(1)インタビュー&ディスカッション


[オリバー・レニック](Schwab Network)
 
アカデミー・セキュリティのマクロストラテジーのヘッドを務めるピーターと一緒に、市場の分析を行います。

  ピーター、本日の市場は底値からは回復しましたが、最高値からも離れています。本日の市場の成績をつけるとしたら、Fでしょうか、Dでしょうか、それともDマイナスでしょうか?
底値を維持できたならば、どうでしょう?


[ピーター・チール](Academy Security)
 そうですね、Dマイナスかもしれませんが、さらに低い水準に向かう可能性が高いと思います。今晩反発するかどうかですが、日本が円高を抑えるために何か発言する可能性もあります。それで市場が少し落ち着くかもしれませんが、実際のところ、さまざまな要因が組み合わさった結果だと思います。

 円キャリートレードは一部に過ぎませんが重要であり、これらの動きを引き起こしたきっかけになったと思います。市場は買われ過ぎの状態でした。そして、このような投資をパッシブ投資と呼んでいますが、実際には、これはモメンタム・トレードですよね。S&Pやナスダックのファンドに入る1ドルのうち50セントが、少数の銘柄に集中してしまっています。その点が疑問視されていますがまだまだ先があると思います。
 それとは別に、ボラティリティトレードの人気が高くなっています。しかし、ボラティリティをトレードするというのは、よく言われるように、蒸気ローラーの前でニッケルを拾うようなものです。この蒸気ローラーを過去6ヶ月から2年間あまり見ていませんが、また戻ってくるかもしれません。この蒸気ローラーが現れると怖いですね。


[オリバー・レニック]
 そうですね。このような事態を招いた主な原因について、ピーターさんはどうお考えですか?それとも、一つの原因に限定して考えるのは愚かなことでしょうか?実際、先週はいろいろなことがありました。

[ピーター・チール](Academy Security)
 一つの要因に絞るのは無理があると思います。重要なのは、何がきっかけになって、次に何が続くかです。数週間前に弱い業績が発表され、そこからボラティリティが変動し始めました。ボラティリティをターゲットにしているファンドがありますよね。彼らは債券と株式のバランスを取って、比較的中立なボラティリティ・プロファイルを作ろうとしています。ボラティリティが上昇し、相関関係が変わると、彼らは売り手にならざるを得ません。
 結果として、ヘッジファンドに影響をあたえる最大の要因だったのがモメンタムではなかったでしょうか。このNVIDIAとAIの話題に支えられていたモメンタムに亀裂が入ると、瓦解が始まって、資金の流出が起こります。
 私が恐れているのは、まだ底打ちの強い証拠が見えていないことです。今日それが少し見られるかもしれませんが、まだ多くのポジション整理されている状況です。ロングやショートポジションを縮小し、少しずつ調整している感じであり、これがまだ下落の余地があると考える理由です。ローテーションは見られましたが、リスク削減はまだです。私は引き続きTQQQ、SQQQ、そして最近ではNVDL(NVIDAのレバレッジETF)を注視しています。 SEC(証券取引委員会)については、なぜ彼らがリスク削減の課題を黙認しているのか分かりませんが、資金は流入し続けています。

[オリバー・レニック]
 なるほど。我々は、投機的なものから強制的に引き離されるということですね。でも、まだ多くの人がそれにこだわっているとあなたは考えているのですね。
 ビットコインのチャートを見ると、以前の高値に戻りかけるけど、そこに届かずにまた売られてしまいますよね。ビットコインのチャートが示しているように、高値が下がれば安値も切り下がります。
 ただし、より高いベータ値のアセットでは、すぐに押し戻して再チャレンジします。これは、人々が簡単には諦めないことを示しているのだと思います。つまり、これは真剣勝負になるかもしれません。

[ピーター・チール]
 そうですね、例えばQQQを見てみると、水曜日には500ポイント以上も上昇しましたよね。
 この分野でも同じことが起きています。人々は戦い続けていますが、毎回より低い高値をつけて、それを超えられず、次に安値を切り下げています。このことは、サイドラインから投入された資金が蒸発して、資金を無駄にしていることになります。
 私のTwitterフォロワーや今日受け取ったメールの95%は、「落ち着いて投資を続けましょう」と言っています。私自身や他の数名を除いて、「今の現状に関わりたいか関わりたくないかに係わらず、私が今週末か来週に来ると考えているもっと良い買場を待つべきだ」と言っている人はいません。

[オリバー・レニック]
 このような時にどうすればいいかというと、今日うまくいっているものに目を向ける、というのも一つの手です。例えば、アンチベータファンドのようにベータの高い銘柄をショートするファンドがあります。それから、債券については、今日のセッションの前半では良かったのですが、途中で失速してしまいました。財務省の入札が終わった後が気になりますが、どう思いますか?

[ピーター・チール]
 今日はクライアントにデュレーションを短くすることを勧め、それは良い取引になりました。投資適格債やハイイールド債を見ても、投資適格債のスプレッドは拡大しています。でも価格は高いです。地方債はうまくいっています。そこから一部の資金を引き出すことをお勧めします。
 また興味深いことですが、再び中国株に注目しています。以前、この話をしましたよね?非常に気に入っているのですが、利益確定のため一部を売却しました。今日、FXI(iShares China Large-Cap ETF:中国大型企業のETF)はほとんど下がっていませんね。中国が少し面白くなってきています。また、中国は米国とかなり距離を置いていますよね。中国ブランドは中国国内と海外で販売されているので、FXIを再び少し買い始めました。

[オリバー・レニック]
 そのETFの株価はかなり下がってきていますね。私は、今日は銅が大きく下落しているのを見ています。
 コモディティ全般はそれほど悪くないですが、最高レベルでもありません。原油は先週すでに底値をつけました。中国との貿易に関しては、コモディティ市場のシグナルに注意を払っていますか?

[ピーター・チール]
 いいえ。むしろ、再び石油株を買うことを検討しています。我々のお気に入りで、基本的に、世界経済は減速していると思います。
 ここ数ヶ月、データが過大評価されていると話しています。我々は、FRBが遅れを取っている現実を直視し始めており、FRBは7月に利下げすべきでした。経済は減速し、雇用はかなり急速に減少しています。これはすべて経済にとって悪いことです。しかし、私がエネルギーを好む理由は、地政学的リスクが高まっているからです。
 イランが今後数日間でイスラエルに対して報復行動を取る可能性が現実にあります。ロシアも何か機会をうかがっているかもしれません。これらすべてはエネルギー株にとって非常に好材料です。それは、国内生産を増やす必要があり、対応が求められるからです。
 ですので、今日私が買い増ししているのはエネルギー銘柄です。これは、世界経済が好調だと思っているからではなく、地政学的なイベントによるサプライチェーンの混乱が起きると思っているからです。

[オリバー・レニック]
 前回あなたがいらした時、7月にFRBが利下げすべきだと主張していましたね。今やほとんどの人が利下げを求めているので、ある意味であなたの主張が裏付けられたような気がします。

[ピーター・チール]
 そうですね、我々が最初にその話をした際には、かなり突飛なアイデアでしたが、でも、FOMCが近づくにつれて、真面目な経済学者の多くが利下げすべきだと話し始めました。今では、人々が緊急利下げや50ベーシスポイントの利下げについて話しており、それを見ると笑ってしまいます。
 FRBの観点からすれば、何も変わっておらず、9月に25ベーシスポイントの利下げを予定しています。50ベーシスポイントの利下げには、もっとひどいデータが継続的に出る必要がありますし、恐らく緊急的な行動はとらないでしょう。
 今夜何か強い反発があるとすれば、日本銀行からでしょうね。円を売って評価額の上昇を抑えるかもしれません。それ以外、FRBに期待できることはありません。彼らはマーケットを支援するような動きはしないでしょう。
FRBがマーケットを支援するだろうという考えを人々が再び持つことをFRBは望んでいません。そのような期待は捨てるべきです。そして、人々が行き過ぎた利下げだと気付いた時には、それはもう市場にとっての支援ではありません。

[オリバー・レニック]
ピーター、お時間ありがとうございました。

 


(2)オリジナル・コンテンツ

 オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。

Schwab Networkより
Original Published Data : 2024/08/05 EST


以上です。


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だうじょん


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