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印刷用インキと環境問題

うちのセキセイインコが、鳥かごの底にウンチキャッチャーとして敷いている新聞を(ケージの網目の間から)かじる。・・・その新聞は、安全な材料で出来ているのか!?ということで、「インキ」を調べました(2019年1月の日記を編集)。なお、印刷業界ではインクではなく「インキ」と呼ぶそうです。


環境にやさしいとされる「ベジタブル(植物油)インキ」、その植物性成分は、いったい何割? 一見すると、100%植物由来であると勘違いしそうですが(天然製品あるある!)・・・実際は、そうでないものがほとんどです。ふだんから疑い深いワタシ。結論だけ言うと、30%程度です!

インキを調べ始めて何度か諦めかけました。とにかく用語が複雑。印刷方法、インキの種類、もう多すぎてよくわからんのですが・・・印刷用インキが何から出来てるかを簡単に言うと、①顔料②ワニス(樹脂、油脂、溶剤)③添加剤。②はビヒクル(=vehicle)ともいう。ヴィークル、乗り物です。

まず、色をつけるための顔料は、天然鉱物由来のものは高価なので使用されることはほとんどなく、ほぼ有機顔料=石油由来とのこと。
そして②のワニス、このサイト内にあるグラフを見ると分るのですが、

印刷インキ工業連合会WEBサイトより。
日時が不明だが、2019年1月以前のデータ。

植物油の占める割合は、ベジタブルインキで30%ほど。重量の20%以上が植物油であればベジタブルインキとして認定されるそうです。ちなみに植物油の中でも、重量の20%以上が米ぬか油であるものは「ライスインキ」。

そして、それよりも高い割合で半分くらい植物油なのが、「ノンVOCインキ」。以下、引用します(太字強調は筆者による)。

ノンVOCインキは、構成成分中の高沸点石油系溶剤を植物油等に置き換えて1%未満に抑えたインキです。
植物油には、大豆油、亜麻仁油、桐油、ヤシ油、米ぬか油等があります。
従来の植物油インキよりもさらに進んだ環境にやさしいインキで、主にオフセット印刷(枚葉)で使用されています。

東洋インキ株式会社 WEBサイトより
https://www.toyoink1050plus.com/sustainability/environment/non-voc.php

VOCとは?もう少し詳しく。

揮発性有機化合物のことをVOC(Volatile Organic Compounds)の略称で呼びます。蒸発しやすく(揮発性といいます)、大気中で気体となる有機化合物(化学物質)の総称です。
 VOCは様々な成分があり、主なものだけでも200種類はあります。
 塗料や接着剤、インクなどに含まれる溶剤やガソリンから揮発してくるトルエンやキシレン、金属や機器の洗浄に使われるトリクレン(トリクロロエチレン)、塩化メチレン(ジクロロメタン)などはその代表的な成分です。

東京都環境局WEBより
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/air/air_pollution/voc/what_voc.html

おぉ、がんばれ「ノンVOCインキ」!インコの健康問題以外にも、そもそも印刷=出版に興味があり、印刷物が増えることが環境への負担になるって、なんだか悲しいなあと思ったのでした。わたしは電子書籍より紙が好きなので。究極にエコな書物は、手漉き和紙に墨書きですかね。ちなみに墨は、植物油を燃やした時の煤から出来ています。絵画用の顔料インク「ランプブラック」は、樹脂や獣脂、蜜蝋などを燃やすランプの煤です。ほかの原材料には骨があったり・・・!

こっちの話も面白いけど、ここまでにします。絵画用の「色」については素敵な本を見つけてブックレビューを書きましたので、よかったら。

(追記)
それで結局、うちで使っている(インコがかじる)新聞に、どの種類のインキが使われているかは未だ分かっていません・・・!新聞用インキも、環境対応型が増えているようではありますが、要調査。


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