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仕事と趣味で振り返る2020年

気がつくと2020年も残りわずか。これまでブログ記事を書くことはほとんど無かったが、この1年間はそれなりに濃密だったため、丁寧に言語化して記録しておきたいと思った。今年は私にとって仕事と趣味(ワイン)の年だったので、その観点から振り返ってみようと思う。

仕事編 (1) - メルカリUSへの異動

2020年の1月から、それまで所属していた日本版メルカリ(メルカリJP)を離れ、アメリカ版メルカリ(メルカリUS)のML/Dataチームに異動した。メルカリUSのメインの開発チームはアメリカのシリコンバレーにあるが、東京にも開発チームがあり(US@Tokyoと呼ばれている)、東京からでもプロダクト開発に関わることができる。まだチームの規模はとても小さく、事業もこれから伸びていくぞ!というフェーズだったため、より直接的にプロダクトに貢献できる機会に溢れているという期待感があった。

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メルカリUSでは、高速に事業貢献して数字で結果を出すことにこだわり続けた。その過程で、自分の専門性の一つであった機械学習は一旦脇に置いて、ひたすらエンジニアリングとデータ分析に打ち込んだ。まずはある一定の水準まで事業を成長させないといけない状況だったので、アルゴリズム開発に長い時間をかけている余裕がなかった。振り返ってみると、エンジニアリングに極振りしたおかげか、今年一年でそれなりに幅広くプロダクトの改善にコミットできたように思う。

2020年の間に主に開発をリードしたプロジェクトの抜粋
・自動値下げプロモーション機能のアルゴリズム改善
・画像から抽出したタグで検索可能にするためのデータパイプラインの開発
・類似商品検索のアルゴリズム改善
・ホーム画面の大規模リファクタリング&レイテンシ改善
・パーソナライズ機能の改修と拡張、リアルタイム化

まだ成長期にあるメルカリUSにおいては、一人のエンジニアとして貢献できる幅がとても広い。特にUS@TokyoのML/Dataチームは、個々のメンバーがプロダクトオーナー的に振舞うことを期待されているので、その気になればかなり主体的にプロジェクトへの関わり方を決めることができる。VPoP(VP of Product)と直接話して壁打ちしたり、PdM(プロダクトマネージャー)に機能開発のネタを持って行ってそのままプロジェクト化したり、バックエンドチームが処理し切れない技術負債を巻き取ってみたり。信頼さえ勝ち取れば、自分の責任と裁量でなんでもできるという点で、自分にとって最高に合っている環境だなと素直に感じられた。

また、これはメルカリJPの時もそうだったが、一緒に働いていて最高だなって思えるEM(エンジニアリングマネージャー)にも恵まれた。「アメリカ側のチームとコラボレーションできるようなプロジェクトが欲しい」と1on1で伝えるとその機会を用意してくれたり、「今こういうプロジェクトのアイデアを持っていてそれのインパクトが大きそうなので優先したい」みたいなことを言うとちょっと難しそうでも快くやらせてくれたり。「ワインスクールの授業が毎週月曜の朝からあるので、月曜休みにして代わりに土曜に仕事していいですか」とかいう無茶苦茶な希望を通してくれた時は流石に神か!と思った。

同じUS@Tokyoのメンバーもこんな記事を残しているくらい、弊社のEMたちは我々エンジニアが快適に仕事を進められるよう尽力してくれている。これだけプライベート含めサポートしてもらっている以上、その信頼と期待にはコミットメントと結果で応えていきたい。

仕事編 (2) - エンジニアとしての成長

ユーザーエンゲージメントの向上やシステムメトリクスの改善など、直接数字に現れる結果をいくつか残せたのはとても嬉しかった。一方で、自身のエンジニアとしての成長はどうか?振り返ると、あまり技術的に成長できていないのではないかという課題感があった。

仕事ではGo、Python、PHPを主に使い、GCPの各種サービスを活用しつつ、開発したサービスはKubernetesクラスター上に展開して運用している。CI/CDの社内ノウハウが整っていて、かつIaaS(terraformなど)を組織的にサポートしてくれるチームがあったりするため、大変快適に開発できるモダンな環境だと思う。ただ、この仕組みに乗っかるだけで大抵の開発ができてしまうため、技術を深めて理解したり幅を広げたりといった学習の時間をあまり取ってこなかったという反省がある。今はガンガン機能開発できているが、いざこの仕組みから離れた時、自分に何が残るのだろう?

また、この一年間、仕事で機械学習を使う機会が激減したというのも反省点の一つだ。常にデータ活用を軸に置いて開発を進めたり、分析ベースでプロジェクト案を練ったりはしていたが、機械学習とは大変ご無沙汰であった。仮にも機械学習エンジニアを名乗るなら、機械学習で大きな価値を出せるようになりたい。機械学習でしかもたらすことのできない価値を見出して事業に活用するというレゾンデートルを忘れてはいけない。

この記事を書く少し前に、「SOFT SKILLS」を半分ほど読んだ。特に理由もなく読んだのだが、なかなか耳が痛くなることが書かれていた。

第7章 あなたはどのタイプのソフトウェア開発者か
... チームに何でもできる開発者がいればとてもいいのに、企業やクライアントは、そのようなタイプを探しに行こうとはまずしない。あなたがあらゆる種類のテクノロジーで優れた能力を持ち、50種類のプログラミング言語を知っていたとしても、何か専門分野を選んだ方が特になる。
第10章 プロであること
...プロが高い基準を満たすために行っているのは、継続的な自己研鑽である。プロになりたければ、いつも全力をあげて自分のスキルを向上させ、自分の技術についてより多くのことを学ばなければならない。

ファーストキャリアのメルカリでもう2年も経つ。まだまだやれることは大量にあって、しばらくはメルカリでエンジニアをやっていくとは思うが、今後のキャリアのことも少しずつ考え始めないといけない。来年は、今自分が主力で用いている技術について深く学ぶ時間をとり、プロダクト開発に活かしていけるようにする一年にしていきたい。

趣味編 (1) - JSA認定ワインエキスパートになる

私の2020年の真のハイライトとしてはワイン以外あり得ない。2020年10月、二次試験を無事に通過し、日本ソムリエ協会(JSA)認定ワインエキスパートになった。やったぜ🍷
試験対策で具体的に何をしたか、とかそういうことは後々別の投稿で丁寧にまとめようと思う。

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2月 - 神の雫との出会い
昨年の今頃はワインなんてほとんど飲んでいなかったし、知識も全くなかった。「カルベネ・ソーヴィニヨンとかいう重い赤ワインがあってステーキに合うらしい」とかその程度で、五大シャトーとかブルゴーニュとか一体何のこっちゃといったレベルだった。転機があったのは今年の2月、なんとなくKindleに積んでおいた漫画「神の雫」を読んでしまったのが運の尽きだった。

ワインの味わいを叙情的に表現したり、香りと味でブラインドで銘柄を当てて見せたり、ワインをきっかけにロマンスがあったり。なんだそれ、面白いに決まってるだろ!すぐにどハマりしてワインが好きになり、その勢いで日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取ることにした。

7-9月 - なんとか一次試験突破、二次試験対策を始める
日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得するには、

 (1) 選択式問題でひたすら知識を問われる一次試験
 (2) ブラインドテイスティングをしてワインを正しく評価する二次試験

をそれぞれ突破しなければならない。

7月までは、仕事の忙しさを理由に勉強は全くしていなかった。試験の申し込み期限が近づいていてそろそろマズい、ということで、急いで期限ギリギリに試験を申し込んで勉強を始めた。

正直時間的に厳しかったので、職場のマネージャーに相談して、毎週月曜日に有給を取って休みの日を全部勉強に注ぎ込んだ。とにかく暗記に暗記を重ねる日々で、しかも仕事の稼働日数も減らしていたので、精神的にキツかった。何とか一次試験に合格できたので二次試験対策を始めたが、流石にブラインドテイスティングを独学だけでやるのは厳しいと感じ、ワインスクールに通い始めた。自宅でもパートナーに協力してもらってテイスティング練習を続けた。

10月 - 二次試験合格!!
1ヶ月ほどスクールやワインバーに通い詰めて、計100種類以上のワインに向き合い、それなりに自信はついていた。当日は何故かフィーバーして、産地・品種ともに全問正解、無事に二次試験に合格した。

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二次試験合格は、紛れもなく通ったスクールの先生方の指導やパートナーの協力があってのものなので、今ここで改めて皆さんに感謝したい。本当にありがとうございました、これからも精進します。 m(__)m

趣味編 (2) - さらなるワインの世界(沼)へ

二次試験で運良く全問正解して調子づいたこともあり、試験後もワインへのモチベーションは高いままだった。日本一のソムリエのブラインドテイスティング講座を受けて打ちのめされてみたり、レアなワインが集まるワイン会に顔を出してみたり、自宅でパートナーに協力してもらってフードペアリング(料理の方をワインに合わせる)のホームパーティを開いてみたり。受験対策で通ったスクールも、資格取得者向けの上級コースがあったので、迷わず受講を決めた。おかげさまで、二次試験対策を始めた9月からこの12月までの間のクレジットカードの明細は目も当てられない感じになったが、後悔は全くしていない

来年はWSETのLevel 3(国際的なワイン資格の上級資格)などの取得を目指しつつ、ブラインドテイスティング力ももっと磨いていきたい。いったい私は何を目指しているんだろう。ただ、ワインを通して各国の歴史に触れることができたり、ブラインドテイスティングで鼻と舌が鍛えられたり、ワインのおかげで世界の解像度が少し上がったのは間違いない。

ワイン沼に嵌ってから、同じようにワインに魅了されてしまった人たちと沢山知り合った。ワインスクールの同期や先生方、ワインエキスパート・ソムリエ資格の受験仲間、ワイン会やレストランで知り合った人たち。その中には、一緒に旅行に行ったり、定期的に遊んだりするくらい仲良くなれた人たちもいる。ワインは、その8000年の歴史に根を張るワインの世界の広大さを教えてくれただけでなく、とても素敵な人たちとの豊かな出会いももたらしてくれた。こんな感じで割と最高の趣味を持った気がするので、これからもみんなと良いワインをたくさん飲んでいきたい🍷

2021年の目標(OKR)

ここで目標を立てておけば後から何度でも振り返ることができる。一年の目標に対してニヒルな感じになることもできるが、素直に思いついているものを書いておくのが重要な気がした。

Objective 1: エンジニアとして継続的に成長し、事業に貢献する
KR1: バックエンド、データエンジニアリング、情報検索についてそれぞれ課題図書を数冊決め、読み切る
KR2: 検索ないし機械学習の専門性を仕事で活用して、数字で結果を出す
KR3: 新しい言語を一つ修得し、仕事で運用できるレベルにする
Objective 2: ワインへの理解を深める
KR1: WSET Level 3を "Pass with distinction" の成績で合格する
KR2: VIA Wine Maestroを成績優秀で合格し、Verona行きのチケットを獲得する
KR3: ブラインドテイスティングコンクールで決勝進出以上の結果を出す

(仕事よりワインの方がKRが明確なのはなんでだろうな... 🤔 )

また、仕事と趣味とは別の目標も立てておく。

・技術書やワイン関係の本以外の本を毎月最低2冊は読む
・出会った人たちや友人たち、パートナーとの関係を大切にする
・頻度は低くていいから、Twitter以外の場所に何かを投稿するのを続ける

我ながら意識がスカイハイ過ぎる気がするが、まあ年末だし、許して。後から見返した時に 😇 ってならないように、少しでもこの目標にコミットしていきたい。

2020年、激動の一年だったが、幸いにもとても楽しく豊かな日々を送ることができた。紛れもなく私の周りの素敵な人たちのおかげだと思うので、ちゃんとお返ししていきたい。2021年も楽しくやっていき!(あと、そろそろお金をちゃんと貯めたい)

こんな長いポエムを最後まで読んでくれたみなさんも、良いお年を。
来年もどうぞよろしくお願いします。m(__)m

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