訪問介護で感じた温度差

重度訪問介護で働き始めて3ヶ月が経過し、4ヶ月になります。

最初の1ヶ月目に2人の利用者さんの介助をしました。毎日がとにかく必死で、やることを覚えるだけで精一杯でした。

2ヶ月目には先輩介護士との温度差を徐々に感じ始めていました。

重度訪問介護という仕事は、いくら資格を取得したとしても未経験でいきなり現場で通用するレベルではなかったということ。

その自分のスキルのなさを悔やみ始めました。

そこで、今のうちに介護職の資格である介護職員初任者研修を受講しようと決意しました。


3ヶ月目には、初任者研修を受講しながら週1〜2回の夜勤のアルバイトと並行する生活であったので、めちゃくちゃ忙しかったです。

初任者研修では色々なことを学び、介護とはなにかということを考えさせられるきっかけをもらいました。


4ヶ月目には初任者研修が修了し、無事に資格を取得。

この初任者研修がきっかけとなり、現在やっている介護に対する考え方が変わりました。

すべてにおいて疑問符がつくようになりました。



訪問介護ってスキルは不要?

まず、重度訪問介護で取得した資格は統合過程というもので、重度訪問介護という仕事の中で医療的ケアができるものです。この講習を受講しているときに、仕事をスタートする時点でスキルは必要ないと言われてました。

1人目の利用者さんは医療的ケアの要らない方で、基本的に体位交換と起床介助だけでした。

それでも先輩介護士との温度差があり上手にできていなかったことがたくさんありました。

2人目の利用者さんは医療的ケアが必須の方で看護師の実地指導が終わらないと一人でケアをすることができなかったのですがコロナ禍の中で実地指導がなかなか進みません。

そんな時に別の利用者さんに関わってほしいということでこの利用者さんから離れることになりました。

3人目の利用者さんも医療的ケアの必要な方で本当なら私が入社したときには始まっている予定だったのですが、こちらもコロナ禍で退院する目処が立たず2ヶ月遅れての介助スタートになりました。

看護師による実地指導が完了し、県からの認定書が届き次第、医療的ケアを含めた介助ができるところまできていましたが、突然、容態が悪くなりターミナルを迎えて安らかに旅立たれたと聞いています。

4人目の利用者さんは、2人目の方と同時にケアに入っていたのですが、本格的に介助に入れるようになったのが3人目の利用者さんが旅立たれた後からです。

4人目のサ責からはとにかく10回目、20回目と訪問して介助していくうちに成長できていれば問題ないと。

その言葉だけを信じて3ヶ月頑張りました。

ところが、3ヶ月を過ぎようとした頃からです。おそらく利用者さんからは私が介護のスキルが低すぎることが原因だと思われるような態度、言動が見られるようになってきたのです。

明らかにケアしているときに利用者さんがイライラしている態度が見えるし、言葉にも現すようになってきたのです。

例えば…
Aヘルパー(介護福祉士、介護歴10年以上)
Bヘルパー(資格なし、介護歴なし)
Cヘルパー(デイサービスのみ介護歴あり)
という3人がKさんという利用者さんのスタッフとして関わっていたとします。

Kさんのサービス提供責任者はAヘルパーです。

重度訪問介護ではサービス提供責任者であっても現場に入りますが、徐々にヘルパーの育成が終わったり、ヘルパーの人数がある程度確保されていくと抜けていく形になります。

そして、3ヶ月目にK利用者さんから言われたことが「やり方が違っているからAヘルパーに聞いてきて」と。

今まで同じように介助していたのにどうしてこういう言われ方をしたのかその時は理解できませんでした。

その後も同じようなことが何度もあり、段々と不安だけが募っていきます。私はようやく少しはできるようになったBヘルパーであって、経験豊富なAヘルパーではありません。人の介助にもレベルがあるのはわかっていますが、私はAヘルパーと同じレベルは持ち合わせていません。指示に従って介助サービスを提供することはできても、同じレベルのスキルで介助をすることはできません。

意思疎通が上手に行かない利用者さんのため、舌打ちなどで怒りを表すため、私はその状況に威嚇されている気分になっていきました。

ケアに入る度、前回と同じようにしていても、何かしらが違っているのでしょう、舌打ちなどが始まり、「Aヘルパーに聞いてきて」と言われてしまうのです。

ケアの途中で涙がこぼれてしまうことも多々あり、もう耐えられない状態になっていきました。


無資格、未経験でも働ける介護の温度差

介護の現場を経験して日が浅いのではっきりとはわかりませんが、私のように無資格、初心者でも働ける介護という謳い文句に誘われて介護の世界に飛び込んでくる方は多いでしょう。

しかし、この謳い文句にも問題あるなと感じます。

圧倒的に人員不足に落ちいっている訪問介護、介護業界全体を考えたとき、働きやすい場所を選ぶことはとても重要です。


重度訪問介護の場合、8時間の介助をしている中で本当に体力的にキツイと感じるはわずか1〜2時間程度。

あとは見守りという時間がほとんどの時間を占めるため、時間をどうやって潰すかという部分との戦いとなります。

最初に関わった方は、見守り支援は別室で行っていたため、別室で本を読むこともできましたし、介護の勉強をすることも可能な状態でした。

しかし、私が現在関わっているKさんの場合、12時間の介助で4時間くらいの支援で残りの8時間が見守りです。

ただ、この見守り時間の中には通常行う身体介助、生活介助などのも含まれますので実際には5時間くらいが待機時間ということになります。

待機時間ですが急に呼ばれることもあるのですが、基本は待機でスマホを見ていてもいいとされています。利用者さんの中には仮眠時間を設けてくれている方もいます。しかし、自由時間とは違ってなんでもかんでも好きなことをやっていてもいいと言うわけではありません。

Kさんの場合、利用者さんが寝ている同室の床に自分で持ち込んだ長座布団を敷き、そこに横になりながら5時間という時間を過ごします。

実はこの時間が最もキツイ時間です。

ぶっちゃけ、この暇な時間にどれだけ耐えられるか、利用者さんが吐き出す嫌味とも取れる言葉にどれだけ耐えられるかということの戦いになると思っています。

介護のプロはこれに耐えられないと駄目なんだそうです。(とある利用者さんのご家族にそう言われました)


利用者さんの心のうち

利用者さんはからだが不自由というだけで、心は私と同じです。そう、重度訪問介護を利用する人の殆どは自分の意志を持っています。

そのため、どうしても思い通りに行かないことでヘルパーに当たり散らす方も中にはいらっしゃいます。

私が現在、ぶち当たっている壁はまさにこれなんだと頭では理解できています。しかし、いざ、現場でそれを向けられたときには、もうここには来たくないな、辞めたいな、と思ってしまう自分がいるのです。

上司に相談してみましたが、新人ヘルパーの多くは3ヶ月目くらいからほころび始め、多くの方が同じような壁にぶち当たるそうです。利用者さんも人間なので機嫌の良し悪しがあるから、柔軟に対応して欲しいと。まだ信頼が得られていないから起こることなので、もう3ヶ月(信頼を得るために)頑張ってほしいと言われました。


もしかして、重度訪問介護を利用している人はなにか発信をしているかもしれないと色々つぶやきなどを見てみました。

とある利用者さんたちがSNSでつぶやいているのを見たのですが

ヘルパーの明かりが消えた。これでやっとぐっすり眠れる。
一晩中ついている電気。なんとかならないものだろうか。
今日はヘルパーXさん、憂鬱だな

こういう重度訪問介護の方がつぶやいているものは、ヘルパーの立場としてかなり不安になります。

本来はこういう愚痴はサ責に言うべきことなのではないかと思っています。

確かに人の手を借りないと生活ができない重度訪問介護の利用者さんですし、人員不足があってどうしてもその人じゃないと入れないという事情もありますが、来るヘルパーさんのことを憂鬱だなと表現されるとヘルパーは不安です。


現在、私は利用者さんに舌打ちなど、威嚇めいたことをされているため、訪問する週1〜2回が憂鬱でたまりません。今後、私が重度訪問介護従業者としてやっていける自信は今はなくなってきています。

介護という仕事自体は好きな仕事ですから、できれば長く関わっていきたいと思っていますが、現在の立ち位置でずっとやっていこうとは段々と思えなくなってきています。

そのため、現在は施設で働こうかな…と就活をはじめています。

続きはまた書いていこうと思います。



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