映画『プロメア』今石洋之監督,2019年
映画『プロメア』、観てきました。
『天元突破グレンラガン』という大好きな作品と同じ監督・脚本のコンビということで観に行きました。期待通りでした。
息をつかせない展開、熱いセリフ、確かな声優陣など、楽しく観れる要素が揃っています。
中でも僕の印象に残った点を二ヶ所、書きます。
1.アニメとアニメーション
「君の名は。」あたりから(もっと前から?)、アニメ映画に対して「神作画」というような言葉で高い評価が与えられることが増えた気がしています。
写真や絵画のように緻密に書き込まれた背景を舞台に人物が動く。
これはこれで素敵だけれど、人物はそれほど生き生きしてないことが多くて、なんだか物足りないのです。
その点で「プロメア」は、動きを見せるために、背景を今どき珍しいぐらいに簡略化。
「動いてなんぼ」とばかりに、人物やメカが動く、動く。
視点も動くし、遠近感を誇張したパースも多く、躍動感&躍動感。
連続する絵を、animate(=命を吹き込む)することに全振りした、THE・アニメーション“animation”なのです。
いつしかアニメーションはアニメと略され、絵で構成された映像はいま、なんでもかんでもアニメと呼びますが、絵に描かれたものが命を吹き込まれ、動き出すことにその原点はあります。
「プロメア」はまさに、人物を生き生きと動かす、というアニメーションの原点を追い求めた作品です。
2.金田伊功の影響
先ほど、遠近感を誇張したパースの話をしましたが、これを上手く使ったのが、金田伊功(かなだ・よしのり)というアニメーター(2009年没)です。
彼の特徴的な画面構成は、「金田パース」とまで呼ばれています。
金田は、アクションの作画において、エネルギーあふれる表現を開拓した人物であり、彼に続くアニメーターは多数。『プロメア』の監督である今石洋之さんもその一人です。
今回、僕が金田伊功の影響を感じたのは、本作の“ゴースト”への愛です。
“ゴースト”とは、逆光で撮ったレンズに起きる現象。これをアニメに描き込んだのは、金田が始めだと言われています。
(左下にいくつかある、◯が“ゴースト”)
『プロメア』においても、何度か夕方の景色などで“ゴースト”が印象的に描き込まれています。
しかもその“ゴースト”はシーンに応じて四角形や三角形になっており(この意味するところは映画を観てください)、積極的な意味を持たされています。
メカが決めポーズを取った時に光るのも、金田が用いた手法です。
金田伊功は、爆発や炎の描写でも有名な人なので、『プロメア』が終始、爆発や炎で満ちていることも、彼の影響といえるのかもしれません。
3.おすすめです
ぜひ、観てくださいということです。
童心に返って、感性で観ることのできる映画です。
「ドカーン!」「バコーン!」が好きだった男の子(女の子でも)なら絶対楽しめるはず。
頭も使わないので(笑)、気楽に観れます。
映画館で観るべき映画です。ぜひ!
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