寅次郎相合傘

家族が「寅さん」好きで、時々DVDで見る「男はつらいよ」シリーズ。
今日はシリーズ最高傑作とも言われている「寅次郎相合傘」を観た。

お互い似た者同士で喧嘩ばかりするがすぐに寄りがもどる寅次郎とリリー。
寅さんの粗削りだけれど、心根の温かさを知っているリリーは甘えられるだけ甘えるけれど言いたいことがあると、遠慮がない。
心にひっかかることがあると
「そこまで言うか?」というほど寅次郎に本音をぶつける。

寅さんも寅さんで本当はリリーに優しくしたいけれど、昭和の男なんだね。
怒鳴ったりするけれどすぐに反省する。そして照れくさくて背中を向けてしまい、その後いつも後悔している。

大ゲンカをしたあとに雨が降り、仕事から戻るだろうリリーを駅に迎えに行く寅さん。
改札を出たリリーに声もかけずに、背中を向けて立つ寅さん。
こういう男の人って実は本当の優しさを持った人なんだよね。
肝心なときに何も言えない。
でもリリーはすぐにわかる。
リリーもまた、苦労を重ねた切ない女だから。
寅さんみたいな不器用な男性の後ろ姿が何を語っているのか、わかる。

昨日観た「パリ13区」にも言える。
ノラが出逢ったアンバー・スイートも職業は人から指さされる女性だが、
ノラの心の傷を癒せるのは彼女しかいなかったのだ。

大人になればなるほど、世間や社会の目を気にしてしまうけれど
どこかに置いてきてしまった自分の夢や
過去に受けた自分でも気付かない心の傷は
ある日、受け止めてくれる人が現われたときに思いだす。

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