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お掃除のススメ

現代人はとても忙しい。忙しさにかまけて掃除を後回しにしていると、家は一瞬で汚れ、洗濯物もどんどん山積みになって行く。私は昔、掃除が本当に苦手で、まず掃除をする習慣がなかった。掃除は、一年に一度の大掃除の時にするものだと思っていた。

それをまず最初に変えてくれたのが、親元を離れての大学生活。友人が初めて私の部屋に遊びに来た時、ドンびかれた。「何で物がこんなにも床に散乱してるの?」と言われ、私は「どうせまた使うものだから、わざわざ元にあった場所に戻す意味がわからない」と答えた。「でも片付けないと歩けないし快適に生活できないよ?」と言われたが、私はそれを特に気にしていなかった。

ある時も、友人宅へ遊びに行くため、彼女の家への訪問時間を決めていた時、「この日は週に一度のお掃除の日だから、掃除が終わってから来てくれると嬉しいな」と言われた。その言葉を聞いて初めて、世の中には週に一回も掃除をする人がいるのだと知った。

何となく察して頂けると思うが、私の家族はあまり掃除が得意ではない。それこそ、忙しさにかまけて、掃除なんて滅多にしない。

定期的なクリーニングサービスを入れるのもありなのだが、小さな田舎町なので、作業してくれる、恐らく同じ町の住人に、家の中の様子を近所の人にペラペラ話されるのを警戒し、結局家の中は常に汚いまま。

その結果、私はちゃんとした掃除の仕方を誰にも教わって来なかった。日本の学校では、放課後全員で掃除をするが、あれと家の掃除は全くの別物。あの放課後の掃除は、子供たちがちゃんと掃除をする習慣を身に付けるのには何一つ役立っていないと思う。

大学生活の途中から、私は当時のボーイフレンドとルームシェアを始めた。私が掃除が苦手なのは直ぐに気付かれ、最初は代わりやってくれていたのだが、徐々に掃除の仕方を教わり、私も少しだけやるようになった。

その人はアメリカ人だったのだが、大学卒業後、私が日本へ帰国することになった時、自分も日本へ行ってみたいと、私に付いてきた。一緒に住んでいたが、日本という場所ではどうしても、お互いの生活スタイルや興味が噛み合わなくなってしまい、暫く経ってお別れした。

さてそれからだ、私の部屋がまた汚くなり始めたのは。しかも、小さな一室に、弟が大学時代に使っていた2段ベッドや本棚のお下がりをギュウギュウに詰め込んでいたものだから、インテリアのへったくれも無かった。よくテレビで観る、足の踏み場もない、一人暮らしの男の部屋のようだった。

でも毎日仕事で忙しかったし、家なんて寝に帰るだけだったので、私は全く気にしていなかった。そんなある日、友人と夜ご飯を食べた。すると彼女が、カバンから風水掃除の本を取り出し、私に見せた。

「この本凄くってさ。風水掃除で開運なんて嘘だと思って買ったんだけど、本の通りに掃除したら、何と臨時収入があったの!」と、私にその本を貸してくれた。

彼女の開運の経緯を聞いてみると、暇つぶし感覚で、休みの日に風水掃除を行なった翌週、彼女の会社でくじ引き大会が開催された。そして友人は見事30万相当のドラム式洗濯機を引き当てた。しかし、特に新しい洗濯機を必要としていなかった彼女が困っていると、上司がそれを30万円で買い取ってくれたらしい。

私は即座にその本に飛びつき、家に持ち帰って読んだ。本には、部屋を汚くすると邪気が溜まり、住む人の運気を停滞させてしまうとあった。

書いてある通りに掃除をし、古くなったタオルは全て買い替えた。本には、2段ベッドも良くないとあった。なぜなら、自分が寝る頭の上に物があると、それが気の循環を邪魔するらしい。早速業者に電話して、上の段だけ週末引き取りに来てもらうことにする。

粗大ゴミ回収費として、見事に3万円取られた。結構な痛手で、これじゃ臨時収入どころか臨時出費じゃないかとガッカリした。そして翌週、何と私に3万円の臨時収入があった。その名目は忘れたが、会社から臨時で支給された物だった。

私はこの事があってから、掃除や「気」にはある種のパワーがあると信じている。去年まで通っていたジムでも、オーナーさんが変わったことで掃除が行き届かなくなり、会員さんがどんどん減って行くということがあった。

あまりの汚さに見かねた一人の綺麗好きな会員さんが、担当者の人になるべく毎日掃除するよう、入り口は特に念入りに落ち葉を掃くなど気を付けるよう、結構強い口調で注意した。

慌てた担当者は、それから毎日掃除するようになった。すると何と、新規のお客さんが一気に増え始めたのだ。やっぱりお掃除パワーは凄い。

以前友人が、マッカーサーは、気学には強い力があると認めていた為、戦後日本人がそれを使う事を禁じていたと言っていた。本当かどうかわからないが。

家が綺麗で清潔な状態であるのというは、ある意味で小さな事。でも馬鹿にできない力がある。あの「こんまり」さんだって、お片付け一本であそこまでのし上がったのだから、彼女の成功が全てを物語っている気がする。

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