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Hej! Laere vol.23 デンマークにおけるサスティナビリティの「今」 ~社内デンマークスタディツアーレポート~(2022年10月配信)

こちらのnoteでは、Laereが定期的にお届けしているお便り『Hej ! Laere』をダイジェストにして公開しています。本ニュースレターは、10月20日に配信しています。

デンマーク社会に根付くサステナビリティ

近年、デンマーク企業のサスティナビリティに対する取り組みが注目されています。なぜデンマーク企業は、サスティナビリティに対する取り組みに注力しているのでしょうか?
Laereでは先月社内メンバーでデンマークスタディツアーを実施し、先ほどの問いのヒントを町中で垣間見ることができました。

コペンハーゲン市内を歩いている際に驚いたのは、電気自動車の充電スタンドがたくさん設置されてること。ちょっとした駐車場にも電気自動車の充電スタンドが用意され、たくさんの電気自動車が充電されている姿を見かけました。

また、視察で訪れたデンマーク第三の都市・オーフスにある図書館「DOKK1」ではSDGsにフォーカスした常設スペースが設置されており、服の修繕を学んだりやサスティナビリティについて対話イベントを定期的に開催しているとのこと。生活の中にサスティナビリティが普及しており、もはや社会の文化としてサスティナビリティが取り込まれていることを実感しました。


コペンハーゲン市内で見かけた電気自動車の充電スタンド
DOKK1のSDGs常設スペース

デンマークの国立機関であるDDC(Danish Design Center)代表のクリスチャン・ベイソン氏に「なぜデンマークの企業はここまでサスティナビリティに注力しているのか?」と伺ったところ、彼はEU圏内の規制と同等に重要な要素として「消費者がサスティナビリティへの取り組みを要求しており、その傾向が高まっていること」を提示していました。この回答はデンマークでの個人レベルでのサスティナビリティに対する意識の高さ、そして企業・行政・そして個人がサスティナビリティに包括的に取り組んでいることを示唆しています。

近年、日本でも企業のサスティナビリティに対する取り組みが注目されていますが、大きな社会変化には至っていません。さまざまな要因がある中で重要なのは、サスティナビリティを考えることが当たり前になる文化をどう作るのか?という視点だと感じました。
サスティナビリティをどう生活の中に取り込み、文化として定着させていくのか?そのために企業や行政はどういう発信をし、アプローチができるのか?日本の文脈で再考する必要がありそうです。


Voice from Finland


この連載はアアルト大学に留学している吉田真理子さんがフィンランドから最新北欧トピックをお届けする連載コーナーです。今月の『Voice from Finland』ではヘルシンキの教育施策の策定プロセスをご紹介いただきます。教育先進国と名高いフィンランドでは、教育をデザインするうえでどのような視点を取り入れているのでしょうか?

Moi(こんにちは)!
フィンランドのアアルト大学に留学している吉田真理子です。Voice from Finlandでは「共創」「ウェルビーイング」をテーマにフィンランドでの学びや体験をお届けしています。


フィンランドの教育サポート

 今回はヘルシンキ市の教育方針についてご紹介できればと思います。8月のニュースレターで紹介したメンタープログラムで知り合ったメンターのメルビからどのようにヘルシンキ市の教育方針がつくられているか聞くことができました。
メルビはヘルシンキ市の教育サービス課長で、ヘルシンキ市の教育政策を考えています。
 
2030年の教育方針を決めるため、学生、先生とのワークショップを行ったそうです。
BANI (Brittle(脆い),  Anxious(不安な), Nonlinear(直線的でない) and Incomprehensible(不可解な))先の見えない時代と言われている現代、ヘルシンキ市がどのような教育方針を築いていくかについて、学生、先生と分けてワークショップをしながら聞いていったそう。どのようなテーマでディスカッションしたのか教えてもらいました。


ヘルシンキ市のTöölön図書館、充実した自習室もあってお気に入りです。

 
ワークショップでは、学生に、夢の学校はどのようなものか、自身のウェルビーイングを保つために最適な学習環境とは、将来学校でどんなことをしていたいですか、といったトピックを与え議論したそうです。

先生に対しては、将来どのような能力が学生と先生に必要になるか、持続可能な社会に向けて教育が社会に対してできることとは、脳とパソコンがつながった場合教育はどうなるかといったトピック。中でも驚いたのは、先生に対するスマートドラッグ(集中力を上げたりする薬)が普及した場合どうなるかというトピックでした。
どういった意見が出たかは聞くことはできませんでしたが、教育のカリキュラムというよりも、技術や社会変化に対して人の能力をどのように開発してくかという議論に焦点が絞られている印象でした。
メルビが特に強調していたのは、「学習は学生が中心であるべきで、学生にどのような影響を与えるかをとても重視している」ということです。
このディスカッション内容はもっと意見を集めたうえで教育方針を決めるとのこと。7年後を見据えて変化に柔軟に対応する姿勢が見えました。
 
ヘルシンキ市の人口構成は変わりつつあるらしく、人種の多様化がいっそう進んでいるそうです。同時に学びや環境の多様化も進み、地域による教育の格差が生まれることを危惧していました。フィンランドはどんな地域でも教育の質の差が少ないことで知られています。そのため私立の学校も少なく、多くの人が公立の学校に満足していると聞きました。


ヘルシンキ中央図書館「Oodi」


日本でも広く知られているヘルシンキ中央図書館「Oodi」は独立100年を記念して、「国から市民へのプレゼント」されたものです。建築過程では、市民とのディスカッションや意見を取り入れて作られています。3Dプリンター、カフェ、ミシン、ゲームルームなどが無料で使用可能。Oodiに加えて市民、利用者の意見を取り入れて行われているヘルシンキ市の試みに触れた機会でした。

どのように市民に優しい教育が作られていくか、生の声を聞くことができ、自分がワークショップ内容を考える際に大切にしたいなと思うことばかりでした。

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”Hej(ヘイ)”はデンマーク語の「こんにちは」で、”Hej Hej(ハイハイ)”とふたつ重ねると「バイバイ」という意味になります。

それではまたお会いしましょう!Hej Hej 👋



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