Hej! Laere vol.25 デンマークのリーダーと考える、人々がつながるために必要な「対話」-デンマークスタディツアーレポートvol.3-
小さなアクションの積み重ねが、今のデンマークをつくっている
今年9月末に「旅するオフィス」と題して、社内メンバーでデンマークスタディツアーを実施しました。デンマークでさまざまな活動を続ける企業や公共機関を訪問し、弊社に所縁があるウッフェ・エルベック氏ともお会いしてきました。
彼は弊社代表の大本が卒業したデンマークのビジネスデザインスクール「KAOSPILOT」の創始者です。近年では政界にも進出し、政党The alternativeを創立し、長年デンマーク国内で様々なムーブメントを率いてきた人物でもあります。
対話では、今のリーダーに必要なスキルやマインドセットから、世界情勢まで幅広いトピックに及びました。印象的だったのは、ウッフェ氏が歴史を引用しながら語ったデンマークの現在地の話でした。
デンマークでは、1813年の財政破綻を経験し、翌年義務教育が法整備されました。それらがきっかけとなり、対話と生活を軸とした学びを提唱した「フォルケホイスコーレ」のムーブメントをはじめ、さまざまなムーブメントが起きたそうです。それから約200年の間、地域の問題を起点に人々がアクションを積み重ね、今のデンマークをつくりあげてきました。
ちなみに、現在フォルケホイスコーレはデンマークの公共成人教育機関として、約70校存在しています。200年前のムーブメントは現在もデンマークの文化として深く根付いてるのです。
現在のデンマークはその積み重ねの頂点にいるような状態で、他の国々がそうであるようにこの先の未来はまだ明確には見えていません。そのため、一部の人は今まで社会が積み重ねてきたものが崩れてしまうのではないかという不安を持っているそうです。だから、ウッフェ氏はデンマーク社会では200年前に起きたような「変化」が求められていると話していました。
変化が求められる中で必要なことは?
ウッフェ氏は変化が起こる第1歩として、人々の「感情のつながり」がとても重要だと話します。
自分が思っていることを率直に外に出すことで、はじめて自分とつながり、他者とつながることができる。そして、感情のつながりが他者との重要な関係性をつくります。関係性が知識や経験を共有するガイドに変化し、最終的には新しいものを生み出すプラットフォームになるそうです。
感情を重んじる姿勢はウッフェ氏のみならず、スタディツアーを通して出会った人たちに共通しているものでした。人間の感情を大切にする価値観のもと、人々が安心して声を出すことができる「対話」の場が、デンマーク社会がいい変化を生み出し続けている大きな要因なのだと改めて体感する時間となりました。
これからデンマークはどのような社会像を提示するのでしょうか。そして私たちが暮らす日本は、どのような未来社会を創造できるでしょうか。
私たちは今後もデンマークや北欧社会の変化を敏感に受け止めながら、ニュースレターや日頃の発信を通してみなさまにお伝えしていければと思っています。
Voice from Finland
Moi(こんにちは)!
フィンランドのアアルト大学に留学している吉田真理子です。Voice from Finlandでは「共創」「ウェルビーイング」をテーマにフィンランドでの学びや体験をお届けしています。
土地、人とどこか肌感覚が合う、感性が似ているなという直感で選んだフィンランドでの学生生活もあっという間に時が経ち今月が最後です。約1年間連載したこちらのニュースレターも最後になります。
フィンランドでの学びや気づきをこちらに連載させていただく中で発見したことが多くありました。今回はそんなフィンランド大学院での学びを振り返りたいと思います。
社会人を経てからの留学は、学ぶことがこんなにも楽しく、嬉しいことだと改めて感じる日々でした。社会人を経ていなければ、自分の興味を深めることがこんなに贅沢な時間だと気づかなかったと思います。
同時に、新しいことを学ぶのはこんなにも頭の体力がいるのかと驚きもしました。知らない間に自分の視野が狭くなり、固定概念ができていたようです。新しい分野を学び、ゆっくりと自分の視野がひらけていく感じは爽快でした。
そんな視野を広げて取り組んだ修士論文のテーマは、リモートワークにおいてどれだけ感性インテリジェンスが心理的安心感に寄与しているかです。Emotional Intelligence(心の知能指数)の理論をもとにKansei Intelligence(感性インテリジェンス)という概念を作り、取り組みました。結論は、個人間のコミュニケーションの活性化、普段のオンラインの会話では生み出せない連帯感を感性を用いたワークショップでのコミュニケーションで生み出せるという結果になりました。リサーチにはレアさん、東芝様にもご協力いただきとても感謝の気持ちでいっぱいです。
12月下旬からアアルト大学のデータベースで読めるようになるのでぜひご一読いただけると大変嬉しいです。「Kansei Intelligence's Contributions to Psychological Safety in Online Workplaces」というタイトルで掲載予定です。
日本にいたら出会うことのなかった、世界中から来ている優秀ないろんな分野の友人ができたのは、学びに加えて私の宝物です。世界に友人がいると思うと、どこか心の拠り所になります。いつか友人たちと仕事をしたいなと夢に見つつ、これからはパートナーの住むベルリンで就職活動です。
冬の日照時間の短さにメンタルをやられそうになったこともありましたが、そんな友人たちのおかげでフィンランド生活を楽しむことができました。厳しい自然の中で自分のメンタルのケアの方法も、知らず知らずのうちに身についたように思います。
そのまま働いていたら、出会えなかった人、発見、学びのあった2年間でした。
大学院を卒業しましたが、これからも学ぶ気持ちと好奇心を忘れずに働いていきたいなと思います。貴重な機会をいただき、レアの皆様に感謝申し上げます。
そして皆様1年間ご愛読いただきありがとうございました!
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