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『Hej! Laere vol.11』:デンマークの「今」から考える社会との関わり方と学び方(2021年10月配信)

本ニュースレターは、10月14日に配信しています。

アフターコロナのデンマーク社会で考えたこと

皆さま、初めまして。レア共同代表の坂本由紀恵です。
前述にあったように私と大本の二人は、好奇心溢れる“ファーストペンギン”になり、“アフターコロナに移行した”と現地の友人達が話しているデンマーク社会を実際に確かめるため、約1年半ぶりのデンマーク出張を実施しました。現在デンマーク人が日本に入国することは残念ながら出来ません。しかし日本人がデンマークに入国することは可能です。

9月6日~18日までの約2週間、コペンハーゲン、オーフス、そしてロラン島と周りました。レアが企業として、個人や組織や社会に対して微力ながらも、継続して貢献できるよう更に成長するため、今回は、現地協力機関や専門家との打合せを積極的に行いました。社名であるレア“Laere”とは、デンマーク語で「学び教える」という意味です。様々な分野で先進国家と言われ、多くの先進事例が集まる北欧諸国には、刺激的なインスピレーションもたくさんあります。レアでは、それらを日本社会に紹介しながら、日本人や日本の組織に相応しい人材育成方法や共創型プロジェクト支援方法を探求しています。勿論、北欧社会も全てが完璧な訳ではありません。私達は、北欧諸国と日本が協働し、学び教え合うことで、互いの強みを更に生かすことが出来ると信じています。そしてそれぞれの強みや可能性を探求しながら、未来社会に貢献していきたいと考えています。

ところで私と大本は、コペンハーゲン空港到着時に初めてPCR検査を受けました。実はデンマークでは空港は勿論の事、市内の至る所で、無料で簡易検査を受けることが出来ます。デンマーク滞在中は、私達は念のため「コロナ陰性証明書」と「ワクチン接種証明書」を常時携行しましたが、結局一度も使うことはありませんでした。既にデンマーク政府は「収束宣言」を出しており、空港での「マスク着用」の義務も帰国時には無くなりました。実際に繁華街のカフェ、バー、クラブには若者や観光客が溢れていましたし、勿論、誰もマスクはしていませんでした。

コロナ禍が収束したコペンハーゲンやオーフスと周りながら、現地の友人達との対話を通して理解できた収束要因は、下記のような事柄でした。

1、昨年6月メッテ首相から出された子どもや若者向けメッセージが明確で、国民に高く評価されたこと
2、メッテ首相のリーダーシップの下、国民と政府が信頼し、協力出来たこと
3、合計6か月にもわたる徹底したロックダウンと迅速な補償があったこと
4、PCR/抗体検査体制とワクチン接種体制(約80%)を早期に構築出来たこと
5、政府のデジタル化が進んでおり、職場や教育現場での混乱が少なかったことetc.

特に若者のPCR検査回数は、この1年で50回を超えるとのことでした。職場では週1回、教育現場では、学校毎に設置された簡易PCRセンターで週2回程度の検査が徹底されました。自分の健康を自己管理出来ることが、自律的行動を促進したのだと納得しました。改めて自律/自立を促す取り組みや教育、信頼を基盤とした社会インフラの整備については、日本社会でも早期に構築されることを願うばかりです。

今回の出張を改めて総括すると、“百聞は一見に如かず”です。変化の激しい現代社会においては、良質な一時情報や自らの経験に基づく直観や判断軸は、本当に重要です。そのためには日頃から「井の中の蛙大海を知らず」にならないよう、国際社会に対する好奇心や自らの成長を助けてくれる様々な人々との繋がりが、とても大切だと再確認できました。

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(写真)左:夜の繁華街パブの様子、右:アンデルセンが愛した観光地ニューハウン地区

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(写真)左:KAOSPILOTでのワークショップ、右:国立デンマークデザインセンターでのワークショップ

Voice from Denmark 

レアコペンハーゲンパートナーの坂本舞がデンマークから最新北欧トピックをお届けする連載コーナーです。
《プロフィール》中学卒業まで日本で過ごし、父の母国デンマークへ渡る。全寮制学校やインターナショナルスクールなど多様性のある学びを重ね、王立芸術アカデミーにてデザインスクールを卒業。デザイナー、アーティストとして、特にサステイナビリティーとフェミニズムの分野にて、様々なクリエイターと共に活動を展開中。カオスパイロットで学んだ後、現在は王立芸術アカデミーのマスターコース「Fashion, clothing, textile & new landscape for chang」に在学中。

Hej! Laereコペンハーゲンパートナーの坂本舞です。

私は9⽉頭にデンマークの王立芸術アカデミー⼤学院に進学しました。⼤学院最初の2週間では、毎年の恒例行事である『学部横断型マルチディシプリナリープロジェクト』が⾏われます。空間デザイン、ファションデザイン、家具・オブジェクトデザイン、ストラテジーデザインの4学部を横断し、10⼈程のチームで共に課題に取り組むプロジェクト活動です。

今年のテーマは『New European Bauhaus』でした。ヨーロッパ発の科学とテクノロジー、デザインと芸術を融合して「グリーンで美しい⼈間的な明⽇」というビジョンを⽬指して解決策を模索していくムーブメントです。このテーマで出された課題は、チームごとにデザイナー・建築家また起業家として最も⼤切なミッションは何かを⾒極め、サステナビリティ 、インクルージョン、美的感覚のどれかもしくは全てに関わるメッセージを伝える15分間の”経験”をデザインをするというものでした。

最初の1週間は朝から夕⽅までテーマと課題に関するレクチャー・ワークショップが組まれ、知識・理解を深めるともにチームメイトとの交流が図られました。2週間⽬は制作の時間。⽉曜⽇のマニフェスト制作から始まり、デザインプロセスを経て最終⽇の⾦曜⽇に”経験”の実⾏・発表をしました。私のグループでは、社会をよくしていくために個々人のバランス・ウェルビーイングがいかに重要であるかに焦点を当て、「間」にテーマに15分間⽴ち⽌まって瞑想・休養できるスペースとライトパフォーマンスを最終成果物としてデザインをしました。

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(写真)ライトパフォーマンスのリハーサルの様子。作品名は『Pause(日本語訳:間、休憩)』。

自分の専門分野から⼀歩踏み出し、広い意味でデザインスキルを応⽤をすることは、⾃身のクリエイティビティの発展においてとても⼤切なことであると考えます。最初の2週間が過ぎると、それぞれが⾃身の学部での制作活動に打ち込むようなり他の学部との触れ合いは滅多にないため、多様な視点を持つ⼈材とコラボレーションしてプロジェクト活動に取り組むことは貴重な経験にもなります。マルチディシプリナリープロジェクトで出会った他分野の学⽣と他のプロジェクトでコラボレーションするということも珍しくなく、この2週間の取り組みは学生の新たな可能性を耕す有意義な時間だと感じています。

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『Hej ! Laere』は、毎月届く、株式会社Laere(レア)からのお便りです。レアの最新情報やレアで話題になっている北欧トピックについて、皆様にこっそりお届けしていきます。”Hej(ヘイ)”はデンマーク語の「こんにちは」で、”Hej Hej(ハイハイ)”とふたつ重ねると「バイバイ」という意味になります。

またお会いしましょう!Hej Hej 👋

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