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「これからのリーダーに必要な『信じる力』」藤井大輔さん

私たちが2015年から毎年開催してきた「Creative Leadership」。職種や組織、地域を超えて、のべ1000名もの多種多様な方々に受講していただきました。これまで受講されたアラムナイ(同窓生)の方々に登場いただき、受講のきっかけや見つけたクリアボイス※、受講後の変化についてお話を聞いていきます。

※クリアボイスとは
「クリアボイス」とは、リーダーとして自分はどうありたいのか、 内側から湧き上がってくる想いに向き合い、言語化すること。「迷いなき“クリアな声”」に由来してネーミングされています。クリエイティブリーダーシップのプログラムでは「クリアボイス」を見つけていく過程で、人々が内省を深めながら、自身が背負う「べき論」と「本音」を識別し、例え心地悪くとも「本音」に徹底的に耳を傾け、自分の信念を見つけ、そこから発せられる「クリアボイス」を見つけていきます。

今回は2020年に「Creative Leadership」を受講した藤井大輔さんにお話を聞きました!


●お話を聞いた方

藤井大輔(ふじい・だいすけ)さん
富山県生まれ。大阪大学経済学部を経て、株式会社リクルートに入社。2004年にはフリーマガジン『R25』を創刊し、編集長として毎週60万部発行する。40歳を機に地元・富山に戻り、高齢者福祉事業を行うかたわら、社会福祉士の国家資格を取得し、地域包括支援センターでも勤務。2019年4月、富山県議会議員に初当選。

●地元に戻って気づいた、行政で働く人々の立ち位置

最初に私自身のことをお話しすると、現在、富山県の県議会議員として活動をしています。もともとは株式会社リクルートでフリーマガジン『R25』を創刊し、編集長を務めていましたが、40歳になったタイミングで地元の富山に戻り、介護事業に携わるようになりました。

リクルートは「最適なマッチングで世の中の“不”を解消」する使命を掲げている会社です。ここで言う「不」は不便や不満、不安、不都合などを指し、たとえば「いい仕事がしたい」と望む就活生と「いい従業員に働いてほしい」と望む企業、それぞれの不満や不便を解消してマッチングを図ったサービスが「リクナビ」です。

長年リクルートで働く中で、そのマッチングのノウハウを地方で活かすことができないか、と思っていました。そこで富山に戻ったとき、介護事業においてリクルートのやり方を試そうとしたのですが、見事に通用しませんでした。

悩みながら理由を探っていったとき、ふたつの原因が見つかりました。ひとつは競争環境の厳しい大都市圏と比べ、地方は中小企業が比較的多く、競争が少ないこと。もうひとつは、地方では何をするにしても行政の関与が強いということ。
東京に住んでいたときは、行政機関で働く人々がビジネスにどんな影響を与えているかなんて考えてもいませんでした。でも、地方ではまったく違う。しかも、福祉のような公的サービスでは準市場(国が決めた公定価格内で価格を決める市場)という行政主導的の市場なので、行政側の公務員の方々がどのような形で動いているかを学ぶ必要がありました。

そのうちに、行政側で働く人たちが社会に与えるインパクトの大きさを実感するとともに、その人たちが「世の中を変えよう」と思って働けば、地方ももっと変わっていくのではないかと思うようになりました。端的にいえば、公務員の方々が楽しく働けば、地方ももっと楽しくなるのではないかと。
そんなことを考えていた折に、たまたま「議員をやってみませんか」と声をかけていただきました。それは介護事業をする中で、すぐに解決できることもあれば、時間をかけて取り組んでいくべき課題もあると思うようになったタイミングでもあり、議員として取り組んでいきたいと考えて出馬を決めました。現在、2期目になります。

●地域の持っている力を最大限生かすために

「Creative Leadership」を知ったのは、2019年に議員の仕事の一環でデンマークへ視察に行ったときです。デンマークはインセンティブや罰則がないにもかかわらず、若者の投票率が高い国。投票率が低い日本の現状を変えるヒントを得るための視察でしたが、そのときにアテンドしてくださったのが株式会社Laereの皆さんでした。そのときに「Creative Leadership」について知り、興味を持ったのがきっかけです。

リクルート時代もさまざまな研修を受けてきましたが、それは同じような目的志向を持った人たちを強固なチームとしてマネジメントするためのもの。議員であり、介護の世界に身を置く今の私にとって必要なのは、地域の持っている力を最大限生かしながら、弱い立場にある人たちを束ね、自律的な活動を促していく力です。「Creative Leadership」はまさにその力を養うのに最適だと感じ、受講しました。

受講してみて、私にとっての「Creative Leadership」は、エンパワメントという言葉に行きつくと感じます。日本語で訳しにくい言葉ですが、人間には自立する力が備わっているという前提で、個人も、組織も、本来持っている力が最大限引き出される環境作りを支援し、協働していく。そう信じて、諦めないで進んでいくための手法を教えてくれるのが「Creative Leadership」だと思うのです。

複雑化した社会において、「Creative Leadership」のように諦めないための手法は必要です。特に日本は人口減少に伴い、システムを変えざるを得ない問題を抱えているので、諦めないことは非常に大切なのです。

●物事を成し遂げるために必要なクリアボイス

そんなこれからの社会変革型リーダーに必要なのは何かというと、私は「信じる力」だと思います。実はこれが私のクリアボイスでもあるのですが、大きな力が必要なものやことを成し遂げようとするときほど、多様な人たちの力を信じ、彼・彼女らが最大限に力を発揮できる場を作ることが大切だと思うのです。

私はそれをこれまでの経験を通して実感してきました。リクルートでフリーマガジン『R25』を作っていたときも、地元に帰って介護事業にチャレンジしたときも、いつも実行してきたのは関わる人々の力を信じて、その力を最大化すること。そのために苦労してでも、人々が胸の奥に抱えていることを引き出すことで共感や共鳴が生まれ、それはやがて大きなパワーになり、多くの人に浸透するものができあがるのだと思います。

そのために必要なのが「信じる力」というクリアボイスであり、今まで自分がそれに従ってやってきたことを、「Creative Leadership」を通して答え合わせのように実感しました。ここで言う「信じる力」とは、特定の誰かを信じるという話だけではなく、もっと大きな人間そのもの――「人間の英知」を信じようとする力なのかもしれない、と最近は思います。

何かを成し遂げようとするとき、その場にいる人たちを信じるということももちろんありますが、実現するまで10年、20年かかるようなことでも訴え続けていけば、いつか通じることもあるはず。きれいごとかもしれないけれど、見出したクリアボイスを通して、そういう「人間の叡智」のようなものを信じている気持ちもあります。

●システムを変えるための具体的な手法

今、物事を推し進める際のプロセスが、昭和的な発想ややり方とは大きく異なってきています。私のような地方議員には、昔は「地元の代表として地元に有利な意見を言う」ことが求められていたと思いますが、今は物事を事細かく調査し、事実を把握したうえでボトルネックになっているところを検証し、全体をコーディネートする役割が求められています。強いリーダーシップで引っ張るというより、人々の潜在的な能力をうまく掘り出してマッチングさせ、物事をコーディネートしていくことでシステムの根本を変革するリーダーが必要になっているのです。

そんなふうに世の中のシステムを変えるリーダーとしての具体的かつグローバルな手法を学びたい人に、ぜひ「Creative Leadership」を受講してほしいと思います。また、自分の中でもやもやとした課題を抱えて行き詰まっている人にもおすすめです。やらなきゃいけない課題の多さに押しつぶされそうな人が受けると、発見が多いと思います。

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次回Creative Leadershipのプログラムは、2023年10月に対面での開催を予定しております。ぜひチェックしてみてください。

Creative Leadershipプログラム開催予定
10月:対面で学ぶコース

★Creative Leadership プログラムの説明会はコチラ(毎月開催中!)

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