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Hej! Laere vol.31 デンマーク、フィンランドでみる最先端の図書館のあり方

こちらのnoteでは、Laereが定期的にお届けしているお便り『Hej ! Laere』をダイジェストにして公開しています。本ニュースレターは、6月30日に配信しています。

Next Library Conference 2023 5/13-16 に参加して思うこと

デンマーク第二の都市、人口30万人のオーフス市にある公立図書館は、『DOKK 1(ドックワン)』という愛称で多くにオーフス市民に愛されています。この世界最先端の図書館と言われるオーフス市立図書館を中心に、2年に一度開催される国際カンファレンスが「Next Library Conference」です。 2回に一度はオーフスで、それ以外の年は世界のどこかの都市での開催を目指し、専門家によるキーノートやセミナー、ワークショップなどを通して世界中からの参加者とともに図書館や公共施設における新たな付加価値の創出を共創しています。今年のテーマは、”Suitability, Democracy and Play”でした。図書館運営に関わる図書司書だけでなく、行政や協働を実践している民間企業など、30か国から約350名が集まり、4日間にわたり素晴らしい場と機会が形式されました。

オーフスの図書館「DOKK1」にて開かれたNext Library Conference

弊社レアでは、2019年の初参加に続き、今年もオーフス図書館からお呼び掛け頂き、この国際カンファレンスにレアチーム3 名で参加しました。2019〜22年とコロナ禍の影響もあり3年間大規模な開催はなく、地域限定的なPOP UPでの開催だったようです。このカンファレンスは約20年前から欧州やアメリカのいくつかの国の図書館を中心に始まりました。テクノロジーの進歩により、公共図書館や図書司書の役割も大きく変化しています。現在は、書籍収蔵から人やメディア、テクノロジー開発の集積地としての役割が確実に高まりつつあります。

日本からは残念ながら、弊社レアチームのみの参加でした。MIT やハーバード大学の最新研究やコーペンハーゲン大学や地元のオーフス大学からも事例研究レポートの共有、また協賛企業の出展などもあり、カンファレンスというよりフェスティバルのような雰囲気の4日間でした。同じ場所を共有しながら35か国の専門家と対話、交流出来る絶好の機会でもありました。また オーフス図書館では、“mingling(ミングリング)”と称される緩い交流会・おしゃべり会が、期間中至るところで開催されており、誰とでも気軽に話せる雰囲気の作り方は、本当に秀悦でした。

レアチームからは、複雑な課題に直面した時にも本音を引き出し合えるパペットの試作と実験するプレイフルワークショップを実施しましたが、とても好評でした。本音で語り合うことの難しさは万国共通の問題であることも理解できました。すべてのセッションやワークショップは、基本英語となります。日本人にはハードル高く感じる場面も多々ありますが、この世界的動向を理解するためには、直接対話に参加する価値は、無限大だと実感しています。

来年の開催地はまだ決まっていませんが、もしかしたらアメリカと勝手に妄想しています。そして2026年は是非 日本開催をぜひ検討して! と言われましたが、自治体や企業の方でご興味ある方、いらっしゃいますか?ご興味ある方は、お声かけください。また下記のURLもぜひご覧下さい。

https://www.nextlibrary.net/next-library-festival-2023/


レアからのお知らせ

7月6日に、北欧社会との連携に強みを持つレアが、協働を通して得られた知見をもとに「遊びごころ」を探求する1dayワークショップを開催します! Next libraryでの実践や、教員を目指して現在レアインターン中のAndreas氏とのコラボレーションを通して得られた「遊び」に関する可能性や体験を皆さんと共有できればと思います。ぜひ一緒に、よりよく働き、生きるための遊びごころとは何か、共に探求しましょう。
お申し込みはこちらから:
Laere Playful Lab 2023 〜 北欧流 ・ よりよく働き、生きるための「プレイフルマインド(遊びごころ)」を育てる


Voice from Finland

「Voice from Finland」では、アアルト大学デザイン修士課程Collaborative and Industrial Designに在籍中のえりかさんにご寄稿いただきます。今回はえりかさんが足繁く通うフィンランドの図書館について。先にお伝えしたデンマーク・オーフスの図書館「DOKK1」と同じように、ただ本を借りる場所を超えた図書館のあり方を考えます。

Morjens!(こんにちは!)フィンランドのアアルト大学に留学しているえりかです。前回のニュースレターでは、「フィンランドと日本のデザインや国民性の違い」について、友人のエキ・マサリンさんにお話を伺いました。今回は、私が大好きな「フィンランドの図書館」について、ゆるりとお話しさせてください。

リビングルームのような図書館

フィンランドに留学してから、早9ヶ月。大学と家の往復を繰り返す日々の中で、「第三の場」としてよく通う場所が図書館です。自然光を生かした明るくて開放的な空間、快適な椅子や読書スペース、多様なイベントやワークショップ。何時間でもいられるほど居心地がよいフィンランドの図書館は、私のような学生はもちろん、子どもから大人まで幅広い世代の利用者に愛されています。

ヘルシンキには、40近くの公共図書館と多数の学術図書館があり、図書館ごとに地域の特性や利用者のニーズに合わせたサービスが提供されています。2019年度の「Public Library of the year」で世界一に選ばれた「ヘルシンキ中央図書館 Oodi」、北欧で最初に公共図書館として設計された「Rikhardinkatu図書館」、公園の中にあり、静かで大きな自習室が学生に人気の「Töölö図書館」などなど。ヘルシンキでは、個性や特徴が異なる図書館の中から、その日の気分に合わせて訪れる図書館を選ぶことができます。

市民参加型のデザインプロセスで作られたOodi

図書館の電子サービスをテーマにした授業

私が所属しているCollaborative and Industrial Design学科では、身の回りのモノやサービスを対象にした課題がとても多く、図書館もそのうちの一つです。1年生の必修科目である「User Inspired Design」という授業では、「公立図書館がシビック・イノベーション・センターとしての役割を果たすための解決策を提案する」という課題に、チームで取り組みました。

地域での図書館の役割を調査する中で学んだことは、図書館は単なる本の貸し出し場所ではなく、人々が集うコミュニティの場として、フィンランド人にとって欠かせない存在である、ということです。授業としては、正直楽しかった記憶よりも、グループワークに苦しんだ記憶が鮮明に残っていますが、司書の方や利用者のリアルな声を聞くことができた貴重な機会になりました。

2022年に140周年を迎えたRikhardinkatu図書館

司書として働く友人の話を聞いて

本の貸し出しだけでなく、ミシンやゲーム、楽器、3Dプリンターの利用など、やりたいことができる環境が整っているフィンランドの図書館。司書だけでなく、先生やユースワーカーなど、様々な職種の方々が働いており、「安心して何でも相談できる公共の場」として、市民のニーズに日々応えているのだとか。

教養を高めるため、静かに本を読むため、誰かと交流するため、何の目的もなくゆっくりとした時間を過ごすため。どんな利用でも歓迎される、自由で民主的なフィンランドの図書館は、市民にとっても、図書館で働く人にとっても、今も昔も誇りや愛着を持てる大切な場所のようです。

公園に面した大きな窓の壁が特徴のTöölö図書館

6月はフィンランド語で「Kesäkuu(ケサクー)」。kesäが「夏」でkuuが「月」を意味する、文字通り「夏の月」です。私は100%インドア派なので、大好きな図書館で一日過ごしたいところですが、今年は積極的に外に出て、短いながらも美しいフィンランドの夏を堪能したいと思います!

それでは、Nähdään!(また会いましょう!)

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それではまたお会いしましょう!Hej Hej 👋

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