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Hej! Laere vol.24 サスティナビリティをリードするデンマーク企業「オーステッド」へ~デンマークスタディツアーレポートvol.2~

こちらのnoteでは、Laereが定期的にお届けしているお便り『Hej ! Laere』をダイジェストにして公開しています。本ニュースレターは、11月24日に配信しています。

企業のサステナビリティをリードする企業「オーステッド」へ

みなさんは「Ørsted(オーステッド)」というデンマーク企業をご存じでしょうか?オーステッドはデンマークのエネルギー企業で、洋上風力発電を軸とした再生可能エネルギーの発電を行っています。2022年にはグローバル100インデックスの「世界で最も持続可能なエネルギー企業」に選出され、企業のサスティナビリティをリードする存在です。弊社では、9月のデンマーク渡航でオーステッドのオフィスを訪問しました。

オーステッドのオフィス内の様子

実はオーステッドは最初から再生可能エネルギーに注力していたわけではありません。2006年当時はヨーロッパ有数の石油・石炭を使用する企業でしたが、2008年に化石燃料を利用した発電から再生可能エネルギーの発電方法へ移行する目標を掲げました。当初は30年の移行計画でしたが、約10年で目標を達成し、現在は再生可能エネルギー発電のノウハウを世界中に展開しています。

オーステッドはその後も新しいことに取り組みつづけ、変革の組織としての歩みを続けています。企業組織の変化を推し進めるためのヒントを、オーステッドデザインセンター長マイケル氏に伺いました。

キラキラした手法が組織を変えてくれるわけじゃない


マイケル氏はオーステッドのデザインセンター長として、デザインプロセスを用いたオーステッドの社内プロジェクトを進めています。彼は「オーステッドは100年以上続く企業で、公共インフラを扱う企業でもあるため、変化に対するリスクの意識は非常に高い企業だ」と話します。それでもデザインプロセスを浸透させ、会社の変化を促すために様々な方法を試したそうです。

その中でも大切にしているのは社内理解の獲得でした。マイケル氏はオーステッドの全体組織図をアミューズメントパークのマップのように示したり、デザインプロセスを使ったプロジェクトの成果と成功した先を想定した姿を雑誌の形で発信したりと、ユーモアある方法でデザインプロセスの魅力と成果を形として示し続けました。その結果、エグゼクティブ層の理解が少しずつ進み、今までになかったプロジェクトへの理解も得られつつあるそうです。


オフィスでオーステッドの歴史について伺っている様子。左側がマイケル氏

近年、デザイン思考はイノベーションや変化を起こすツールとして注目されています。しかしオーステッドの事例から見えてきたのは、デザインプロセスが組織が変化する劇薬のようなツールではなく、あくまでも1つのツールでしかないということです。1つのツールを安易に使いっぱなしにするのではなく、使いながら小さな成果を積み重ね、継続していく。「small things change the world(小さなことが世界を変える)」ことを信じ、行動し続けることが大きな変化を生む近道なのかもしれません。

Voice from Finland

この連載はアアルト大学に留学している吉田真理子さんがフィンランドから最新北欧トピックをお届けする連載コーナーです。今月の『Voice from Finland』では真理子さんが体験したスタディツアーの様子をお伝えします。

Moi(こんにちは)!
フィンランドのアアルト大学に留学している吉田真理子です。Voice from Finlandでは「共創」「ウェルビーイング」をテーマにフィンランドでの学びや体験をお届けしています。

レアさんのデンマークスタディーツアーと同じ時期、9月下旬にスウェーデンとデンマークに1週間の研修旅行に行ってきました。
今回の研修旅行の目的は、スウェーデンとデンマークにある提携大学の教授を訪問し、修士論文への意見をもらうこと。また現地のアート教育に触れることでした。もともと、今年の2月に研修旅行を実施する予定でしたが、コロナの影響で延期しました。その後、フィンランド国内で研修になりそうな場所を探し、みんなで学部に手紙を出して抗議。粘った甲斐があり、予定通りスウェーデンとデンマークに行くことができました。

旅の始まりは夕方のヘルシンキの港から。その名もバイキングボートに乗り、ストックホルムに向けて出発。約12時間の船旅でした。船の中はいわゆる豪華客船、乗客のほとんどはお年寄り。友人とカラオケをしたり、トランプをしているうちに時間はあっという間に過ぎました。

そしてストックホルムに到着した足でそのままストックホルム郊外にあるKonstfack University(コンストファック大学)へ。Konstfackはスウェーデン最大のアート、工芸、デザインの大学です。訪問時、Kostfackの教授がキャンパスを案内してくれました。ギャラリー、大きなガラス工房、陶磁器工房、木工などさまざまな工房があり、アアルト大学と比較しても施設の大きさを感じました。


スタディツアーの様子

ツアー後は修士論文の中間発表会。私の論文に関して、教授から有益なアドバイスをもらいました。私の修士論文は「感性教育がどのように心理的安心感を職場で作り出すのに寄与するか」についてです。レアさんにもご協力いただいたワークショップについてもお話ししました。ディスカッションでは、「世の中ではよく感覚、理論と分けることが多いけど、教育においてはっきりと分けることは難しいし、むしろ相互作用している」と指摘をされました。感性の研究をしているからこそ、そのことについては忘れてはいけないなと思いました。


真理子さんが発表している様子

デンマークではAalborg University(オルボー大学)を訪問しました。Aalborg大学は科学、教育、デザインなどの学部がある総合大学です。

教授室に工作キットやボードゲームがあります。それらはプロトタイプをつくる際に活用されるそうです。道具を使って授業のデザインをしたり、プロジェクトのプロトタイプを作るとのこと。まずはやってみる、つくってみる精神が見てとれます。

授業については、サステイナブルデザインを学ぶ学部のクラスを見学しました。そこでもいろんな学生のグループワークのプロトタイプのボードなどを発見。まずは試してみるマインドが教育に浸透していることが見えました。


公共アートプロジェクト「Superkilen」にて

その後はAalborg Universityの教授が関わった「Superkilen」という公共アートプロジェクトをみんなで体感しながら回りました。Superkilenは公共の公園で、移民の人の多い地区にあります。移民の人と現地の人が交わることができるように作られた場所です。授業でも取り上げられていたのでこの場所について知っていたのですが、自分がその場にいることで雰囲気を感じたり、現地でいろんな方が公園に集っているのをみて、聞いて、体感して、全く違った学びが得ることができました。

同じ北欧でもアート教育のアプローチ方法、外部との関わり方の違いを体感できました。机上ではなく、感性をフルに活用して学んだ1週間でした。

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『Hej ! Laere』は、毎月届く、株式会社Laere(レア)からのお便りです。
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”Hej(ヘイ)”はデンマーク語の「こんにちは」で、”Hej Hej(ハイハイ)”とふたつ重ねると「バイバイ」という意味になります。

それではまたお会いしましょう!Hej Hej 👋






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