Hej! Laere vol.28 自分の想いをどう社会につなげていくかを考える8ヶ月〜産総研デザインスクール修了レポート〜
産総研デザインスクール8ヶ月間のプログラムが終了しました!
2022年2月中旬、弊社レアが運営サポートをしている産総研デザインスクールが8ヶ月のプログラムを終えて、修了式を迎えました。
産総研デザインスクールとは、国立研究開発法人 産業技術総合研究所が主催し、不確実な時代でも社会が本当に求めているものを共に創れる「共創型リーダー」を育成するプログラムです。弊社レアでは2018年の立ち上げ当初から運営支援として携わっています。
デザインスクールでは、最初に自分が成し遂げたいことや実現したい未来社会を探求する「My will」の探求から始まり、参加者でプロジェクトチームを組み実際にプロジェクトを実装する実践型のプログラムとなっています。
プロジェクトのテーマもチームに委ねられ、チームでプロジェクトを立ち上げていきます。プログラム終盤には最終成果発表が行われ、各チームがプロジェクトについてワークショップやテレビ形式など、さまざまな方法で発表します。
今年はライフデザインやコミュニティなど、「人」に近いプロジェクトテーマが多いことが特徴でした。デザインスクールでも大切にしている「対話」や「内省」への価値を強く感じ、それを反映させたプロジェクトアイデアも生まれています。
この傾向は、人がどう変化し、つながっていくのか?そして多くの人が心地よく暮らせる社会はどんな社会なのか?という問いにつながっており、支援サポートをしていた弊社メンバーも考えさせられるテーマでした。
産総研デザインスクールは今年で5年目となります。今まで立案されたプロジェクトの中には、プログラム終了後も継続しているプロジェクトもあるそうで、デザインスクールから新たな変化が生まれる予感を感じています。今後の活動にもご期待ください!
Voice from Finland
Moikka!(こんにちは!)フィンランドのアアルト大学に留学しているえりかです。
前回のニュースレターでは、「なぜフィンランドに留学することになったのか」を、半生を振り返りながら紹介させていただきました。今回は、私がアアルト大学のデザイン修士課程CoID(Collaborative and Industrial Design)で何を学び、何を感じているのかを、ゆるりとお話しさせてください。
アアルト大学とCoID学科
アアルト大学は、2010年にヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ経済大学、ヘルシンキ美術大学が合併して誕生した総合大学です。デザイン・アートの分野では、QS世界大学ランキングで第6位。2023年度は、なんと117か国から12,000人以上の出願があり、デザイン・アートのプログラムでは、私が在籍しているCoIDとCS(Creative Sustainability)の人気が高かったようです!
CoIDは、サービス・ソーシャルデザイン、プロダクトデザイン、インタラクションデザインの3つのコースで構成されています。学士から進学してきた人、UX/UIデザイナー、サービスデザイナーやインダストリアルデザイナーとして社会経験のある人、デザインとは関係のない業界で働いていた人、子どもがいる人など、年齢・国籍・バックグラウンドは様々。異なる専門性持つ学生とグローバルで多様な環境が、CoID、そしてアアルト大学の特徴のひとつです。
なぜグラフィックデザイナーがCoIDに?
アアルト大学にはVCD(Visual Communication Design)という、視覚デザインを学ぶことができるプログラムがあり、私のようにグラフィックデザインをバックグラウンドに持つ学生は、CoIDの中では珍しい部類に入ります。そんな私がCoIDを選んだ理由は、「コ・デザイン」(デザイナーだけでなく、実際の利用者や関係者が積極的に関わり合いながら、デザインを進めていくアプローチ)を学ぶためです。
2018年に広告業界から地元の公立文化施設への転職し、デザイン知識や経験を持たない同僚や関係者の方々と働く機会が増えました。デザインをどのように言語化すればいいのか、デザイナーがノンデザイナーと「いっしょに」デザインするとはどういうことなのか、を模索する中で出合ったのが「コ・デザイン」という考え方です。書籍「コ・デザイン–デザインすることをみんなの手に」(著者:上平崇仁さん)や、CoIDで勉強されていた日本人の先輩方の記事を通して、「コ・デザイン」に興味を持ち、アアルト大学のCoIDで勉強することを決意しました。
何度経験しても、苦戦し続けるグループワーク
CoIDに限らず、アアルト大学で避けて通れないのが「グループワーク」です。先日終わった必修授業「Interaction Design」では、6週間ほぼ毎日メンバーと顔を合わせながら「バス停のユーザー体験を向上させる」という課題に取り組みました。メンバーの国籍は、フィンランド、オランダ、インド、中国、日本。バックグラウンドは、グラフィックデザイン、デザインマネジメント、コンピューターサイエンス、哲学と様々でした。
「多様性溢れるチームによるコラボレーション!」といえば聞こえはよいですが、言語も文化も価値観も異なる人たちとの協働には、ストレスとフラストレーションもつきものです。CoIDの授業にはほぼグループワークがあり、クラスメイトに「グループワークの調子はどう?」と聞くと、大抵苦笑いしながら「まあまあ」という回答が返ってきます。
日本語でも意見を主張することが苦手な私にとって、グループワークは決して楽しいものではありませんが、その反面「学ぶ」機会も非常に多いなあと感じています。物事の見方、得意不得意、課題に対するモチベーションも多種多様なメンバーの中で、相手の立場や背景をどのように理解し、何を工夫して課題に取り組むのか。グループワークは課題を通して、他者だけでなく、自分自身の個性や思考と向き合う時間といえるかもしれません。
グループワークをはじめ、うまくいかないことの方が圧倒的に多い毎日ですが、腐らずに「学ぶこと」「失敗すること」を楽しんで、一つ一つ小さな挑戦を積み重ねていこうと思います。
それでは、Nähdään!(また会いましょう!)
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