トラウマレベルの駅遠生活
今朝、車で娘をバス停まで送って行ったら、先発のバスが停まっていて乗客が乗り降りしていた。
そこに、一台の車が到着し、高校生くらいの女の子が慌てて車から降り、猛ダッシュしてそのバスに向かった。
その姿を見た私は、反射的に「がんばれ!!」と拳を握りしめ、尋常じゃない力強さでその子にエールを送ってしまった。
◇
娘を車から降ろして、帰りの車内で「私はなぜあの女子生徒の姿を見て、あんなに強く、がんばれ!!と思ってしまったのだろう?」と考えた。
で、思い出したのだった…。
自分の学生時代を。
◇
私が育った家は、東京近郊の地方都市にあったのだが、最寄りの駅から家までが、それはそれは遠かった。
歩くと1時間以上、バスでも団地をグルグル回るので25分くらいかかる。
ただそのバスも1時間に1本くらいで、朝はかなり遅れたりする。
そのような環境の中、中学の頃から電車通学をしていた私は、毎日バスで家と最寄りの駅を往復しなくてはならなかった。
◇
これがまあ、とっても大変だったのだ。
朝ギリギリに起きてしまい、バス停までダッシュで走る道すがら、乗る予定だったバスが自分の横を通り過ぎ、心臓バクバクしたり。
ぐったり部活で疲れているのに、家に帰るバスが1時間後発車で、駅でなんとか時間を潰さなくてはならなかったり。
バスに乗ったら乗ったで、寝過ごしてしまい、2駅先で降りてそこからトボトボ家まで歩かなくてはならなかったり。
そんなバス生活の辛い日々が、今朝の女子学生を見て思い出され、自分に重ねてしまったのだ。
◇
さて、私のバス生活は、体力が付いてきた高校生になると、今度は自転車を使って駅まで行くようになる。
駅の市営の駐輪場はいつも一杯だったから、相場の3倍くらい使用料が高い家族経営の駐輪場を、渋々母親が契約してくれた。
毎朝その駐輪場の主の、大仏みたいな髪型をしたオバさんに、スカートの長さやらルーズソックスのたるみ具合など露骨にチラ見されながら、雨の日も晴れの日も駅まで通った。
駅周辺はヤンキーも多く、治安も良くなかったから、「ちょっと駅ビルでお買い物」と、駐輪場に停めずに路駐すると、すぐ自転車が盗まれたりもした。
◇
以上の経緯から、私の中で駅から家が遠いことへの「恨み」のようなものが、完全に根付いてしまった。
そのため実家を出てからは、家探しの条件に「最寄りの駅まで徒歩3分以内」を一番に掲げ、「駅近必勝」というねじり鉢巻をし(これはウソ)、その夢を叶えてきたのだった。
◇
で、実際、駅近に住んでマジで思った。
「駅近、最高」
「今までの人生、なんだったの」
もちろん駅から近い分家賃は上がるが、駅近にはそれに変えられないくらいのメリットが多々あった。
だって、天気が悪い日でも駅まで近いと髪の毛がうねる前に電車に乗れるし、酔っ払っても駅から家まで近いと、なんとか家まで辿り着ける。
そして何より、駅往復の時間を考えなくて良いから、スケジュールがシンプルに組める!!
なんて身軽なんだ。
駅近に住んで本当に人生変わった。
この先も一生、駅近に住もうと心に誓ったのだった。
◇
えーっと。
さて、ですね、ゴホン(咳払い)。
こんなに「駅近に住まなきゃ人生終わり」と思っていたはずなのですがね、今じゃ私、沖縄の田舎に住んでおりまして、、。
駅近どころか「そもそも駅がない」生活をしているのです。
どこでこうなったのか、自分でもわからない。
ははは。
人生って何が起きるかわからない。
とりま、通学で大変な皆さん、大人になったら自分で稼いで、好きな所に住んでみたら良いよ。
がんばってね。
ラエコ
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