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困った男①

 父はトラックの運転手をしていた。わたしが小さい頃はダンプカーで砂利なんかを運んでいた。高校生の頃にはトラックで遠距離の仕事をしている。よく浜頓別から苫小牧まで荷物を運んでいた。
 父の免許証は2輪を除いて全部に◯がついていた。
「だからお父さんはやろうと思えばバスの運転手もできるんだよ」と自慢気に言う母。
 父は会社で誰かに面白くないことを言われるとすぐ辞めてしまうようなところがあった。
「お父さんはきちんとした仕事をする人だから『遊んでるならうちに来てくれ』っていうとこいっぱいあった。だから仕事にあぶれたこと無い」と自分の事のように言う母。

 父は、車という機械が好きで自分のやった仕事は他人に文句をつけられたくない負けず嫌いだったってことかな。

 そんな父の最後の浮気が発覚する。
というか母に別れてくれと言ってきたのだ。相手が妊娠したのだと言う。会社で新しくトラックの運転手として入った女性で、父はその人の指導を頼まれて一緒に仕事をしていたという。年齢はわたしより上ではあるが娘のわたしといくらも違わない。

え?なんで?
58歳のオッサンを選ぶ?

と思ったら父は10もサバをよんでいた…。

それはあんまり…無理っぽくない?と思ってるわたしの横で、母は半狂乱である。



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