体と薬と健康と・・・第9話 便秘③
~便秘薬にも種類があるんです~
健康コラム『読み物サプリ』。
第7話・第8話と「便秘」について「なぜ便秘になるのか?」「3種類の便秘」 というテーマでお話しさせていただきました。
そこで最終回の今回は「便秘薬の種類について」お話ししたいと思います。
▼なぜ便秘になるのか
うんちを柔らかくして自然に排便する薬
まず1種類目は塩類下剤(えんるいげざい)と呼ばれる便秘薬です。
店頭に並んでいる便秘薬の中で「酸化マグネシウム」配合がアピールされている便秘薬を指します。
「酸化マグネシウム」は腸の中で水分を吸収する働きを持っており、一度吸収した水分は、腸の壁に吸い取られることなく、そのままうんちをやわらかくしたり、うんちの容積を増やしたりしてくれます。
すると、腸が膨張したうんちによってやさしく刺激されて、腸の中のうんちを肛門の方へ送る運動が活発になり、便秘を解消するように働いてくれます。
無理に腸を刺激して排便させようとするのではないので、自然に近い形での排便が期待できというわけなんですね。
(お腹が痛くならないのがうれしいポイント!)
便秘になったと時、最初に選ぶのはこの「塩類下剤(酸化マグネシウム)」の便秘薬がおススメです。
うんちの容積を増やして自然に排便する薬
続いて2種類目は膨潤性下剤(ぼうじゅんせいげざい)とよばれる便秘薬。この便秘薬の成分は「プランタゴ・オバタ種皮」といって、
プランタゴ・オバタという植物の種子の外側の皮の部分を精製した成分です。そのためとても多くの「食物繊維」が含まれ、「プランタゴ・オバタ種皮」が腸の中で水分を吸収してうんちのカサ(容積)を増して、容積が増したうんちが腸をやさしく押すことで腸の運動が亢進され、自然なお通じが期待できます。
このプランタゴ・オバタ種皮の、「食物繊維として水分を吸収してうんちのカサを増やす」という性質から、食が細い(あまり食べない)方で、便秘がちな方におススメの便秘薬です。
腸を刺激して排便を促す薬
そして3種類目は刺激性下剤と呼ばれる便秘薬です。
この刺激性下剤の成分は「ビサコジル」といいます。この成分は、動きの悪くなっている腸を刺激することで腸の動きをよくして、うんちの通りをよくしていきます。
ただし、この「ビサコジル」は注意すること3つありますので、お伝えしておきます。
腸を直接刺激するので、お腹が痛くなることが多い
痙攣性の便秘の場合は、悪化するおそれがあるので不向き
毎日使い続けていると、クセになって使用量が増えてしまう
▼痙攣性便秘についてはこちらから
店頭にある商品では「ピンクの小粒」という表現や、「〇〇〇ラック」といった商品名が特徴的です。パッケージの成分名の欄に記載されている「ビサコジル」という成分名で確認しましょう。
漢方薬
便秘にいい「漢方薬」もあるので簡単にご紹介しておきますね。
『大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)』
体力に関わらず、多くの方にご利用いただける代表的な漢方の便秘薬です。
『麻子仁丸(ましにんがん)』
体力が中等度以下で、高齢者のコロコロした便に向いている漢方の便秘薬です。
『桃核承気湯(とうかくじょうきとう)』
体力中等度以上で、のぼせて便秘がちな女性の方などに向いている漢方の便秘薬です。
またいつか機会があれば、漢方薬のことも詳しくお話しできたらと思います。
3回に渡ってお伝えしてきた便秘の話。
いかがでしたでしょうか。
便秘に悩まれている方は多いのではないかと思いますので、ぜひ腸活の話とあわせて参考にしていただけたらと思います。
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▼執筆している薬剤師