『まんがで知る教師の学び これからの学校教育を担うために』(前田康裕 )を読んで
「教える」ってむずかしい。一度、ある大学の勉強会・講座に呼ばれて話をした経験がありますが、どうも1対Nの一方向になってしまいました。
仕事の「教える」ことの関連でいえば、濱口秀司さんのナレッジ(知識・知見)の四象限を参考にしています。何をすべきか/どうすべきかの一軸。文書化できる/できないの一軸。
この二軸を基準に「マニュアル」「スキル」「カルチャー」をとらえています。
さて本書は、教育専門の出版社から出ている漫画。
どう教えるかという「スキル」だけでなく(むしろ本書は手段の目的化に警鐘を鳴らしている)、「そもそも」(「Why」にちかい)から始まっています。
漫画形式で読みやすい(クオリティ高い!)ですし、一般の生活者が読んでも得られるものはあると思います。
主人公の吉良先生は、若手の教師たちに対してコーチングのように「そもそも」を聞き出し、気づきを与えていきます。
冒頭の「学び」とは何か。ここだけ持ち帰っても損はありません。
「学ぶ」とは
「学ぶ」とは「何かに気づき自分が変わること」。人の生き方から「学ぶ」ということはあっても、人の生き方から「習う」とは言わない。習う場合は身につける内容が先にあるけど、学ぶ場合は身につける内容は学ぶ本人次第。
これは対生徒にもいえることですし教師にもいえること。もっといえば、すべての読者にあてはまる。そうか、その手段として「教える」があるのか。
資質と能力の関係
本書は、今津孝次郎著『教師が育つ条件』を引用し、教師の資質能力を6層に分けたモデルを紹介しています。教師以外にも応用できると思ったので、項目はちょっと抽象的に編集しました。
*問題解決と課題達成の技能
*指導の知識・技術
*マネジメントの知識・技術
*対人関係力
*価値観の練磨
*自己成長に向けた探究心
おもしろいのが上記の6項目について、
上にいくほど「能力」
下にいくほど「資質」
というグラデーションの関係で表していることです。
もう一つ、外からの観察・評価として
上にいくほどカンタン(見える)
下にいくほどムズカシイ(見えにくい)
これはイメージしやすいです。
たとえばでいうと、一番上の「技能」は実践的能力だけど、それだけ磨くというのはムリ。
後半二つ「価値観」「自己成長に向けた探究心」が乏しければ、上のすべてがダメになる。
実際、下にいくほど、外からの観察はできません。つまり個人に委ねる要素が大きくなる。上司の立場からすれば「目に見えないもの」をとらえなければならないともいえそうです。
続編が気になる!
この漫画は本当によくできています。どうしてもキャラクター設計は普遍性のあるものになりますし、伝えたいエッセンスが先行しそうです。おそらく相当の時間をかけてストーリーを練ったのだと思います。
「漫画で〜」類の本ってなかには解説の文章が主で、漫画が従ってときもあります。本書はまちがいなく漫画がメインディッシュです。
シリーズもので2と3が出ているそうです。読みたい…!
というわけで以上です!
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