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『居心地の1丁目1番地 〜それが分かると人生は少し自由になる』(コルクラボ)を読んで

家の本棚にアリストテレス『詩学』がある。創作・ストーリーの基礎を学ぶのに適した古典ですが、これを手にとったのはコルクラボの読書会のテーマ本だったから。

そう、あのときぼくは仕事でその読書会に参加できなかった。

2017年から始まったコルクラボ。そのはじめに参加させてもらったものの、せっかく機会を活かせなかった。仕事の忙しさと重なってしまったのもあるが、コミットできなかったのが正直なところ。

プロジェクト型から包摂型へ

コルクラボとは、あの佐渡島さんが自らコミュニティを勉強するために立ち上げた実験型プロジェクト。いまもなおアップデートしています。

当時は包摂的な居場所よりも、プロジェクト型的な色が濃かったように感じます。ある方の昨年ベスト本ということで、たまたま本書を手に取りました。いやあ、進化してるなあ。

その後、運営リーダーや専任の社員を立てるなど人の強化を図っています。なにより内部での試行錯誤の形跡がみてとれる。

なぜわかるかというと、まさに本書がそのコルクラボの蓄積・プロセスをギュッとつめこんだ内容となっているからです。

あなたが好きなあなたになる

ラボのメンバーによるコラムが充実しています。そのなかに「あなたが好きなあなたになる」という現在のコルクラボの理念&キャッチコピーが出来上がるまでの経緯が綴られています。

これがおもしろい。

「あなたにとってコルクラボとは?」とメンバー内でヒアリングし、やがて「好き」というキーワードが出てくる。

あとはキャッチコピーにするためにコアメンバーで決めていくなかで、平野啓一郎さんの「分人」的アプローチを取り入れています。

ちなみにそのキャッチコピーに紐づくかたちで、コルクラボには活動方針が4つあります。

1.自分の安全安心を知る
2.自分の言葉を紡ぐ
3.好きなことにのめりこむ
4.人の頼り方を知る

本書では、そのひとつひとつを深堀りしていきます。目玉は、テーマごとに沿って著名人に行ったインタビュー内容。なかでも「自分の言葉を紡ぐ」の古賀史健さんの回だけは紹介しておきたい。

自分にウソをつくな!

たとえば古賀史健さんの「自分の言葉と心を一致させていく」ことについての返し。

いやいや。実は僕にもまだまだ課題があって、1000本以上書いたnoteの中で自分の心とは違うもの、うそがまぎれ込んでしまった回が2本あるんです。どれくらいの人が気がついているかわからないけど、自分では本当に情けないし、心がちくちく痛みますよね。

ハッとした。同時に思い出したのが先日ご紹介した幡野広志『なんで僕に聞くんだろう』のなかで心に響いた箇所。

「幡野さんみたいな文章を書きたい」と寄せられた相談に対してのアドバイス(「ウソをつかないこと」)の説明です。

ウソをつかないというのは、作り話をしなさいということではありません。
(略)ウソというのは、おもってもいないことを書くことです。
本音で書くというのがぼくは大切なことだとおもいます。自分が日々感じていることや、自分がたどりついた答えを、ウソをつかないで書くということをぼくは心がけています。


話をコルクラボに戻すと、いわゆるコミュニティって言葉の持つ意味の力がつよくて、人によってイメージするものはさまざま。

そのなかで、実践しながら内側から言語化して発信するような組織って他にないと思う。これホントに。

というわけで以上です!



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