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その2)賃金労働の技術的失業について

「ベーイックインカムになると誰も働かなくなる」と考えた人がいますが、実際は賃金労働の方が先になくなっていくというほうが自然な流れだと思います。人間でないとできない仕事は今のところたくさんありますが、それは今後テクノロジーの発達によってどんどん狭まっていくことになります。

18世紀末の産業革命の時は、蒸気機関などの動力ができたことから、多くの手工業が工場生産に変わりました。例えば絨毯は人手で作ると何ヶ月もかかり、価格もそれに見合った形で高くなりますが、機械織りのものは1日ででき、手頃な安さとなります。このように人間より何倍も効率よく機械が働くようになると技術的失業が起こります。

筆者もデザインの仕事をしていたときに技術的失業を目撃したことがあります。印刷物が写真製版という方法で製版していた頃は、印刷物は版下という撮影用の元原稿を作っていました。そこに文字を入れるには今のワープロとは違い、写真植字(写植)という印画紙に文字を写真のように焼き付け、現像した文字を切って版下に貼っていました。

写植は職人技を必要としていましたが、パソコンで印刷データを作る時代へと移っていくと、写真製版も写植もほんの数年で消えていったのです。そのスピードに驚いたものでした。パソコンを使えば今まで3日かかっていたことも3時間ほどでできるようになってしまったことが大きな理由です。外部の写植屋さんも次々と閉業しました。このように新しい技術が革命的に古い技術を終わらせていくというのはこのように枚挙にいとまがないことだと思います。

このように事業が効率化されると、逆に新しい仕事も発生したりするので、まだまだ世界は進化を続けていきます。高度に情報を扱うようになったので、旅行の申込みや通販など、多くのことが自動的に行われるようになってきました。これはインターネットの技術が発達したり、パソコンが高性能化したおかげです。プログラマーは現在過去最大級に忙しくなっているそうです。

ここに生成AIが登場してきました。文書も絵もプログラムもすごいスピードで手伝ってくれます。使いこなせない人は失業すると言われているほどです。これも技術的失業を起こすと捉えられているようです。ホワイトカラーの失業者も増えるのではないかと予測されています。多くの人がこれからなくなる仕事について考えているように思います。

物を運んだりなどの仕事はどうでしょうか。現在、人間の作業を代行するヒューマノイド(人間型ロボット)の開発が進んでいます。現在でも多くの産業ロボットが稼働していますが、ヒューマノイドはさらにその現場に革新をもたらすものになると考えられています。これらも2030年代には産業に組み込めるほどの精度になるそうです。次回はこのヒューマノイドについて考察します。


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