4月6日

今朝、仕事前に家に寄ろうと思ったけれど、もたもたして建物のエントランスで時間切れになってしまった。それでも郵便チェックだけでも…と駆けつけて郵便受けを見ると、boothで注文していた郵便物が届いていた。嬉しくて、急いで品物をとってそのままもう一方への出口へと一階をL字に通過した。
シフト勤務の遅出なので、スプリングコートのしたに薄手のカーデガンを着てきたけれど、日中は暑さですぐ脱ぎたくなっている。

駅でそれを開封してみる。薄く、丁寧にビニールで折り込まれた一冊の詩集には、送り主の手紙が添えられている。私に届いたのは、boothの最後の一冊だとある。一筆箋に書きこまれた筆跡が、お会いしたことのないその方の像とシンクロする。少し眺めてかばんになおす。

昼休み。通りのなみきひろばも花見日和であろうと、外へお昼を食べに出る。桜の前のベンチが空いてる。かばんから詩集を取り出す。桜が散っている。パラソルをさす人が中央にいて、その上を雨が射して交差している。横には、無人かのようにパラソルが並ぶ。雑踏。パラソルから下の空間は、虹色に反射する紙が使用されている。
美しい…。
手に、持っているだけでどきどきする。
めずらしい石かガラス片を見つけた時のように、光に翳したり、表面を虹色に波打たせようと手首を傾ける。はじめて物を見た人みたいに。
そうしているだけで、涙が滲んでくる。
読む前から、意味以前の方へやわらかく誘われる。
この詩集はまず、物としてただならぬ。
そういう気迫がデザインから伝わってくる。
手に持っているだけで、どきどきする。
ひらいてすぐに読みはじめようとは、なれなかった。

帰りの電車。
明日雨が降らなかったら、この詩集を連れて桜の道を自転車でくぐりぬけて、室見川へあそびに行こう。
うれしい気持ちを行動で表したくなった。

kent sekine "solresol"

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