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【アートのミカタ】ヘレニズム美術 Hellenism

【ギリシャ美術のオイシイトコロ】

今回は普段の人物フォーカスをお休みして、芸術の起源に迫っていこうと思います。
「芸術家」という感覚は(恐らく)まだなく、哲学者が美の概念・色彩の概念を追求したり彫刻家が理想を立体に示したりした時代です。
およそBC1000年〜BC30年頃続くギリシャ時代の中で、今回は私が美術史的に魅力を感じているヘレニズム時代(ギリシャ後期/ローマにより滅ぼされるまで)の「ヘレニズム美術」を書いていきます。

主な作品として残っているのは「ミロのヴィーナス」「ラオコーン」「サモトラケのニケ」です。
その素晴らしい彫刻は、後のミケランジェロ(ダビデ像など)やロダン(考える人など)に敬愛され、彼らの作品に大きな影響を与えたと言われています。
では、そんなヘレニズム美術の特徴や背景を紐解いていきましょう。


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ミロのヴィーナス(女神アプロディーテーの像).
アンティオキアのアレクサンドロス

なぜ今、美的センスを磨くのか。どうやら世界では、サイエンス重視の意思決定では不十分だと感じ美意識を鍛える人達がいるそうです。このブログは、歴史上の偉大な画家たちをテーマに、少しでも多くの人にアート思考を築くきっかけにならないかと書いています。
まずはそれぞれの画家の特徴を左脳で理解し「頭ではわかった」状態にさせることがこのブログの目標です。あなたがその後、展示等でその画家に改めて触れた時、あなたの美的感覚が研ぎ澄まされるように。その下準備として御活用下さい。あなたの味方となり、見方を変える彼らの創造性を共有します。

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サモトラケのニケ(勝利の女神ニーケーの彫像)

目次
【ギリシャ美術のオイシイトコロ】
【背景】芸術の概念、誕生
【核心】美意識の集約

【背景】芸術の概念、誕生

現代でも芸術活動が活発に行わる西洋美術。このブログでも既にヨーロッパ出身の芸術家を紹介してきました。そんな彼らの源となる思想は、このギリシャ時代に形成されたのではないかと言われているようです。

ギリシャ美術は神々をモチーフにした作品が多く現存します。ここで言う神とは、キリスト教などの絶対的な神というよりは、超人的な身体能力と超人的な感情の起伏の持ち主といった感覚だったようです。
現在でもギリシャ神話は星座のモチーフやタロットカードに登場する神のイメージです。

古代ギリシャ美術は、大きく分けけて3つの時代で表しています。
・アルカイック時代(マラトンの戦い以降、彫刻は崇高で荘重なものに)
・クラシック時代(文化圏の拡大の時期。ぼー立ちの彫刻が目立つ。戦争の反動で、芸術に感動を求める)
・ヘレニズム時代(ローマの支配下になる頃。彫刻に動きが生まれる)

このように、長いギリシャ時代の中で、ギリシャ美術は「気高く偉大な芸術」から「優美で感動的」なものへと変化していったようです。哲学者たちは「熟練した洞察力と直感を用いた美的な成り行き」として定義したとされ、どれほど人々を感動させられるかが、芸術の価値を左右するとしていたそうです。
これが後世にも伝わって、今の芸術を生んでいるのではないでしょうか。

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プラクシテレス作と言われる
『幼いディオニューソスを抱くヘルメス』

【核心】美意識の集約

人間の理想型を追求したアルカイック時代。
芸術志向の根幹を形成したクラシック時代。
そんな時代を経て、ヘレニズム時代は芸術作品として花開いていったのだと感じます。
大理石と思えないほどの柔らかい表現が特徴で、触ったらフニフニとした皮膚の感触が感じられるほどです。
また直立だった時代と比べると、明らかに動きが生まれました。

さらに古代ギリシャ彫刻には鮮やかな色彩が施されていたとされ、哲学者のプラトンやアリストテレスが書き残した人類初の色彩論は、後世に続く大きな遺産です。


ハンガリーの美術教育家であるラズロ・モホリ=ナギは
「デザインは職でなく一つの姿勢である」
と残しているそうです。

芸術が、まだ職となるずっと前を辿ると、むき出しになった存在意義が見えてくるようです。
芸術とは美意識の集約、また志の表明なのだと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございます。
まだまだ書ききれないことが沢山ありますが、今回はここで終わります。画家一人一人に焦点を当てると様々なことが見えてきます。環境や時代の中で見つけた生き方や姿勢を、命をかけて提示してくれているんです。現代の私たちにヒントを与えてくれる画家も多くいます。それをぜひ、少しでも多くの人に知ってもらいたいです。


いつもたくさんのご支援・ご声援、ありがとうございます。