私たちがアーセナルを応援するワケ

画像1

はじめまして。らかぺまるです。アーセナルに関する情報を翻訳して伝えたり、こうやってブログ的な何かを書いています。

初記事となる今回は、最盛期を過ぎたと言ってもいいかもしれないアーセナルが、どうして未だに圧倒的な人気を誇るのか、アーセナルの持つ魅力とは一体なんなのかについて迫ってみました。大変長くなってしまいましたが、アーセナルが大好きな皆さんにはもちろん、海外サッカーについて興味があまりないよって人にも読んでいただけると嬉しいです。ぜひ拡散の方もよろしくお願いいたします。

0.まえがき

世界のグローバル化が進む中で、さまざまな国・地域の人が言語・風習の垣根を超えて1つの同じチームを応援しやすくなっている。サッカーにおいても同様のことがいえて、日本人でも海外、特に欧州のサッカーチームを応援する人はますます増加傾向にある。

そんな中、今世界で一番熱いサッカーリーグといっても過言ではないのが、フットボール発祥の地イングランドで開催される、イングランドプレミアリーグだ。世界中で約10億人以上に視聴されており、全世界で最も人気が高いかつ最高峰のリーグの1つと言われている。20クラブが、ホーム・アンド・アウェー方式による2回総当りで8月から翌年5月にかけて全38試合を戦いぬく。

プレミアリーグ最大の特徴は、どのチームもそれぞれに魅力があって、実力が拮抗していることだ。下位のチームが上位のチームに勝利するいわゆる「ジャイアントキリング」が起きやすく、また毎年どのチームが優勝するか予想しづらい。このドキドキハラハラ感はプレミアリーグの人気を支える1つの理由となっていると言っていいだろう。

しかし実力がある程度拮抗しているとは言ったものの、1992年にプレミアリーグが創設されて以来この30年近く、優勝を経験したチームはわずか7チームのみで、なかでも毎年優勝争いを繰り広げるマンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、チェルシー、リヴァプール、トッテナム・ホットスパー、マンチェスター・シティは「ビッグ6」と呼ばれ、その強さから世界中の人から人気を集めている。この傾向は日本でも観られる。もし「海外サッカーが好きで、プレミアリーグを特に観てます!」という日本人に会ったら、「どこのチームを応援していますか?」と聞いてみると良い。ほとんどの場合上記の6チームの名前を出すに違いない。それほど「ビッグ6」というのは日本ならびに世界で人気のあるチームなのだ。

それでは、日本で一番人気がある「ビッグ6」はどこなのだろうか。ツイッター社が2015年に発表した「ツイッターにおける日本で最も人気のあるプレミアリーグクラブ」によると、1位アーセナル、2位マンチェスター・ユナイテッド、3位チェルシーとなったようだ。なるほど、巨人やソフトバンクが日本で人気な球団であり、バルセロナやレアル・マドリードが世界中で絶大な人気を誇るクラブであるように、人は強いものに憧れるのだろう。毎年優勝争いをしたり、頂点に立つようなチームというのは多くの人から賞賛・羨望の眼差しで見られ、自ずとファンも多くなるに違いない。アーセナルというチームもきっとそういうチームなのだろう。

スクリーンショット 2020-07-02 22.29.31

引用:プレミアリーグ 「Wikipedia 日本語版」 

ここで、直近10年のプレミアリーグの優勝クラブ一覧表を見てみる。マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、またマンチェスター・シティ……。あれアーセナルは?え、強いんじゃないのかアーセナルって。優勝を何回も経験してその度にファンを獲得していくチームではなかったのか。一体どういうことだ。

スクリーンショット 2020-07-10 18.54.37

一度仕切り直して、今度は今年の暫定的な順位(10位まで)を見てみよう。えっと、アーセナルはどこにいる?私は探すのに少し時間がかかってしまった。人気があるチームならきっと上位にいると思ったから。ようやく見つけ出した結果なんとアーセナルは8位。しかも10位との差もわずかに1ポイント差だ。

どういうことなのだろう。この順位に甘んじているアーセナルが日本で一番人気のあるクラブとなっているのか。今決して強いとは言えないアーセナルが、どうしてこんなにも多くの人を惹きつけるのかについて、今日は皆さんにたっぷりとご紹介したい。

1.決して色あせることのない昔ながらのアーセナルの魅力


1-0. アーセナルとは

アーセナルの魅力について語る前にアーセナルとはどういうチームなのか本当にざっくりと紹介する。

現在のホームスタジアムはロンドンのエミレーツ・スタジアム(収容人数60,260人)。プレミアリーグに所属し、同リーグにおいて3回の優勝記録を持つ(フットボールリーグ時代を含めると13回)。2003-2004シーズンには無敗優勝を達成したイングランド屈指の強豪である。1886年に軍需工場の労働者のクラブとして創設されたため、チームのエンブレムは大砲のマークを持つ。(引用 アーセナルFC 「Wikipedia 日本語版」)

なるほど、先ほどはアーセナルが弱いということを紹介したがどうやら昔は強かったみたいだ。なんと無敗優勝まで。すごい。

本拠地はロンドンにあるらしい。日本とはほぼ地球の裏側の関係。そんなチームを応援している人がたくさんいるなんてきっとアーセナルにはとてつもない魅力があるに違いない。

ざっくりとアーセナルの紹介をしたうえで、彼らがもつ魅力に迫っていくことにしよう。


1-1.勝利は調和の中から生まれる 

アーセナルの最大の魅力は、チームワークで崩す芸術的なパスサッカーにある。個の能力はもちろん高い選手たちが、それぞれの持ち味を生かしつつも、見事なまでの連携を見せ相手の守備陣を抜き去っていく。チーム全員がボールを触ってフィニッシュまでいくプレーも少なくない。

言葉で伝えても分かりづらいものがあると思うから、ここに映像を載せることにしよう。

狭いスペースの中、速いテンポで何度もパス交換をして相手の守備陣を撹乱し、一瞬の隙にゴール前に抜け出すアーセナルのサッカー。チームメート同士の信頼関係がないと、決して生まれることのない美しすぎるチームワークの数々はこれまで多くの人を魅了し続けてきたのだ。

アーセナルには古くからクラブのモットーというものが存在し、クラブエンブレムの裏側にラテン語で刻まれている。「Victoria Concordia Crescit(勝利は調和の中から生まれる)」。100年以上の歴史をもつこのクラブのなかでもっとも重要とされている概念といっても過言ではないこのモットーは、芸術的なパスサッカーという形で今もなお受け継がれている。

いわばこれはアーセナルの代名詞ともされるもので、この美しすぎるサッカーに魅了された方も多いのではないだろうか。今からアーセナルを見てみようという人はぜひYoutubeで動画を漁ってみるといいと思う。数分でアーセナルの虜になること間違いない。


1-2.未来を約束された才能の宝庫

アーセナルの魅力として次に挙げられるのが才能溢れる若手が豊富にいること。ユ今シーズンで言えば、ブカヨ・サカ (18)やガブリエウ・マルティネッリ(19)が大ブレイクを見せているが、アーセナルでは若手が活躍するための土壌が盤石に出来上がっている。つまり、若手にもチャンスを豊富に与えてくれるチームなのだ。

1人の若手を試すならまだしも、何人もの若手がスカッド入りして、あわよくば出場の機会を手にすることのできるアーセナルの育成スタイルというのは他のビッグクラブを見渡してもなかなか見られないことである。

若手が豊富にいることは、ファンにとってどんな良いことがあるというのか。例えばこうだ。自分がユースチームのときから追っかけている選手が、ようやく初めてアーセナルの試合に出場したときから、チームの主力として大活躍するに至るまで、さまざまなプロセスを経てどんどん成長していく様子を見守ることができる。若手らしいミスをしてしまったとき、ポジション争いに苦しんでいるとき、怪我をしてしまったとき。さまざまな苦難を乗り越えてトップチームの主力として活躍する選手の姿を目にすることができるのは本当に夢があるし、この感覚は、大量のお金を費やして即戦力を連れてくる一部の金満クラブでは決して味わうことのできない極めて尊いものなのだ。

2.アルテタ率いる現在のアーセナルの魅力とは

今まではアーセナルが一貫して長年大事にしてきたものを説明してきた。「芸術的なパスサッカー」と「積極的な若手登用」。これからは、アルテタ監督率いる現在のアーセナルの魅力とは何かについて考えてみる。その前にアーセナルの監督の変遷について少し。


2-1.ヴェンゲル、エメリ政権を経てアルテタの時代へ

ここ25年のアーセナルの監督の歴史は極めて単純で、言ってしまえば

「ヴェンゲル90%、エメリ5%、アルテタ5%」だ。

ヴェンゲルという人は長くアーセナルを率いていた。華麗なパスサッカーを魅せると同時に偉大な記録を何個も樹立し、サッカー史に残る名将であることは間違いなかったが、監督終盤は美しい攻撃サッカーの裏で守備の乱れが露呈し、あまり勝ち切ることができなくなっていた。自由すぎるサッカーに歯止めが利かなくなっていたのだ。

そこでやってきたのがエメリ。ヨーロッパ屈指の戦術家として知られ、相手の陣形に合わせた柔軟なフォーメーション作りを行い、ピッチ上で選手に規律の遵守させることで、安定的な攻撃・そして守備を行うことが求められていた。

しかし、実際はヴェンゲルが見せた華麗な攻撃サッカーは失われ、肝心の守備も改善せず。「相手の陣形に合わせた柔軟なフォーメーション作り」=「芯がなく中途半端」という問題が発生していたのだ。また、エメリ自身が英語を上手に話すことができないこともあり、チームはうまくコミュニケーションを取れず低迷。1年ちょっとでの解任となってしまった。

次に監督になるのは誰か。色んな噂が飛び交った。アッレグリ?モウリーニョ?ヌーノ・サント?はたまたヴェンゲル?ビッグクラブをまとめられるだけのマネジメント力を持つ監督は限られていた。

そんな中白羽の矢が立ったのが当時わずか37歳だったミケル・アルテタ。現役でプレーしていてもおかしくない年齢だ。ヴェンゲルのチームに陰りが見え始めた頃にアーセナルに移籍し、低迷しつつあったアーセナルを縁の下の力持ちとして支えた功労者。アーセナルで引退をするというアーセナルの選手の中では珍しいパターンでもある。裏を返せば、33歳という若さでアーセナルで引退してくれるほどアーセナル愛に溢れた人物でもある(ツ○フはどうなんだと聞かれたら私はうまく答えることはできないが)。

そんなアルテタは引退後すぐ、マンチェスターシティを率いるペップ・グアルディオラのもとでコーチに就任。言わずと知れた世界有数の名将で、そんな彼の元で3年間みっちり学んだ彼は、満を持してアーセナルにやってきたのだ。

つまり。アルテタ監督というのは「クラブOBとしてアーセナル愛を持ち、アーセナルのことをよく熟知しているのに加え、世界最高とも言われる監督のもとで右腕としてさまざまな活躍した人物」ということができる。どうだろう。「やってくれそう」な監督な気がするのは私だけだろうか。そんなアルテタ率いるアーセナルの今の魅力について見ていこうと思う。

2-2. とにかくクラブ全体の雰囲気がいい

ん?と思われた方もいるかもしれないが、これは非常に大事なこと。アルテタが来る前はチームの雰囲気は最悪といっても過言ではなかった。チーム内でのコミュニケーションの問題はもちろん、ファンからも活躍しない選手に対する罵詈雑言が相次ぎ、とてもサッカーがまともにできる状態ではなかった。

そんなチームだったアーセナルが今、アルテタのもとで大変貌を遂げている。ゴールしたときはチーム一体となって喜び、ファンも一丸となって応援、選手を盛り立てる。実際の試合を見たり、アーセナルの公式が上げている動画を見てもらえればわかると思うが、ゴールした時の選手全員の喜び方が激しい(良い言い方をすれば微笑ましい)クラブはアーセナルくらいではなかろうか。本当にアーセナルは仲がいいチーム(元から仲は良かったが成績がついてこなくなり、雰囲気は悪くなっていた)であり、応援しているファンも心が温まるシーンが多い。仲がいいチームを応援するのは単純に気分がいい。


2-3. 成績の改善

これはいわずもがな。2020年だけの成績を比較したらアーセナルは3位だそうだ(しかもトップと3ポイント差)。どうして勝てるようになったのかというと、に守備が改善したことが大きな要因だ。アルテタのもとで選手はぐんぐん成長し、規律だった守備を見せるようになった。長年アーセナルは守備が泣き所だと言われ、主に批判される選手はいつも守備よりの選手だった。エメリの時代は、ジャカ、ムスタフィ、ダビド・ルイスあたりが該当するだろう。彼らはファンから非難の対象として罵詈雑言を浴び、完全に選手としての自信を失っていた。しかし、アルテタになってどの選手もみるみると成長し自信を取り戻している。特にジャカ・ムスタフィの成長は眼を見張るもので、今やアーセナルには欠かせない選手となっているのだ。

そんな復活を見るのはファンとしてこの上なく嬉しい。今まで非難ばかりされ、どん底にいた選手が自分の実力でスタメンを確保し、勝利に貢献。そしてファンからも温かいコメントをもらいさらに選手としての成長を遂げていく見事なまでの返り咲き。こんな「人間ドラマ」見ていて感動しないほうがおかしい。以前に紹介した若手の成長に加え、この返り咲き。アーセナルのファンというのは、サッカーを楽しむ一方で、壮大な人間ドラマを見守っているのだ。チームがまるで生き物のように挫折を味わい、それを乗り越えて成長していく感動の物語に私たちアーセナルのファンは虜になっているのかもしれない。

3. 夢のあるクラブ

ここまでアーセナルの魅力についてたっぷりと紹介してきた。最後に、一番大事なことをお伝えしたい。

アーセナルは夢のあるクラブだ。

今は低迷してるかもしれない。しかし、アルテタになって確実に改善してきている。財務状況もよくなり、移籍市場でも今までよりは自由に立ち回ることができるとも言われている。

アーセナルには輝かしい未来が待っている。成長し続ける若手。改善する成績。着実によくなる財務状況。見ただけでわかるチームの雰囲気の良さ。このクラブはどん底から這い上がって、いつかきっとCLの舞台に戻ってくる。選手はもちろん、ファンもそれを信じてるし、達成できると思っているから、今順位が低迷していても全く何も思わない。今は目の前の試合を戦うチームを懸命に応援するだけだ。

アーセナルを応援しているファンのことを「グーナー」と呼ぶらしい。一時はどうなることかと思われたアーセナルを、一瞬で素晴らしいクラブに戻してくれたアルテタをグーナーは皆信じている。応援しつづければきっといいことがあると信じているから。

以上ここまでアーセナルの魅力についてたっぷりと紹介してきた。この記事を読んでくれた方のなかにはまだどんなクラブを応援するか定まってない方がいるのかもしれない。そんな方がいらっしゃったら是非問いたい。「グーナーになって、一緒に盛大な夢を追っかけてはみないか。」と。











この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?