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経営者1年生! 株式会社「声音」設立までの道のりを教えてください #羅針盤のつくりかた

今年12月、一人のラブソルメンバーが自分の人生にひとつの「覚悟」を決めました飯室佐世子(いいむろ・さよこ)34歳。ラブソルではコンテンツ事業部長として、主に記事のライティングやファッション誌のオンラインサロン運営、ビジュアルレポート制作に携わってきました。

毎日の仕事にやりがいを感じながらも、「フリーランスのライター」として働く彼女が抱えていたのは、時折浮かび上がる将来への不安

プライベートでは、2019年に結婚。この先子どもができたら? もし身体を壊したりしたら? 今と同じようには働けなくなるかもしれない。そんな不安を抱きながら、企業に正社員として就職することも選択肢として検討したそうです。考えれば考えるほどどうすればいいのか分からなくなった飯室に、ラブソル代表 柴山由香がある一言を贈りました。

「さよちゃん、あなたにとってのパラダイスはどこにもないよ。パラダイスは、自分でつくるしかないんじゃない? 」

目から鱗が落ちた瞬間。でも、一番しっくりくる選択肢だったと話します。そこから数ヶ月、さまざまな道のりを経て、ついに2021年12月「株式会社 声音(こわね)」を設立。これを機に旧姓「柴田」から、「飯室佐世子」としてお仕事をしていくことを決めました。


ラブソルが運営する自社コミュニティ「喫茶ラブソル」にて、設立までの過程をお話していただきました。トークセッションの相手は、ラブソル経営8年目の代表柴山。経営者1年生となった飯室の、会社設立までのリアルな道のりを聞いていきます。

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会社の大切な名前、「社名」ってどう決めた?

由香「会社を設立するに当たって、まず必要になるのが社名だよね。ラブソルも決定するまでにはいろんな候補があったのだけど、さよちゃんはどうやって決めた? 」

佐世子「名前は最後の最後まで迷って、とにかくたくさん案を出しましたね。最初は「こういうのはインスピレーションだ!  」と思って、近くに置いてあった「六花(りっか)」というお菓子から拾おうとして。取締役になってもらった旦那さんに「どう!? 」って 聞いたら、流石に「もっとちゃんと考えた方がいいと思う」って返されましたね(笑)。次に考えたのは佐世子(Sayoko)の母音がa-o-oなところから「AO(あお)」。ハワイ語で「夜明け」とか「日光」という意味があるらしくていいなって。でも、AもOも文字から伝わる印象が私らしくないなと思ってやめました。」

由香「ちなみに、AOだとドメインが取得できないんだよね。ローマ字だと、3文字以上ないとドメインが取れないの。」

佐世子「そっか! そのときはまだドメインを取ることとか何も考えず、語感や意味だけ意識していました。」

由香「そうだよね〜。私も後から知った(笑)。そこからどうやって今の社名「声音」になったの? 」

佐世子「「音色」って曲があるんですけど、「音」って漢字、なんかいいなって。私の仕事はライターとして人の「声」を聞くことなので、合わせて「声音」。これからやっていきたいことともぴったりで、これだ! と決めました。」

由香「なるほどね。私たちの社名「LA BOUSSOLE(ラブソル)」はフランス語で「羅針盤」を意味していて自分たちも心にしっかり羅針盤を持って進みたいし、何かを表現したい人たちにとっての羅針盤のような存在でありたい、という想いが込められています。決めてからも、日本語ではないし、濁点が入っているし…、心配はいろいろあったなあ。社名が決まってから少し経ったけど、呼び慣れてきた? 」

佐世子「いや…まだ慣れないですね…。」

由香「そっかそっか。これから名刺を作ったり、銀行に行って「声音さーん! 」と呼ばれたりしていくと慣れていくのかもね! 」

佐世子「そうですね。 まだあまり呼ばれていないからかもしれない(笑)。」

由香「うんうん。会社は法人で、 法人は「法人格」っていう人格を持つんだよね。子どもの名前と同じで、口にしたり、人から呼ばれたりするたびにどんどん馴染んでいくんだよね。そうしていくと、社名も一人歩きしていくと思う! 」

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2021年ラブソル沖縄合宿にて「株式会社声音」の今後を、
ラブソル代表2人に語る

実際、「資本金」っていくら必要?

由香「社名は決まった! そしたら、次に会社設立に必要になるのが資本金の設定かな? 貯金とかしていた? 」

佐世子「資本金は100万円にしました。設立の手続きのとき、正直10万円台でも会社は設立できるけれど、100万円が多いと聞いて。じゃあ100万円に、と決めました! お金を貯めていたかと言われると…、貯めているわけもなく…(笑)。」

由香「服買ってたもんね(笑)。なんなら就職しようかとも考えていたし。」

佐世子「そうです(笑)。8月に会社設立を決めて、当初は10月設立の予定だったんです。自分で貯める時間はなかった(笑)家族から継いだお金があって、ずっとどう使ったらいいかわからずにいたのですが、株式会社をつくることになり、これしかないなと思って会社設立の力にさせてもらいました。」

由香「家族にありがとうだね。資本金を減らすまいと、覚悟が決まるね。」

佐世子「本当にそうです、死守しなきゃです(笑)。」

由香「ラブソルは資本金400万円でスタートしたの。(池田)実加と2人代表でつくった合同会社だったので、資本金も二人で出し合って。貯金が得意でもない、一介のワーキングマザーだった私にもお金なんてなくてね。でも、前に勤めていた会社の持株会の制度が良すぎて! 持株会が、自分が毎月出した金額と同額を上乗せしてくれて、倍額株を買っていってくれるの。」

佐世子「え、すごい! 」

由香「 こういう制度に気付いていない人って、意外と多いんだよね。国や会社の制度は、しっかり調べて活用した方がいい。私はこの持株会でコツコツ買った自社株を退職の時に売却して資本金に当てたの。お金の勉強は、自分でした方がいいよ。貯金が苦手という人は、毎月いくらと決めて投資に回しておくと、いざというときに使えると思う! 銀行に預けておいても、全然増えないもん。資本金0円でも会社を設立することはできるけど、ありえないしね。」

会社をつくって気付いた、守られ、受け取っていたこと

由香「あと、会社をつくってすぐの時期は、クレジットカードの審査が通らないことがあるかも。ラブソルを設立したとき、共同代表の実加がクレジットカードをつくろうとしたら、審査に通らなくて。それまで二人とも大企業に勤めていたから、審査に通らないなんて考えたこともなくて、本当にびっくりした。設立して3年~5年くらいしたら、通るようになったかな。だから起業を考えている人は、クレジットカードをつくるのなら企業に勤めている間にしておいた方がいいかも…! 」

佐世子「あー、確かに確かに。なるほど。」

由香「ラブソルも8年目になったから、今では審査も通ります! 」

佐世子「8年かあ…。私も法人化してから、これまでフリーランスとして業務委託契約を結んでいた法人さんと会社として契約を結び直そうとしたら、一社だけ法人契約通らないところがありましたね。そこで、まだまだなんだなあと思って。」

由香「そっかそっか。」

佐世子「会社をつくったからといって、いきなり信頼されるわけではないし、続けていくことなんだな、とひしひし感じましたね。」

由香「そうだね。まさに自分で育てていく感じだよね。会社にいたときは、やっぱり看板を借りていたんだなあって。」

佐世子「いやぁ、本当にそうですね。想像以上に会社から受け取っていたものって多いなと感じています…。会社をつくってみて、今までどれだけ会社に守られて、受け取っていたかに気付かされました。本当にありがたいですね。」

由香「研修とかの教育もだし、携われるプロジェクトの規模感とか、いろいろな面でも感じるよね。」

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ラブソルでの初仕事はオンラインパーティーの運営

さて、お仕事はどこからやってくる?

由香「会社を設立して、個人でできる範囲以上にお仕事を取っていかなきゃならないよね。さよちゃんはどうやってお仕事を取っていく? 」

佐世子「これまでもやってきたことではあるのですが、目の前の仕事に120%で取り組む、コミュニケーションを絶やさない、一つひとつの関わりを丁寧にしていくことだと思っています。

例えば、クライアントさんに請求書を出すとお金が振り込まれる、それに対して「ありがとうございます」と連絡をすること。そうすることで、接触回数を増やすことができて、「そういえば、今これに困っているんだけど…」と、ご依頼をいただけたり。打合せをしたら、議事録と一緒に「こちらが〇〇さまの担当分です」と役割分担を明確にしてみたり

基本的に、外部の人に仕事を頼むということは、お相手は忙しいんですよね。お相手の方がちょっと楽になるように振る舞えるかを心がけています。「この人と仕事するとちょっと楽になるな」と思ってもらえたら嬉しい。

由香「うんうん。一般的には仕事を取るとなったら、営業をするとか、広告を打つとかがあるよね。それってつまりは、「会社やサービスを知ってもらう」という行動なんだよね。知ってもらって、クライアントさんが困ったときに「あ、ラブソルさん」と思い出してもらえないといけない。そのためには、視界に入り続けることを目指す。

ラブソルの問い合わせが増えるポイントは二つあって、一つは公式Webサイトの記事を更新したとき。もう一つは、クレジットが入った大きな仕事が世に出たとき。価格競争の土俵には上がりたくないからこそ、「指名」してもらわないといけない。だから、ラブソルのように小さな会社ではnoteを書いたり、SNSしたりと、メンバー一人一人が広報となってコツコツ発信していくしかないんだよね。」

佐世子「まさに、そうですよね。私も頑張ろう…! 」



由香「2021年のさよちゃんは、悩みや不安を抱えながらも大きなチャレンジをした年だったね。今年の春には起業なんて考えていなかったと思うけれど、一年を振り返ってみてどうだった? 」

佐世子「今年…。今年はようやく延期を重ねていた結婚式ができるかなあ? と始まって。そこから…起業。特に夢や目標を掲げることなくやってきて、自分が探していたものがようやく、一つの点になったのかなって感じています

今、34歳。これから40代、50代を迎えて、どうやって生きていって、最後の日には誰がいてくれるんだろうって考えたんです。誰かに、何かを残したい。人の役に立ちたい、そう考えたけれど、でも、どうやって? と悩んで。私が人の役に立とうと思ったら、自分がやってきたことをこれからも続けていくしかないと気が付いたんです。たくさん考えたからこそ、これまで自分がやってきたこと、関わってくれた方々にすごく感謝した一年だったかなあ。

これまで嫌なこと、つらかったこともたくさんあったけど、そういうことを「よかった」と変換することができた一年だった。会社をつくり、続ける覚悟、お金をもらう覚悟、この仕事を一生やっていくんだっていう覚悟がついた一年でした。」

由香「これから会社を続けていくと、はじめたときとはまったく違う道を歩くこともあるかもしれないし、いろんな困難もあるかもしれない。でもそれも、さよちゃんなら楽しんでいけると思う! 34歳、これから楽しいよ。…それにしても、12月に会社設立するなんてさよちゃんらしいよね(笑)。ぜひみなさん、「声音」とさよちゃんをよろしくお願いします! 」

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執筆:野元 萌乃佳
編集:柴山 由香 
バナー制作:小野寺 美穂

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