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人の魅力でリピーターが生まれる。私が奄美大島で感じたこと @mikaikeda6

大島紬村で見た狂気 極限の美しさ

奄美大島の伝統工芸「大島紬」。
織物の名前として認識していたものの、どんなものかは全く知りませんでした。

先日訪れた、鹿児島県の奄美大島。
大島紬の生産工程の見学や、染めの体験ができる「大島紬村」で、私は衝撃を受けました。

職人さんが泥染めをしている様子

それは、あまりの工程数の多さ、そして複雑さ。

ベースカラーである黒っぽい色に糸を染めるためだけに、何度も鉄分の混じった泥を通し、乾かしを100回繰り返します。
それだけでも気が遠くなるのに、衝撃的なのは模様のつくり方。

絵柄に合わせて、1本ずつ糸を染めていくのです。

織物は、単色カラーの糸を縦糸・横糸をバランスを見ながら織ることで模様をつけるもの。もしくは、複雑な模様の場合は、単色で織った生地に後加工でプリントをするものだと、なんとなく思っていました。

でも、違うんです。大島紬は、仕上がりのデザインに合わせて糸を染めていきます。

縦糸・横糸それぞれに精密な図案があるため、一本として同じ糸はありません。
その糸を正しい順番に織って反物をつくっていくのです。

正直、いやちょっと待てよ…本気か? と思いました。
工程があまりに多い上に、異常に複雑。糸の位置一つ間違えたら大変なことになります。

見学をして浮かんだ言葉は、「狂気」。
これに尽きました。

狂気という言葉だけを見ると、少し悪いイメージがあるかもしれません。

しかし、確かに内容は大変クレイジーなものでしたが、説明をしてくれた職人さんから感じられたのは、軽やかさという相反する空気感でした。

糸を織り生地にする担当の職人さん

糸から反物を織る部分を担当している職人さんは、もう40年以上このお仕事をしているとのことでしたが、私たちの質問に答えてくれる様子は新鮮で楽しそう。

長年やっているのに退屈な作業という感じではなく、さりとてきつくて辛い作業という感じもなく、本当にただただ笑顔が魅力的だったのです。

大島紬村は、見学ルートの最後にショップがあります。大島紬の着物や、生地を使った小物を購入することができます。

実はこの日、一緒に訪れたメンバー全員が何かひとつお土産を購入しました。
こういったお土産ショップでは珍しいことではないでしょうか。

狂気と軽やかさに触れたメンバーは、思わず記念に大島紬を持ち帰りたくなった。それくらい、衝撃的でした。

宿泊施設オーナーに見た狂気 人生を賭けた場づくり

そもそも、私が奄美大島を訪れたのは、宿のWEBサイトリニューアルにあたり撮影や取材をするためでした。

その宿とは、奄美大島の北部の町、龍郷町にあるヴィラ”tumugu”。

昨年一棟貸しの宿としてオープンする際にはじめて奄美を訪れました。今年、二棟目オープンするということで、再度の訪問に。

tumuguを切り盛りするのは、オーナーの西夫妻です。
私はこの二人に、大島紬に感じた狂気と軽やかさを感じています。

tumuguの看板前で西ご夫妻を撮影

旦那さまは現役の消防士。そして、奥さまは元看護師で、一年半ほど前までは看護師としてバリバリ働いていたところ、退職し宿業に専念しています。

実はラブソルとのお付き合いは長く、以前より弊社の運営するコミュニティに参加してくださったり、ノベルティグッズのご依頼をいただいたりしていました。

「自宅の一角にある「離れ」を一棟貸しの宿にするから、WEBサイトをつくって欲しい」というというお話しをいただいたのが2年前くらいだったでしょうか。

初めて聞いた時は、宿を始めるなんて夢のお話しにも思いましたが、あれよあれよという間に、お二人は宿としての形を整えていきました。

堅実なお仕事をされているお二人が、奥さまは仕事を辞めて挑戦する。
ものすごいチャレンジですよね…。

実際に訪れてみて、宿泊施設の完成度の高さにも衝撃を受けました。
失礼を承知で書くと、素人が家の一部を宿泊施設にしたとは思えない、洗練された空間があったのです。

パッと思いつきでやったのではない、長年ご夫婦で夢を語らい、準備を進めてできたものだとわかりました。

そこには、狂気に似たものを感じました。
しかし、お二人は軽やかさも同時に持ち合わせています。

訪れた弊社取材陣を、あたたかく家族のように迎えてくれます。
そして、人生の先輩にもかかわらず、私たちのアドバイスに真剣に耳を傾けます。
まだ20代のWEBクリエイターの話を聞くにも、真剣にメモをとりながら。

ここまでやるから、素晴らしい宿になるのだと確信しました。

1年ぶり2度目の滞在も、西夫妻のおかげで充実の時間でした

tumuguの魅力はなんと言っても、お二人の人柄です。
先ほど書いたように、もちろんハード面も素晴らしいのですが、それ以上に心に残るのはソフト。
この1年で宿泊した方の口コミにも、お二人の魅力に触れたものが多く見られます。

Googleの口コミページ

生き残るために必要なのは、関わる人に魅力があること

自分自身の体験を振り返ると、何度も訪れるレストラン、何度も訪れる旅先には、必ず会いたい人がいます。
そういう場所にまた行きたいと思いながらも、人生はあまりに短い…。レストランも旅先も、新しい場所にも行ってみたくなるもの。
なかなか、再び同じ場所を訪れることはありません。

そこを乗り越えて、あえて再訪するには、よほどの要因が必要になります。
この要因として、「人に会いたい」はかなり上位に来ると思っています。

2023年に1年で3度訪れたハワイ。ハワイ在住の友人と会うのも目的の一つ

tumuguにも、まさにこれが当てはまります。

大規模で画一的なビジネスホテルなどと違い、圧倒的に属人化した宿であるtumugu
一度宿泊して、オーナー夫妻に触れたお客さまは、きっとまたご夫妻に会いたくて奄美を訪れるでしょう。

人は、人に集まる。

そんなことを感じる奄美訪問でした。

私は、ものづくりの事業をメインで担当しています。
ノベルティやオリジナルグッズから、OEMでの商品開発など、お客さまのご希望に合わせて制作しています。

競合が溢れる業界。
何が自分たちらしさなのか。どんな販売方法、どんなPRをしたら売れるのか。生き残れるのか。
円安の影響などもあり、将来に不安を感じずにはいられません。

そんな中、大島紬とtumuguに道を切り開くヒントがあるように思えました。

あなたに相談したい、あなたとものづくりがしたいと言ってもらえるように。

そのためには、自らが狂気を帯びるほどにものづくりを楽しむこと、こだわること。
私自身が魅力的だと思ってもらえるように、インプットをサボらず、感度を高く、さりとて軽やかに生きていきたいです。


池田 実加 ▶︎ SNS...X(旧Twitter)

<ラブソルへのお仕事依頼についてはこちら>


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