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焼き鳥の匂いのせい 2023/10/26~11/01

2023/10/26(木) はれ 


大切なものはそんなに多くない

情報が溢れすぎていて、自分に必要ないものを「大切なもの」と追いかける。

文明が進化することで「大切だと誤解する要素」も増えたのかもしれない。
通信が発達していなかった時代は、隣町で誰がどんな暮らしをしていても、嫉妬することも不安になることもなかった。そもそも知る術がない。

今では隣町どころか、世界の裏側の生き方まで見える。不便なことばかりではないけれど。文明が豊かになることで、失ったものもあるかもしれない。

「本当に大切なもの」

それを見極める力が必要になってくる。

余計なものを追いかけて自分を追い込んでいる。

SNSで流れてくるラーメンは食べなくていいのだ。


2023/10/27 (金) はれ


知人に会う約束をしていた。カフェで会う予定が焼き鳥のいい匂いがしてきたので、「焼き鳥で大丈夫っすか?」と連絡して、一人で先に呑み始める。

鶏皮2本と椎茸焼き、そして大瓶を頼む。グラスにビールを注ぎそのまま飲み干す。

「今年はもうお酒を控えようと思っていたのに」

焼き鳥の匂いで禁酒予定は延期された。人生は思い通りにいかない。
仕方ないので美味しく召し上がるしかない。

若い時は腹一杯になるためにたくさん注文していた。最近は好きな串を数本、頼むようになった。大人になった気になる。


知人も合流して2軒目へ。

スマホで調べた煮込みのお店に行く。お店の名前から個人店と予想していたけど、違った。残念。大手が運営しているお店も嫌いじゃないけど。

おじさんやおばちゃんが個人でやっているお店で呑みたい時がある。

店は活気があった。金曜日の夜だ。仕事終わりの会社員、旅行客でいっぱい。予約なしで入れてタイミングが良かった。

一人の若い女性が入ってきた。

「予約してます。〇〇です」と丁寧に店員に告げて、カウンターの席に案内された。

21、22歳くらい。服装も、顔も、まだ少女らしさを残したその女性は、カウンターでビールの大瓶を手酌してもつ煮をつまんでいた。その姿は年季が入ったと言っていいのだろうか。堂々としていた。ただビールと、つまみを味わうために。

外見の雰囲気からのギャップもあって、すごくかっこよかった。

自分が20歳そこらの時はそんな呑み方は出来なかった。今でこそ、一人で呑みに行くことがあっても、ついスマホを覗いてしまう。

かっこよく酒を呑みたいと思った。
禁酒予定はまた変更されるかもしれない。

2023/10/28(土)はれ


お酒を飲んだ次の日はカレーが食べたい。

体がウコンを欲している。朝食用のカレーを仕込んで、コンビニへしじみの味噌汁を買いに行く。朝日も浴びられて気持ちいい。

仕事前に散歩することがあるが、気持ちよくてつい歩きすぎる。
しっかりと時間を確認しながら、家の近くをぐるっと回ってから帰宅。

「白飯でカレー」と思っていたけど、蕎麦に変更。飲んだ次の日は、出汁も飲みたい。カレー蕎麦が都合がいい。冷蔵庫にあったニラを葱の代わりに入れる。最後に生姜を刻んで入れて完成。

部屋がスパイスの匂いに満たされている。

録画していた華丸大吉の「何しようと?」を見ながら食べる。中川家さんがゲストの回。福岡の街をぶらぶらするだけの番組。ゆったりとしたリズムが胃にも優しい。


2023/10/29(日) はれ


朝から早く起きやる気満々でカフェに行っても、全く文章が進まないことがある。

「昨日はあまり寝れなかったかな?」「疲れが取れてない?」と、色々考えるのだけれども。しばらくして「あぁ、この時間こそ大切だ」と思い出す。

急ぐことに慣れすぎて、じっくり考えることを疎かにしてしまう。じっくり考えるというよりも、ただ「何か」を感じている時間、ただ「何か」を待っている時間と表現する方が近い。

お鍋の水も沸騰する瞬間まで、水もお湯も見分けがつかない。
変化はしているけど、見えないことがある。

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僕たちは意志を持って前に進むことを教えられすぎたのかもしれない。「夢は大きく!」は素敵な言葉であるけれども、夢がなくてもいい。

抽象的な大きな言葉で括られてしまうけど。
大きな網の網目からこぼれ落ちても悲しい想いをする必要はない。

意志がなくても漂うに生きて暮らしてそれでいい。

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言葉の力は
人の力だ
心なき言葉が
独り歩きしないよう
想いを込めてく

想いを込めた言葉も勝手に独り歩きを始めて無軌道に進むことがある。
コントロールできることばかりではない。

けど、料理もいつかは冷めちゃうからといって、愛情を抜いてもね。

2023/10/30(月) はれ 


仕事を終えて夕方から洋服を買いに行った。

秋から冬に変わろうとしている。いつまでもTシャツでインスタライブをするわけにもいかない。秋冬用の衣装を買いに行く。

新しいものを手にすることは気持ちいい。
手に入れることも、手放すことも変化だ。

季節の移り変わりを昔はもっと感じられていた。

春夏秋冬ビルに囲まれたままでは景色は変わらない。
葉の色付きで変化を感じるように、ビルは変化してくれない。

積極的に季節の移り変わりを感じようとしなければ、感じることができない。
周りの変化に鈍感になると、自分にも鈍感になる。


2023/10/31 (火)   はれ


日記を書いていると、危うく「長文を書かないと」と引っ張られそうになる。人に読んでもらうわけだから、ある程度読み応えは必要かもしれない。

だからといって空白を埋めるために借り物の言葉を並べても、それは本末転倒というか。

気持ちのままに書いて読み応えある方がいい。でも「読み応え」ってそもそもなんだ!?きっと言葉の多さではない。

短い文章がいつまでも心に残ることがある。

学生時代に、読書感想文で「〇〇文字以上書きなさい」とあった。
そのルールで、文章を書く楽しさが空白を埋める作業へと変わることもある。

のびのびと自由に好きな言葉で文章を書くことが、もっと子どもの頃からあればいいなと思う。誰かのためやルールのためではなくて。

自分の言葉を書くことで自分の心が耕されていく体験。



2023/11/01(水)はれ


今日から11月だ。

月の初めは気持ちがほんの少しだけしゃんとする。新しいノートの1ページ目を綺麗な字で書く心境に近い。

カウンセリングサービスに所属するのもあと1ヶ月。
いつもと変わらずただ目の前の人たちと向き合う。

「もう桑野さんのカウンセリング受けられないのですか?」と何度も質問された。本当にありがたい。カウンセラーとして活動を続けていけるのは、そのような方々のおかげだ。カウンセラーは(どんな職業でもそうであるが)求めてくれる人がいなければ成り立たない。

自分の意思だけでは続けていけない。誰もいない砂漠でカウンセラーと名乗ることは出来ても、相手がいなければカウンセリングはできない。

必要としてくれる人には、誠実に丁寧に持っているものを届けたい。

カウンセラーは自分の言葉や姿勢そのものが商売道具になる。商売道具と言うとビジネス感が強くなるけど。カウンセラーは「ある商品」が売れなくなったから「流行りの売れ筋商品を入荷しよう!」なんてことはできない。

商品は自分自身である。

言葉や姿勢は見えにくい。実際に会って、話して、感じ取れるものも多い。自分を表現することサボってはいけない。サボれば、必要としてくれる人が見つけることができない。

SNSで知ってくれるチャンスは増えていくけど、SNSで切り取られた一部であることも忘れてはいけない。

自分を丁寧に扱うことは、まわり回っていつか出会う人を丁寧に扱うことだ。
誠実に、丁寧に、自分を言葉を届けていこう。

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