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日常会話から相手のことを知る

こんばんは!レタススタッフの三宅です。

昨年のことですが、本屋で立ち読みしていたときに出会ったアセスメントのツールをご紹介したいと思います。それは、日常会話式認知機能評価(Conversational Assessment of Neurocognitive Dysfunction;Candy)です。

大阪大学の佐藤眞一先生たちが開発されたもので、「認知症の人の心の中はどうなっているのか?」という本で取り上げられていました。

知能検査、認知機能検査など様々な検査がありますが、検査って本当にその人の能力を測っているのだろうか?という疑問を最近になって感じるようになりました。もちろん、信頼性や妥当性は調べられているので実施すること自体に問題はないのですが、進め方や活かし方はもっと日常生活にフィットしたものにしていく工夫は必要ではないかと感じています。

たとえば、検査を受ける側からしたら『検査』と言われると緊張したり、身構えてしまいます。皆さんも、健康診断で「ちょっと検査しときましょうか」と言われたら「え?何が悪いん?」と思いませんか?

また、検査が進むにつれて「なんでこんなこと聞くんやろう?」と不安になったり、「正解できなかったら悪く思われるんじゃないの?」と、不利益になると考える人もいるかもしれません。どうしても職業柄、検査を実施する側の視点でしか見えていませんでしたが、検査を受ける側に立つと、こんなふうに感じるのは自然だなとも思います。

これらのことを考慮しながら実施しているわけですが、日常とは違う場面だからこそ見えるものも確かにあります。ですが、もっと普段の様子や日常会話とか何気ない場面でアセスメントするほうが、よっぽど『その人らしさ』が表れるのではないか。自然な姿であり、検査する側、される側お互いにとって負担が少なくて済む。

それを実際に作り上げたのがCandyだなと思いました。


よく知った人であれば、いつもの会話を思い出しながら評価することができるようです。お互いの負担が少なくて済みますね。

また、多職種と共有しやすいと思います。病院やデイケアなどでは、心理士だけでなく医師、看護師、介護士、作業療法士等、多職種でサポートします。普段の会話をもとにしてあるので、それぞれが場面をイメージしやすい。

認知症の人だって、人からどう思われるか気になるし、物忘れだと思われたくないから取り繕い行動などという形で表れるのだと思います。

認知症の人に限らず、自分が関わる人に対して、もっともっと日常生活にフィットした視点が加わったものを還元できたらいいな…。

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