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食品ラベルには何が書いてある?日々目にしている食品ラベルを徹底解説

食品ラベルにはたくさんの情報が記載されています。
ただ、ほとんどの方はあまり注意深く見なかったり、見ても内容まで調べなかったりするかと思います。

今回は日清「カップヌードル」を例に、実際に加工食品のラベルからどのようなことが読み取れるか、記載したいと思います。

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加工食品の表示概要一覧

下記の項目の表記が義務となっています。
・名称
・保存の方法
・消費期限又は賞味期限
・原材料名/添加物
・原料原産地名
・内容量又は固形量及び内容総量
・栄養成分の量及び熱量
・食品関連事業者の氏名又は名称及び住所
・製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称


一つ一つ見ていきましょう。

◆名称

今回は「即席カップめん」と書かれています。

加工食品の内容を表す一般的な名称を記載する必要があります。
商品名とは異なるので、注意が必要です。

◆保存の方法

「においが強いもののそばや直射日光を避け、常温で保存してください」

と書いてあります。保存方法は内容物とパッケージに依存します。この方法で保存された場合に、記載された期限内に品質が劣化しないことを担保します。

◆消費期限又は賞味期限

「容器底面に表示」と書かれています。

大概の加工食品はこういう書き方がされますが、パッケージを印刷する会社と食品を加工する会社が別なので、日付のみ食品加工ラインで印字することが多いためです。

◆原材料名

ここが皆さん気になるところでしょう。ここに情報が多く書かれています。

油揚げめん(小麦粉(国内製造)、植物油脂、食塩、チキンエキス、ポークエキス、しょうゆ、ポーク調味料、たん白加水分解物、香辛料)、かやく(味付豚ミンチ、味付卵、味付えび、味付豚肉、ねぎ)、スープ(糖類、粉末しょうゆ、食塩、香辛料、たん白加水分解物、香味調味料、ポーク調味料、メンマパウダー)/加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸Ca、カラメル色素、かんすい、増粘多糖類、カロチノイド色素、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、香辛料抽出物、くん液、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、酸味料、(一部にえび・小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む)

めちゃくちゃ多いです。

まず、原材料と添加物は / で区切られます。この前までが原材料、後ろが添加物です。

原材料の一覧は、種類ごとに構成が書かれます。
重量が多い順に記載です。
カップヌードルは、「めん」「かやく」「スープ」で構成されており、乾燥重量がめん>かやく>スープの順なので、この順に書かれています。

・油揚げめん
(小麦粉(国内製造)、植物油脂・植物油脂・食塩・食塩・チキンエキス・チキンエキス・ポークエキス・ポークエキス・しょうゆ、ポーク調味料、たん白加水分解物、香辛料)
・かやく
(味付豚ミンチ、味付卵、味付えび、味付豚肉、ねぎ)
・スープ
(糖類、粉末しょうゆ、食塩、香辛料、たん白加水分解物、香味調味料、ポーク調味料、メンマパウダー)

()内に書かれているのは、めんやスープの詳細な構成です。
例えば、かやくは

味付豚ミンチ、味付卵、味付えび、味付豚肉、ねぎ

でできています。このことから、あの「謎肉」は豚肉で構成されていることが分かります。

◆添加物

「食品添加物は危険」という言い方がよくされますが、本来はそれぞれ個別の物質ごとに評価する必要があります。安全性に対する私の基本的な考え方は別の記事にまとめています。

加工でん粉、調味料(アミノ酸等)、炭酸Ca、カラメル色素、かんすい、増粘多糖類、カロチノイド色素、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンE)、香辛料抽出物、くん液、香料、ビタミンB2、ビタミンB1、酸味料、

添加物は、国が認可しているもののみ使用可能です。すべて科学的根拠を基に安全性評価がされており、通常の食事を想定した際に健康に影響がない量のみ使用可能です。

令和3年1月15日時点で472種類の添加物が認可されています。

それぞれの用途を解説します。

・加工デンプン
増粘剤です。とろみを出すために使われます。
11種の化合物の中から数種類を選んで使われます。それぞれの種類に規格があり、その規格内で使用されます。

・調味料(アミノ酸等)
味を良くするために使われます。うまみ調味料であるグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸・グアニル酸などの核酸が使われています。

難しい名前ですが、
 グルタミン酸ナトリウム=昆布のうまみ成分
 イノシン酸=かつお節のうまみ成分
 グアニル酸=シイタケのうまみ成分
です。難しい名前だから不安という方のために別記事を書いています。

・炭酸Ca(カルシウム)
ガムベースとして、めんの食感改良に使われていると思われます。
炭酸カルシウムは、貝殻とかに含まれる成分で自然界に存在しています。

・カラメル色素/カロチノイド色素
自然物の色素を使った天然着色料、カラメルは砂糖が焦げた茶色(プリンの茶色い液体)、カロチノイドはニンジンなどに含まれるオレンジの色です。色を付けて食欲を増進させます。

・かんすい
ご存知の方も多いと思いますが、ラーメンの麺を打つときに使われます。アルカリ性の成分です。「にがり」と同じような効果です。

・増粘多糖類
グアーやキサンタンガムなど、名前は怖いですが、原料は豆、海藻、でんぷんなどの天然素材からなります。

・乳化剤
乳化は油と水を混ぜる役割のことを言います。豚骨ラーメンが濁っているのは乳化のおかげです。乳化により口当たりがよくなります。
グリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルなど名前は怖いですが、科学的に安全性が担保されたもので、原料はヤシの実油などです。

・酸化防止剤(ビタミンE)
食品において酸素は大敵です。酸化するとすぐに味や色が悪くなります。リンゴを切っておいとくと茶色くなるのが酸化です。
同様にカップラーメンの中でも食べ物より先に酸素と先に結合して、食べ物の酸化を防ぎます。ビタミン自体は野菜など普段の食べ物に含まれているものです。

・香辛料抽出物、くん液、香料
香料として香りをつけて、食欲を向上させます。天然のものも、合成したものもありますが、まとめて香料です。
香料は種類がたくさんあるので、別の規制があります。

・ビタミンB2、ビタミンB1
栄養を足しています。カップ麺だけだと不足しがちな栄養を足しています。安藤百福の信念が感じられますね。

小麦粉を主原料としているインスタントラーメンは、ごはんやパンと同じように、炭水化物の含有量に対し、カルシウム、ビタミンの含有量はさほど多くはありません。そのため、インスタントラーメンは、不足しがちなビタミンB1、ビタミンB2、カルシウムの3つの栄養素を強化しています。

・酸味料
スープに酸味を出すためだと思われます。クエン酸やコハク酸など、多数の化合物がこのカテゴリで使われますが、この製品で使われているものは不明です。

アレルゲンは一番最後に示されています。

(一部にえび・小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む)

これで、該当するアレルギーをお持ちの方は、食べられないことを示しています。

◆原料原産地名

原料の製造地です。ラベルには
小麦麺(国内製造)
と書かれていますが、原料原産地名を表すかは不明です。
法令の説明を見る限り、カップ麺は法令対象外のようです。

◆内容量又は固形量及び内容総量

78 g(めん65 g)と書いてあります。ほとんどがめんですね。

◆栄養成分の量及び熱量

下の写真です。たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウムの量(食塩相当量)及び熱量(エネルギー)は、必ず表示しなければなりません。

カップヌードル一杯で364 kcalですね。思ったより高くないと思いました。タンパク質に対して炭水化物の比率が高いので、これだけを食べていると栄養バランスが悪くなります。

栄養バランスを考える上で、この表示はとても意味があります。

◆食品関連事業者の氏名又は名称及び住所/製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称

売っている人と、作った人の名前を書きます。
何か問題が起こった際の責任者、およびどこの製造者が問題を起こしたかをトレースできるようにしています。加工食品においては表示が必須となっています。

販売者と製造者が同じ場合はまとめて表記が可能であり、

「日清食品株式会社(住所○○)」

と書いてあります。製造所は固有番号で書いてあり、私の手元のものは”+S”でした。

下のサイトでしらべると「滋賀県栗東市下鈎21-1」ということが分かります。

まとめ

食品ラベルには、かなりの情報が含まれています。表面を読み取っただけでこれだけ情報が得られます。

内容物から製造所まで、消費者に対して有益な情報が得られるように、政府がルール化しています。

この情報を正しく読み取って、自身の食生活に組み入れるか否かを判断すればよいかと思います。

バランスの取れた食生活をこころがけましょう。

最後に

この記事の意図は、カップラーメンを食生活に組み入れることを推奨した記事ではありません。学生時代はお金と時間がなくて、安いカップラーメンを毎日食べる生活でしたが、栄養バランスは悪いので、健康的とは言い難い食生活でした。

そうではなくて、ラベルから読み解ける情報を示しました。

よく「カップラーメンはキケン」という記事はありますが、記事を書く人は食品のプロでもなく、成分の何が危険なのかわからずに聞きかじりの情報で書いている方がほとんどです。

すべでの成分について、安全性の情報は消費者庁が開示しています。その情報を基に量的に安全性・危険性を議論したり、もしくはその安全性評価情報に対しての疑義を示すのは良いと思います。

しかし、イメージで語ると大概極論になってしまうので、信用できない情報にあまり煽られないように注意してください。

※私の別記事を、タイトルを変えて投稿しました。実験ですのであしからず。

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