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身の回りにある優れたデザインをスライドデザインの参考にする

プレゼンスライドを作るとき、身近にある秀逸なデザインを参考にするのも効果的です。誰かのスライドに似せるのではありません。CDジャケットやテレビCM、映画ポスターなど、文字とイラスト、写真で構成された優れたデザインが私たちの周りには溢れていて、デザインのヒントを与えてくれます。

プレゼンスライドを作るとき、まずは身近にある秀逸なデザインを参考にしてみるのも効果的です。誰かが作ったプレゼンスライドに似せて作ればいいというわけではありません。CDジャケットやテレビCM、ミュージックビデオ、映画ポスターなど、文字とイラスト、写真で構成された優れたデザインが私たちの身の回りには溢れています。それらのデザインをよく観察することで、私たちはたくさんのデザインのヒントやインスピレーションを得ることができます。それらを自分のデザインに取り入れてみることから始めてみましょう。

図1 身の回りにある優れたデザインを参考にする

もちろん、他の人のプレゼンスライドをじっくり観察して、そこで使われているテクニックやデザイン要素を参考にするのも悪くありません。ただ、あなたが出席している会議で目にするプレゼンスライドが、必ずしもデザイン的に優れているとも限りません。むしろ、参考になるどころか、ダメ出しをしてあげなければならないプレゼンが多いかもしれないので、はたしてどれだけあなたのプラスになるかは疑問です。

TEDでのプレゼンや、アップルの新製品発表会のプレゼンは、優れたプレゼンテーションの代表格とされていますので、プレゼンスライドデザインの視点から見ても、参考になるポイントは多いと思います。しかし、プレゼンの目的が異なるので注意が必要です。それらのプレゼンは、何かを説明するとか、情報を伝えるということより、いかに聴衆を話に引き込むか、いかに注目を集めるか、ということに特化したプレゼンです。なので、あなたのプレゼンスライドにそのまま応用できるかと言うと、必ずしもそうではありません。プレゼンの目的は何なのかを意識してスライドをデザインする重要性については、別の記事でも説明していますので、そちらもご覧ください。

それよりもっといい方法があります。それは身の回りに溢れている優れたデザインを参考にすることです。意識的に周囲を見渡してみると、様々なデザインに出会うことができます。なぜなら、世の中のすべての人工物は、何らかの意図を持って誰かがデザインしたものだからです。身の回りに存在しているデザインからヒントやインスピレーションを得るためには、とにかくそれらを意識することが重要になります。

本、雑誌、チラシ、看板、広告、案内表示板、公共のサイネージ、それらはすべて、情報を伝えるためにデザインされています。例えば、テレビの番組のテロップは、背景に紛れず視認しやすいように配色が工夫されていて、文字には縁取りが施されています。NHKのニュース番組ですら、より見やすく、よりわかりやすくするために、テロップや画面配色に様々な配慮がされています。専門的なテクニックが使われているにも関わらず、誰もが日常的に、しかも無料でそれを目にすることができます。それらはまさに、プレゼンスライドのデザインに使えるアイデアの宝庫なので、利用しない手はありません。

NHK広報局報道資料 2023年3月30日

プレゼンスライドのデザインの参考になりやすい媒体は、「少ない文字列」と「イラストや写真」で構成されたものです。筆者がデザイン的に気になっていつも注意深く見てしまう媒体のひとつが、CDジャケットです。曲名、アーティスト名、レーベル名といったわずかの文字列と画像で構成されていて、それらの情報がコンパクトな正方形の中に収められているのがCDジャケットです。その曲やアーティストの明確なイメージやビジョンがあって、それにそって配色が決められ、タイプグラフィーがデザインされています。何より、CDは大量に製造販売されるということもあって、そのデザインには相当なコストがかけられています。CDショップは、ハイレベルで良質なデザインのまさに宝庫と言えます。

インビテーションカードやリーフレットなどの小型グラフィックスも、プレゼンスライドデザインの参考になりやすいです。有名ブランドから送られてくるイベント招待状などは、わずかな文字列がかっこよくレイアウトされていて、イラストやロゴ、色味も非常にハイセンスです。ファッションブランドの新シーズンのコレクションをまとめた小冊子や、有名スイーツブランドの商品に同封されている商品説明のリーフレットなども同様です。これらの媒体を目にする機会はそう多くはありませんが、大いに参考にしたくなるアイデアがあふれています。

小型グラフィックスのデザインをまとめた書籍もいろいろと出版されていて、それらを参照するのもよいでしょう。例えば、下記の書籍は、小型グラフィックスという非常にニッチな部分に焦点を当てていて、見るだけで楽しい良質なデザインのサンプルが詰まっています。

しかし、優れたデザインを見たければ、わざわざ専門書を買ったり、美術館に足を運んだりする必要はありません。意識して見れば、テレビCM、ミュージックビデオ、映画ポスター、雑誌の表紙、商品パッケージなど、「文字」と「イラスト、写真」で構成されたデザインを、私たちは身の回りにあるものの中から簡単に見つけ出すことができます。それらはかなりのコストをかけてデザインされていて、優秀なデザイナーたちによってデザインされています。プレゼンスライドに限らず、あなたが何かをデザインしようとしたとき、それらは大いに参考になることでしょう。



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