映画「秒速5センチメートル」桜前線上映(リバイバル)
新海誠監督の「秒速5センチメートル」(2007年)のリバイバル上映を観てきました。
“桜前線上映”と題した2週間限定上映。
3月29日から西日本〜南関東で、4月12日からは北関東〜北海道で、桜前線に合わせて順次上映という企画。
2022年にもリバイバルIMAX上映してくれていて、まずはその時の感想を転載します。
この時以来、2度目の劇場鑑賞になります。わかっていても、明里や花苗が泣くシーンにはもらい泣きしてしまう(;ω;)
あらすじが気になる方はWikipediaを参照していただくとして、また感想だけ述べます。
第1話「桜花抄」はピアノのBGMが切なさとノスタルジーを帯びていて、リピート視聴者はそれだけでもうグッとくる。桜が舞い散る中、小田急線の踏切の向こうで振り返る明里。「来年も一緒に桜、見れるといいね。」
二人はその後、親の仕事の都合で引き離されるわけですが(子どもを悲しませる親の仕事の都合マジ何なの)、
いや〜、思春期にあんな強烈な恋愛経験してしまったら、そりゃ病みますよ。
個人的に、明里の声と話し方がすごく好きです。健気で、やさしくて、少し自信なさげで、ま、守ってあげたい!
声は近藤好美さん。他に出演作は無いようだ。ここでしか聞けない声、またリピートしたい。
岩舟駅の待合室で、明里が貴樹のコートの裾を掴んでただただ涙するのにももらい泣きしてしまうのだけど、共感度で言うと第2話「コスモナウト」の語り手である澄田花苗への思い入れが自分はより強い。
中学2年生の時に転校してきた貴樹に花苗はずっと想いを寄せていて、その想いで同じ高校を受験したっていうのがまずすごいけど、偶然を装って校内の片隅でばったり会ってみたりするところがまた可愛い。行き過ぎるとストーカー。
しかし、時々誰かにメールを打ち、どこか遠くを見ている貴樹に最後まで自分の気持ちを打ち明けることができない。(貴樹は花苗の気持ちに気づいていて気づかないフリをしているのだけど)
この花苗のエピソードは何度観ても胸が苦しくなる。
「お願い、もう私にやさしくしないで…」とポロポロ涙を流す花苗につられて、オジサンも涙(;ω;)
ここでも描写が素晴らしい。果てしない宇宙へと飛び立つロケットと自分を重ねる貴樹。
「僕は、何を見ているのか、何処へ行こうとしているのか…」
舞台を種子島に移してロケットを演出に使っているところがナイスです。
新海監督の空の画は特に良い。
初めてレンタルDVDで観た時、トータル63分の作品なのに第1話と第2話で既に50分が経過していて、最後の第3話「秒速5センチメートル」は一体どうなってしまうんだ?と思っていたら、意外な終わり方に大きなショックを受けたものです。
ラスト、桜舞い散る中、小田急線の踏切ですれ違う二人。振り返った瞬間、電車が視界を遮り、電車が通り過ぎたあとには彼女の姿はない。こんなラストがあって良いのか。
そして、山崎まさよしの「One more time, One more chance」は軽くトラウマ(笑)
その後の新海監督のファンタジーラブストーリーと大きく異なるのは、この作品は変にリアリティがあるところ。ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、ただ無情。忘れられない人とか、実らなかった恋とか、多くの人にはあるもんじゃないですか?ここまでイタイものではないにしろ。なので人によってはすごく共感するし、心をえぐられる。(私もそのひとり)
春休みとあって客席は中高生がほとんどだった。彼らはこの作品をどう受け取ってくれただろうか。
新海監督の一番のオススメ作品は?と訊かれたら僕は「君の名は。」と答える。しかし僕の心に一番深く刺さってるのは「秒速5センチメートル」。小説とセットでだけど。
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