押し潰されたい。

あなたは年中真夏の国に住んでいるとする。
部屋の温度を28度程度に保ち、タオルケットや薄いブランケットのみで就寝することは出来るか?

私は重いブランケットや毛布を幾重にも重ねて、その最下層で押し潰されながら寝るのが好きだ。なんなら、やや息が苦しく肋骨が少し潰されるくらいが丁度いい。むしろ身動きが取れなくなるまで圧縮されているのが理想の重さだ。
真冬の凍りそうな夜に窓の外が吹雪で真っ白に染まる景色を見ながら、圧死するほど重い毛布に包まれて温もりと安心感を感じる時間ほど至福な瞬間はない。

しかしマレーシアに来ておよそ2年、私は湿度の高い外気温と、標高1200メートルの山と同じ位の室温による寒暖差に悩まされてきた。
誇り高き北海道民として正直マイナス3度くらいまでなら長袖の服を着ていれば平気で過ごせる。
しかしマレーシアのエアコンは閉じこもった空間に全方位から吹き付けられる人工的な風で死ぬほど寒い。自然の寒さとアーティフィシャルな冷房は別のものだ。そのため、家で過ごす時は冷房を控え28度くらいで過ごす。


しかしそこで思わぬ問題が生まれた。
寝る時まじで暑い。


マレーシアでは仕方なく薄い毛布1枚で寝ているが、中綿入れのそれは冷房無しの部屋だと湿気が籠もるためとても暑い。
おまけに、頼りないペラペラの毛布は我が身を任せられる安心感と快眠を与えてくれない。
まるで、体裁を保つため男らしく語るが行動の伴っていない薄っぺらい男のようである。全く当てにならない。
そこで冷房をつけて寝ると、朝方は冷気が部屋に充満し極寒地帯と化す。

やはりここは部屋を15度くらいにして、窒息死するほどの毛布とブランケットに押し潰されながら寝るしかないだろう…。


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