偶さか日記15(暗夜迷宮PC日記)
イラストやスタンプは全て嘉又夢了氏
文中の凌司君は氏のキャラクター。
事前に関係を組んでいます。
主な登場人物
5月15日
深山が凌司君に輸血パックを届けに来た。
バンパイア協会の俺と凌司君の担当者だ。
頼れるヤツだが俺はアイツ苦手なんだよな。
厳つい体型と顔をしてる癖にビビリだから、気を遣わにゃならなくて面倒なんだ。
俺の始祖が生きてた頃の始祖と俺の担当者は十数年前に死んじまって、深山は付き合いが未だ短いからなんだろうが、担当者にビビられると何気に凹むってのは此処だけの秘密だぞ。
5月16日
凌司君の新しい輸血パックの相性は良さそうで安心した。
その内俺の血が増えりゃ鬱ッ気も消え失せるだろ。
5月17日
凌司君が犬を拾ってきた。いや、拾ったは語弊があるな。ストーカーされて帰ってきた。
その上犬に飛び掛かられるなんざ隙があるんだよな。
でもちゃんとパニクった瞬間に合言葉で俺を呼べた事は称賛に値する。一気に安心した。
犬はかなり俺の好みのナリだ。鼻が猟犬系で立ち耳で耳毛とたてがみと尻尾がフサフサしてて体格がデカくて黒い。
黒いのは重要だ。俺達バンパイアと相性が良い。
バンパイア式命令を素直に受け入れられるから、頭痛やら吐き気やらが殆どしないで済むらしい。
空腹の迷子で冷静な訳が一つも有り得ねぇ状況のワン公を痛い目に遭わせるのは悪手だからな。
5月18日
凌司君は舐められてそうな気がしたから迷子犬の病院へ俺も付いて行った。
検査とトリミングが済んだ犬は帰したくねぇ位好みド真ン中に仕上がった。と思った瞬間に、トゥチャンから尋ね犬のビラ貼りを手伝ってくれというメッセージが飛び込んだ。
添付されたビラの絵を見ると、まさにこの犬だった。
犬だけ界狭間の暴走で、環を持つ土塊の星から殻持たぬ青海の星くんだりまで飛ばされたらしい。
運命の出会いに違いねぇ!
当犬の気持ちと凌司君の了承で圭家で飼う事に決まった。
名前は俺が考えた土果。
水難を生き延びたからだ。
水を克すのは土だからトラウマ防止の願いも込めた。
向こうの伴侶動物の法的手続き上、俺と凌司君二人の伴侶犬という事になった。
また一つ外濠が埋まったって訳だ。
5月19日
土果をこの星のヒューマン社会でも名実共に俺達の飼い犬と認めさせる為に半日駆けずり回った。
俺の住民票を圭家に移して、警察に免許の書き換え行って、土果に狂犬病予防接種して、マイクロチップを装着して、マイクロチップに俺の個人情報を登録、ココまでは納得尽くだ。
だが、鑑札と注射済票、手前ェ等は無駄そのものだ。鑑札はマイクロチップに完全に置き換えられるし、マイクロチップにワクチン済証も登録できるだろうがよ!
と、温厚な凌司君のお怒りもご尤もな要領の悪いシステムに俺も一緒に切れ掛けてた訳だが、目の前の大切なヤツがブー垂れてると機嫌取ってやろうと思う気持ちの方がデカくなるの何なんだろうな?不思議だぜ。
善人がブー垂れると可愛く見えるって、俺はビョーキかね…?
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