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ひとは声から忘れていく

好きなものは何かと尋ねられると、
私は本と音楽が好きだと答えます。


それ以外で、もう本当に、一生好きだろうなというものがあります。

私は人の言葉がとても好きです。

まず、発する音が好きです。ひとりひとり違って面白い。イントネーションとか、語尾を上げる下げるか、柔らかいか鋭いか、早口かゆっくりか。
発するだけで、その人の音なんですよね、愛おしくて本当に好きです。

言い回しが好きです。その人が何に影響されて、どう思考している人なのかわかるから。口癖はあるのかないのか。主観的か客観的か。抽象的か具体的か。


話す内容の良し悪しではなくて、言葉のどこをとっても自分とは違う人間だとわかるし、めっちゃ面白いなと思います。

音楽も本もそう。人が発した音だし、人が生んだ言葉の成果物です。自分の好きな音や言葉を集めたくなる。

毎日意識している訳ではありませんが、好きだなと思います。



最近いいなと思った言葉を紹介させてください。


ご自身のつらい経験などを語り部として、お話ししてくださる方々に対して、聞き手はどういう姿勢であるべきか、という論点で聞いた言葉です。

前提として、敬意を持って共感的であるべきだ。

 

もう一つ紹介させていただくと、私が中学生の時の総合の授業で、「なぜ勉強するのか」というテーマでワークをした時、友達が言った回答です。

自分のため、自分が自信を持つため。


中学生の時、なんのために勉強するのかイマイチわからなくて、テストも塾も嫌いでした。授業でこの問を立てられた時、「知らんがな」と思ったのですが、友達の言葉が腑に落ちました。ああ、自分のためなら頑張ろうと。

言った本人は覚えていないそうですが、私はこの言葉を聞いて高校受験も大学受験も、頑張れました。


誰かの心に響かせようとか、そういう意図が無くても響くときは響きます。生身の人間から発せられた言葉ほど、力のあるものはないと思っています。 

今まで私と出会ってくれた人や、これから出会う人の言葉を、とりとめのない言葉だろうが、できるかぎり覚えておきたいです。


盆で、昨年亡くなったじいちゃんのお参りをしました。ばあちゃんの言葉が印象的でした。

ふしぎと、愛情は増すばかり


人は忘れる時、声から忘れていくと何処かで聞きました。できる限り覚えていたいけど、いつか忘れちゃうなら、言葉は絶対覚えておこうと思います。