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スポーツ復帰に向けた腸脛靭帯炎のアプローチ

腸脛靭帯炎は膝関節外側の疼痛を主症状とする膝関節の障害であり、ランニングなどのオーバーユースが発生の原因とされる膝関節の障害です。

ランニングなど膝関節の屈曲と伸展が繰り返されることよって腸脛靭帯と大腿骨外側上顆の間に存在する脂肪体の炎症が疼痛の原因とされ、初期は運動後の疼痛を主症状としますが、悪化すると疼痛によりランニングなどは継続困難になり、慢性化すると日常生活にも影響を及ぼすこともあります。

腸脛靭帯の重症度分類
グレード1|走行後に痛みが出現。走行距離、スピードに影響なし
グレード2|走行中に痛みが出現。走行距離、スピードに影響なし
グレード3|走行中に痛みが出現。走行距離、スピードに影響あり
グレード4|痛みが強度で走行を妨げる

      (疾患別整形外科理学療法ベストガイド〈下肢編〉より引用)

腸脛靭帯炎は膝関節だけではなくの上下に存在する股関節や足関節の機能にも影響を受け、疼痛の減少など炎症の鎮静化のみを行い機能不全を抱えたまま復帰してしまうケースでは再発を繰り返すこと多く、再発予防のためには原因となる機能不全の改善を段階的に行う必要があります

そこで今回は腸脛靭帯炎に対するスポーツ復帰に必要なアプローチ方法を段階的なアプローチ方法を動画を中心に解説していきたいと思います。

note概要

腸脛靭帯炎に対するアプローチ方法の解説スライド、実技(スペシャルテスト・ストレッチ・トレーニングなど)を動画にて紹介しています。

1.評価
・解剖と病態
①股関節|大殿筋と大腿筋膜張筋の柔軟性評価
②膝関節|下腿内旋可動性評価
③足関節|足部可動性評価
2.可動域改善
①腸脛靭帯の過緊張改善
②下腿内旋可動性の改善
③足部回内可動性の改善
3.運動療法
①足関節|長腓骨筋ex
②膝関節|内側ハムストリングスex
③股関節|股関節外転筋ex
4.CKCトレーニング

ダイジェスト動画

1.評価

腸脛靭帯の解剖

腸脛靭帯は大腿筋膜張筋、大殿筋、殿筋膜から起始し、浅層は膝蓋骨側方、中・深層線維は大腿骨外側上顆上を走行し脛骨のGerdy結節に付着します。

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発生因子

腸脛靭帯炎の発生因子として荷重時の膝関節内反の増加が挙げられます。

腸脛靭帯を構成する大殿筋や大腿筋膜張筋の柔軟性低下、荷重時の膝関節内反の増加により脂肪体への機械的ストレスが増加することによって脂肪体の炎症が発生すると考えられています。

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評価

①股関節|大殿筋・大腿筋膜張筋の柔軟性低下

腸脛靭帯自体は伸張性に乏しい組織のため、構成する大腿筋膜張筋と大殿筋の柔軟性低下は腸脛靭帯の緊張増加を招き脂肪体への機械的ストレス増加させる可能性があります。

②膝関節|下腿内旋可動性の低下

また腸脛靭帯は脛骨外側のGerdy結節に付着するため、緊張増加により下腿の外旋偏位を招き、下腿の内旋可動性低下に伴う内側ハムストリングスの機能低下を有する可能性があります。

③足関節|足部回外による膝関節内反の増加

膝関節内反の増加も荷重時の脂肪体への機械的ストレスを増加させる要因となります。

膝関節内反の原因の一つとして足部回内可動性低下があり、後足部と中足部の回内制限は足部接地時に下腿外傾を増加させ、膝関節内反を増加させる可能性があります。

評価
①股関節|大殿筋と大腿筋膜張筋の柔軟性評価
②膝関節|下腿内旋可動性評価
③足関節|足部可動性評価

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