道ですれ違う綺麗な幼稚園ママを見て思うこと

「もしかしたらあのママも同じように息苦しい気持ちを抱えていたりするのかな」。そう思ったのは、幼い子どもが手をつなぐのを嫌がってため息をもらす見知らぬ幼稚園ママの姿を、信号待ちの車の中から見かけたとき。

きれいにまとめられた髪、清楚な紺のワンピースに、ヒールのある靴。名門幼稚園の制服を身に纏った女の子。傍から見れば、経済的な余裕もあるだろうし、充分幸せそうに見える親子。でも実際、幸せかどうかは本人にしかわからないんだろうなと思いながら、その姿を眺めていました。

たった2〜3年しか通わないはずなのに、幼稚園という狭い世界の中で母親たちの関係は密接になります。しがらみも多いはず。小学校受験に強いと言われるその幼稚園ではなおのことです。あのきれいな幼稚園ママもきっといろいろあるんだろうな、と余計なお世話ですがひとり考えていました。


幼稚園ママだって保育園ママだって、子ども、家庭、キャリア、人間関係など頭を悩ませることは多々あるはず。よく「専業主婦vs共働き」の構図で煽られたりするけど、どの立場だって悩みは尽きないのです。

ただ、両方経験してわかったことは、片方しか経験していない人は、経験したことのないことに偏見のある人が多いということ。あくまでも"私のまわりでは”ということですが。

やむなく仕事を辞めて専業主婦になった時、ずっとフルタイムで働いているママ友に「げ!専業主婦になるの?信じられない」と言われたことがありました。その時の見下されるような眼はいまでも忘れられません。言った人が専業主婦にどんなイメージを持っているのかはわかりませんが、少なくともポジティブなイメージを持っていないことだけはわかります。

また専業主婦のママ友が、たまたまやんちゃな子が保育園卒だっただけなのに「ま、保育園育ちだから仕方ないよね」とか、その親に対して「保育園に入れて(育児怠けて)たくせに」と中傷するような言葉を吐き出していたのもよく覚えています。悲しいことに一人や二人ではありませんでした。

私の子どもは保育園も幼稚園も通っていましたので、その言葉を聞いたときこんな風に思われているのかと心が痛かったです。毎日仕事で疲れているというのは否定できませんが、保育園ママは決して育児を怠けているわけではありません。保育園育ちだからといって、乱暴な子が育つわけではないと思います。中にはやんちゃな子もいるかもしれませんが、おとなしい子だって、きちんとルールを守れる子だっています。幼稚園と同じように色んな子がいるのです。それは生まれ持ったその子の性格だったり、家庭環境によるところも大きいと思うのですが、どうしてかいつも「保育園」か「幼稚園」でカテゴライズされてしまうのです。

逆に、自分が専業主婦になってはじめてわかってことは、幼稚園ママは働きたくても働けない人がたくさんいるってこと。時間的な制約、夫の理解、家族のサポートが受けられない、またこれまでのキャリアを継続するには時間が経ち過ぎてしまっていること。そして、働きたいのに働けないことに対して後ろめたさを感じている人もいます。

「仕事があっていいな」「仕事が忙しくて子どもに手をかけてあげられない」「もう働きたくないけど経済的に働かなきゃ無理」「子どもと一緒にいれていいな」「ずっと子どもといるのしんどい」「働きたいけど子ども預けるとこない」

お互い羨ましいと思うところがあるけど、それを素直に羨ましいと言えばいまの自分を否定してしまうことになる。どちらの立場を選んだって不安は解消できないのに。どうしてママってこんなに息苦しいんでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?