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裸の履歴書vol.11~迷える刻

 専門学校卒業後、「とある施設」で契約社員として働きながら、試験勉強(vol.10参照)をすることとなった。その傍ら、スポーツ現場(サッカー、アメフト)の仕事をいただいた。働きながらの勉強は想像以上に大変に感じた。勉強に没頭できる「学生」という身分は、かくも幸せな時間だと自覚する。

 その年の秋、日本体育協会公認アスレティックトレーナー(現日本スポーツ協会)理論試験に合格する。しかし、翌年の実技試験に落ちる(理由は後述)。

 平日お世話になっている「とある施設」とは、高齢者施設であった。所謂「介護現場」だ。スポーツ現場とは真逆の場所。アス・リハ(アスレティック・リハビリテーション)とメディカル・リハ(メディカル・リハビリテーション)の違い。

解りにくいためもう少し掘り下げる。

〔ゴールの違い〕
アス・リハ…競技復帰
メディカル・リハ…日常生活

日常生活が儘(まま)ならない方々のお世話である。

 アスリート(競輪選手)としてアクティブに活動してきて、アスリート(競技選手)を相手にスポーツ現場に携わってきた立場から覗く介護現場では、

可動域がない、筋力がない、痛みの閾値が低いなど…

お年寄りたちは想像よりはるかに元氣がない印象であった。

ここで自分になにが出来るのか?

自問自答の日々が続く。

 嫌々ながら始めた高齢者を相手にする仕事であったが、勉強になることばかりであった。一つには、彼ら、彼女らは…

なぜ、元氣がないのか?

なぜ、こんなにも動けないのか?

なぜ、こんなにも病氣を持っているのか?

高齢だから?

いくつもの?が続いた。

 おそらく介護に従事していてこんな疑問を持つ人間は自分くらいだろう。この頃の私の引き出し(知識・技術)では到底辿り着くことの出来ない難問ばかりで、のちに現在の礎となる理論体系に辿り着くため、強(あなが)ち遠回りではなかったようだ。

 スポーツ現場で外傷・障害に触れながら、一方では高齢者を相手に慢性疾患に触れるという超刺激的体験をさせていただくこと4年。長らくの疑問にある一定の答えを見い出すこととなる。

 いよいよもって本連載も佳境を迎えることとなる。

 ものわかりがよくて、察して、目立ちたがりで、真面目で、ダサいことが嫌いで、うっすら支配している空気が嫌いで、冷静で、ひねくれもので、エネルギーの方向が違っていて、つまずいて、めんどくさいやつで、引き際が潔くなくて、いい歳していい経験して、勉強の素晴らしさを知り、

 つまりは、我思う…「可愛げのない社会人4年生」だった。

続く

1975年7月17日 青森市生まれ  


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