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【PMP×野球】#5:品質マネジメント

「プロジェクトマネジメント」×「野球」

世の中には様々な”やるべき事”が溢れている。そのやるべき事を然るべき準備や手順(プロセス)で進めていく手法に”プロジェクトマネジメント”という概念がある。

あらゆる仕事に転用できるベースとなる概念・考え方だが、なんせとっつきにくくて分かりにくい。参考書を読んでもイメージもつきにくいし、頭に入ってこない。

そこでこのプロジェクトマネジメントを自分の大好きな”野球”というフィルターを通し、野球とのアナロジーを見い出しながら”プロジェクトマネジメント”を分解していく。野球というスポーツも、各自がそれぞれの準備や役割を正しく行う事で”試合に勝つ”というプロジェクトを遂行していると捉え置き換えれば少しは頭に入りやすいし、知識として定着するはずである。

苦手な食べ物を好きな食べ物と一緒に食べるように…
難解な用語を身近なものに置き換えることで覚えるように…

#5.品質マネジメント

<計画プロセス群>
5.1:品質マネジメントの計画

<実行プロセス群>
5.2:品質のマネジメント

<監視・コントロールプロセス群>
5.3:品質のコントロール

プロジェクトの成果物におけるプロダクト要求事項を確実に満たし、かつ妥当性が確認するように働きかけをする重要なプロセス。

特に【品質のマネジメント(実行)】と【品質のコントロール(監視・コントロール)】の違いについては要注意!
"品質を予防するコスト"は、"欠陥を是正するコスト"に比較すると遥かに少ない。その点においては【スコープの妥当性確認(スコープマネジメント)】と合わせて以下のフローで理解を促進させたい。

サード(三塁手)は、得点を許す前の最後の塁を守る存在となるので、その立ち位置をアナロジーに検証済み成果物をアウトプットする「品質のコントロール」する存在、と置き換えている。

更に理解を促すならば、この「品質のコントロール」プロセスで成果物の正確性を検証したのち、最終的には「スコープの妥当性確認(スコープマネジメントプロセス)」で納入物としての網羅性を担保する最終フェーズというステップを踏むことになる。

この”スコープマネジメント”を野球上の置き換えでは、キャッチャー(捕手)として定義しているので、
「品質のコントロール(品質)」→ 三塁へ(サードの役割)
「スコープの妥当性確認(スコープ)」→本塁へ(キャッチャーの役割)

というような野球というスポーツにおいてサードが事前に失点を予防し、キャッチャー(本塁)で”相手に得点を許してしまう事”を防ぐ流れに置き換えてイメージし、記憶する事を試みている。

5.1:品質マネジメントの計画

プロジェクトにおいて成果物の品質要求事項・品質方針を定義、文書化して定める。

品質(Quality)と等級(Grade)の違い

◎品質(Quality)
常に”要求事項を以下に満たしているか?”が重要であり基準を満たすことは必達事項。

◎等級(Grade)
”どの程度の(技術的)特性を持たせているか?”であるため低くても受け入れられる場合がある。
Ex)車のグレードは等級により”ハイグレード=革張りシート”などプロダクトの差別化戦略においてあえて等級に差をつけることがありうる

品質(Quality)と等級(Grade)の違いを”野球のチームディフェンス”を使って例えてみると少しイメージがしやすくなると思う。
【等級(Grade)】少年野球/高校野球などチームが属するカテゴリーに合った最低限のチームディフェンスがあるか?であって、【品質(Quality)】はそのそれぞれのカテゴリーにおいて監督・コーチが目指すチームディフェンスの基準を満たしているのか?という整理となる。

野球の守備というのはそのカテゴリー(少年野球〜プロ野球)によって当たり前だがその差が明確に分かり易い。その分かりやすさをカテゴリーの特性すなわち”等級(Grade)”とし、それぞれのレベルの中で満足できる基準にするという事を”品質(Quality)”として捉えると理解は進みやすい。

”品質のマネジメント”と”品質のコントロール”の違い

品質のマネジメントと品質のコントロールは言葉上は似ているが、各プロセスで行われる作業の視点が違う事に注意しておきたい。

品質マネジメントでは、「監査(Audits)」という視点でプロセスを捉えておりプロセスやアクティビティに対して”品質基準を満たしているか?改善が必要か?”を評価する。

一方、品質のコントロールでは、「検査(Inspection)」という視点でプロセスを捉えておりプロジェクトの結果をレビューして”プロダクト・サービス・所産が要求事項に適合しているか?(成果物の正確性を検証)”という部分を評価する。

サード(三塁手)というポジションと絡めて”品質マネジメント”と”品質コントロール”を理解しようとすると以下のような整理になる。

サード(三塁手)は、走者が三塁に到達するまでの守備や事象(プロセス・アクティビティ)に対して妥当だったか?をチェックするのが”品質のマネジメント”

また、三塁に到達してしまった事やその先失点を許したこと(プロジェクトの結果)に対して、チームとして対処すべきだった事(守備)と照らし合わせて検証するというのが”品質コントロール”となる。

ちなみに品質コントロールで重要なのは、”検査では品質を確保することにつながらない”という視点である。これはすなわち【三塁に進塁されたあと】では、失点を防ぐのは難しくなるから、【三塁に進塁する前の段階で予防しておく】という視点である。

<5.1:品質マネジメントの計画(主なアウトプット)>

◎品質マネジメント計画書
組織における”品質方針”を実現する方法を記述したドキュメント。

◎品質尺度
品質コントロールの対象物が何か?また、それらがどのような検証されるかを具体的に記述した運用基準のこと

5.2:品質のマネジメント

組織の品質方針をプロジェクトに組み込み、組織の品質マネジメント計画を品質活動を実行に移すプロセス。【品質のマネジメント】は”監査(Audits)”と呼ばれ、プロセス/アクティビティを対象にレビューを実施。

品質基準を満たしているか?改善が必要か?を評価する。
品質監査や品質保証ツールや技法を通して、特定の要求事項と期待を満たした成果物を生成できるという確証を得る。

<5.2:品質のマネジメント(主なツールと技法)>

◎デザイン・フォー・エックス
設計時に製品ライフサイクルの各段階を考慮しながら、設計優先順位をつけて進める手法。

・コスト受容性(Design for Cost)
・組立容易性(Design for Assembly)
・環境負荷性(Design for Environment)
・製造容易性(Design for Manufacture)
・保守容易性(Design for Service)

<5.2:品質のマネジメント(主なアウトプット)>

◎テスト・評価文書
品質目標の達成度を評価するために用いられるプロジェクト文書。

5.3:品質のコントロール

産み出された成果物が”完全かつ正確で顧客の期待を満たしていることを保証する”ための検査(Inspection)を実行するプロセス。最終納品前にプロダクトまたはサービスの使用適合性(正確性)を測定する。

<5.3:品質のコントロール(主なツールと技法)>

◎係数サンプリングと計量サンプリング
品質のコントロールプロセスにて成果物の検証を行うときに通常はサンプリング試験を行うが主な手法は以下の2つ。
係数サンプリング結果の合否を判断。
計量サンプリング:適合度合を連続的尺度で測定した結果の等級付け

◎管理図:±3σ(シグマ)
σ(シグマ)とは標準偏差のことであり、平均値からのバラツキを表示。
 ±1σ:±1σの区間に入る確率は「68.25%」
 ±2σ:±2σの区間に入る確率は「95.46%」
 ±3σ:±3σの区間に入る確率は「99.73%」

ちなみにシックスシグマでは”不良品を1000個に1個以下にする”くらい厳確。
 ±6σ:±6σの区間に入る確率は「99.9%」

◎ルール・オブ・セブン(Rule of Seven)
管理限界線の範囲内(3σ)にあっても7つの点が連続して同じ傾向にあればそのプロセスになんらかの異常が発生しており、要調査が必須

<5.3:品質のコントロール(主なアウトプット)>

◎品質コントロール測定結果
品質コントロールプロセスの活動結果を品質マネジメント計画書へ反映。

◎検証済み成果物
成果物の正確性を確定させることが目的であり、ユーザー受入プロセスである【スコープの妥当性確認】へのインプットとなる。

”品質マネジメント的”プレイヤー

品質マネジメントというその言葉の印象からプレーヤーを導き出そうとすると”堅実性”や”プレー自体のクオリティー”という部分が一番に連想される。

そして個人的にそこから連想されて出てくるのが宮本慎也(元東京ヤクルトスワローズ)である。元来、遊撃手というイメージが強いかもしれないが、このプロジェクトマネジメント的なポジションで連想した場合、彼の現役終盤の熟練された守備や守備全体のコントロール、守備のクオリティを要求する姿勢などは一番イメージがしやすい。

宮本慎也(元東京ヤクルトスワローズ)

次回は「#6:資源マネジメント」


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