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【寄稿文紹介】なぜIBM Cloudを利用すると企業はトクをするのか(2/3)

こんにちは、IBM新規事業開発TPS(TechnologyPartnerSales)チームに所属する水沼です。
前回に引き続き、IBM Cloudパートナー企業である、株式会社エルテックスの寺田様が弊社ブログに寄稿された内容を2/3回の内容をご紹介させていただきます。

第1回はこちら、https://note.com/kzmn_kzmn/n/nf14b8265deb5

クラウド基盤安定のために必要なこと

オンプレミス運用も経験したことのある私は常々、クラウド基盤提供ビジネスとは、「知識集約型」ではなく、「資本集約型」であるべきであると強く主張します。

知識集約型とは、保有する知財をベースに高付加価値を生み出すことを指します。IT業界はこのタイプの企業が多く、かつ模範とされていると思います。より高いテクニカルスキルを利益の源泉とするということです。

一方で、資本集約型とは、大量の資本を投下し設備を充実させることで高い価値を生み出すことを指します。電力、ガス、交通、通信などの社会インフラ企業がこれに当たります。これらの産業はサービスレベルの維持に社会的な責任が伴います。そのために多額の設備投資を行っているのが事実であり、クラウド基盤も同様であると考えます。

クラウド基盤も、技術的な要素を噛み砕いて言いますとオンプレミス環境と同義です。サーバーを購入しデータセンターに配置し、ネットワーク機器と回線を用意すれば、クラウド基盤が完成します。昨今ではオンプレミスにもパブリッククラウドと同等の設備を設置できるサービスもあり、設備面から言えばどんどん垣根が曖昧になっていると思います。したがって、一定以上のテクニカルスキルがあれば、クラウド基盤提供ビジネスは提供可能と言えます。世の中の数あるクラウドサービスでどれを選べばいいか迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは「知識集約型」を前提とすれば起こりうる現象です。

しかし、長期の安定運用を考えた時に、数あるクラウド基盤の差別化要因は何かというと、「資本の充実」です。資本が充実していなければいけない要因を挙げていきます。

■エンジニアの問題
優秀なインフラエンジニアを大量に雇用し、配置する必要があります。また、24時間を前提に運用しなければいけません。規模の小さな企業では、技術が属人化してしまい、特定のメンバーの離脱等が大きなリスクとなります。また、24時間対応すること自体が負担となると考えます。

■設備増強とアーキテクチャーの問題
企業が利用するにあたり、適切であると考えるサービスレベルを提供するための設備は、大規模でありかつ単純化され、運用も効率的であることが求められます。アーキテクチャーが複雑なものでは、最終的に利用する段でサービスの組み合わせが増幅してしまい管理が複雑となります。小規模でスタートし、顧客のオーダーに基づいて拡大していくやり方では、構成がツギハギになってしまい障害要因となります。特に小さな企業は、スタート当初から大規模な設備投資ができないためこの傾向にあるといえます。したがって、大きな資本で、大量に、同質なものをスケールアップするビジネスを展開できるほうが安定すると考えます。

■多データセンター化・グローバル化の問題

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クラウドサービスはリージョン・アベイラビリティーゾーンの概念を前提に、グローバル展開が必須となっています。企業活動のデジタルトランスフォーメーション対応やグローバル化を実施していくためには必須の機能となっています。単一もしくは、少数のデータセンターで運用されているクラウドサービスは、デジタルトランスフォーメーション化への対応を進めると、どこかのタイミングで、より安定したクラウド基盤を提供する局面がやって来ます。でなければ、ユーザー企業がリスクを取ることになってしまいます。しかし、大きな資本がないクラウド基盤提供事業者にはそもそも、設備の保持・運用が難しいです。大量の設備が負担になってしまいますし、グローバルに人員を配置し運用することもできません。

■コストメリットの問題                       一般的に設備やそれを構成する機材は大量に購入したほうが安いといえます。かつ同質の機器を一括購入できるため品質が安定します。資本集約型の場合は、多額の資本投下を計画的に実施するためスケールアップを安定的に実施し価格も抑えることができる。一方で知識集約型だと構築したときは安定しますが、そのあとに、実施されるツギハギでスケールアップや、同一でない機器で運用する結果となり、運用品質が大きく低下することが起こりえます。

したがって、上述した条件を対応可能な企業が運営し、展開するクラウド、となると世界でも数が限られていくのが実情です。もちろん、知名度の高いAWSやAzureも挙げられますが、IBM Cloudはさらに「ユニークな」特徴を持っており、これがたくさんの企業に認知して頂けたら、もっと導入が進むのではないかと思っています。その特徴を次章で解説します。

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