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一橋MBA経営分析プログラム受験についてよくある質問|受験勉強・研究計画書・志望動機

普段は日記的な感じで書いていますが、ブログを見てくださってる方から大学院受験について質問をいただいたので、自分が書ける範囲で国内の経営大学院受験(特に一橋の経営分析プログラム)の「情報」や「考え方」を書いてみたいと思います。大学院の予備校で小論文や出願書類のフィードバックを中心としたカウンセリング業務も楽しくて続けているのですが、そこでもよく受ける質問も少しずつ書いていこうと思います。

ただし、あくまでN=1の体験からの話であり、主観的な内容になります。全ての情報に対して一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。また、所属する組織とは一切関係のない個人的な発信です。入試情報等の信憑性については必ず原典にあたるようお願いします。

※「経営分析プログラム」というのは、一橋大学MBAの国立キャンパスで日中開講されるコースです。「経営管理プログラム」は千代田キャンパスで夜間開講されるコース。

ということで、本題。


1. 受験勉強の内容とスケジュールについて

経営分析プログラムの一般受験の試験内容とスケジュールは以下の通り。

7月中旬:研究計画書や願書などの書類提出
8月下旬:筆記テスト(小論文と英語or数学)
9月中旬:面接(筆記が通れば)

1.1 私の学習スケジュール

  • 5月初旬〜6月上旬

    • 予備校入学

    • 小論文対策(予備校の課題)+研究計画書検討(過去の受験者の出願書類乱読&自身のストーリー構築)

    • 小論文対策(平日毎朝1時間程度)&日曜日に研究計画書構想/先行研究調査等(日曜日4時間程度)

  • 6月中旬

    • 研究計画書執筆本格的に着手

    • 小論文対策継続

  • 6月下旬

    • 1回目の研究計画書添削指導を受ける

    • この頃は小論文対策はできず

  • 7月上旬

    • 2回目の研究計画書添削指導を受ける

    • この頃は小論文対策はできず

  • 7月中旬

    • 書類の詰め→提出

  • 7月下旬(書類提出後)〜

    • 小論文対策(仕事のため、土日のみ)

    • 英語学習

  • 8月下旬(1次突破後)〜

    • 面接対策

では、以下で詳しく書いていきます。

1.2 選択科目(英語or数学)について

私は英語を選択しました。理工卒の意地で数学を選択しようかと思いましたが、理工出身の経営分析の先輩に止められました(笑)実際過去問見ると、英語の方が楽だと思ったので、それぞれ過去問を見て決めるのが良いと思います。

まず私の英語力の前提としては、もう10年ほど前になりますがTOEICは920取得していて、読みに関してはあまり困らないレベルでした。経営分析プログラムの英語のテストは、英文を読んで和訳するものなので、苦労しなかったというのが本音です。当日も満点でもおかしくない手応えでした。合格している人たちは、英語はほぼみんな高得点の手応えがあるようなので、苦手な人はしっかり学習することをお勧めします。

私は7月中旬以降(書類提出後)に以下に取り組みました。
①ターゲット1900で単語を復習。
②過去問2年分の和訳→自分に刷り込まれるまで音読(たぶん20回くらい)
③(試験2週前くらいから)英語に慣らしておくため、ジャパンタイムズの社説の本を買って経済やビジネス系のテーマのものを速読。

一番はやはり過去問ですね。ある程度英語力のある人であれば、過去問だけで十分かと思います。自信がない人は①から始めて③も和訳をきちんとやるのが良さそうですね。なお、③はジャパンタイムズよりハーバードビジネスレビューの方がおすすめだそうです。

ちなみに、私は過去問を入手できましたが、著作権の関係で一橋のサイトには公開されてません。ただ、出典がページまで載っているので、その本を買って、該当ページを和訳して練習するのが良いと思います。

去年のはこれっぽいですね。(ご購入の際は念の為ご自身でご確認ください。)

1.3 小論文対策について

(たぶん)一橋の受験は筆記試験がかなり重視されています。入学後に感じることですが、高いレベルできちんとした文章を書くことが求められます。

私が取り組んだことは、予備校のテキストの徹底。満足のいく評価が得られるまで課題の再提出をしました。テキストの内容は、経営学の基礎知識と小論文の解き方。ちなみに、これをしっかりやっておいたおかげで、大学院1年目の必修科目はそこまで苦労せずに済みました。受験勉強はやっぱり大事だと思います。

一橋は受験の時点では経営学の知識は(ほとんど)求められないので、後者の小論文の書き方が注力すべきこととなります。(例えば、都立大のMBAとかはポーターのファイブフォースを説明せよ、みたいな知識問題もでます。)

独学する人には、この本がおすすめです。自分が独学するとしたら、この本の徹底マスターに取り組むと思います。

演習問題については、解き終わったあとに自分の解答の論理構造を分解したものと、模範解答の論理構造を分解したものを突き合わせてみると良いです。模範解答がなぜそのロジックで書かれているのかを徹底的に検討して、自分がそのロジックを再現できるようになるまで考え抜くことが重要です。私は予備校の演習問題でそのように取り組みました。

1.4 研究計画書について

経営分析は「職務・学習に関する履歴書」と「将来計画書」をそれぞれ2,000字で用意します。

最初にやるべきこととして、自身の「過去→現在→未来」のストーリーを描くことが重要だと私は思っています。MBAに行く理由に”自分自身が”心から納得している状態になれるまで内省すること自分が主人公の小説を書くように「過去→現在→MBA→夢」のストーリーを描いてみる。それを語って、自分がしっくりくるまで考え抜きます。(書きながらできてくるものでもある)

(過去)
「いままで自分は◯◯に問題意識を持ち、◯◯に取り組んできた人間である。」
(現在)
「◯◯の業務に従事し、◯◯に課題感を持っている。」
このとき現場レベルだけでなく、経営者視点の問題として捉え直すこと。例えば「売上が伸びない」であれば、自分の営業力不足とか知識不足ではなく、それは経営者の視点で捉えたら何が問題なのかを考えるのです。
(MBA)
「大学院で◯◯の研究をすることで、現場の課題感から生まれた問題意識に対する示唆を得たい。(+経営全般に関する知識を得たい)」
(夢)
「私は◯◯というビジョンを持っている。だからMBAでの◯◯の研究(+経営全般を学ぶこと)が必要なのである。MBAで学ぶからこそ、そのビジョンを実現できると確信している。」

自分が自信を持てるストーリーでない限り、当然相手には伝わらない。し、ワクワクしないですよね。

その上で、「職務・学習に関する履歴書」では過去の実績をPR、「将来計画書」では将来のビジョン達成までのストーリーを描くイメージです。この二つの書類は分断されたものではなく、ストーリーを相手に伝えるための前編・後編みたいなもの。

当然のことながら、特に「将来計画書」では「MBAの必要性」がきちんと伝わるように書いていくことが大切なので、その辺の細かい点は、こちらの書籍を参考にしていただくと良いと思います。(私も基本はこの書籍に沿っている書き方をしました。)

また、この本にはたくさん事例が載っていたと思うので、事例を分析してみると勉強になります。自分と同業界の人の事例があれば特に参考になりますが、自分と違う業界の人たちのものであっても「ストーリー構成」「課題設定の仕方」「MBAの必要性の述べ方」などは参考になります。

1.5 面接対策について

たしか、受験前に「面接の内容は公開してはいけない」という注意を受けていたので、自分自身がやっておいてよかったなと思っていることだけを書き残しておきます。

① 志望理由を3分〜5分で言えるようにしておくこと
② 自社(自分の業務)の現状(課題)と打ち手を深掘りしておくこと
③ 目標やキャリアゴールまでの道筋を超具体的に描いておくこと
④ ②③を踏まえて、なおMBAが必要な理由を明確にしておくこと

つまり、書類に書いていることをわかりやすく話せるようになっておくこと。また、書類に落とし込んだ範囲にとどまらず、さらに周辺まで範囲を広げて検討して、深掘りしておくこと。やるべきことは、②〜④にあたる「職務・学習に関する履歴書」と「将来計画書」で描いたストーリーを詰めまくっておくことかなと思います。

学生を選ぶ側からの立場からすると、
①(短期:在学中)この学生は授業で活躍できるか?
②(中期:修士論文)有益な論文を書けそうか?
③(長期:修了後)MBAでの経験を踏まえて、社会で活躍できそうか?ビジネスを通じて社会に貢献できそうか?(経済的価値を生み出せそうか?)
みたいなことが念頭にあるのではないかなと思います。

研究計画書対策も面接対策も、このような視点を持って自分を評価してみると改善点が見えてくると思います。

改めて、
(過去)ここまでに蓄積された自分の経験から授業で活躍する力がある
(現在)自身の経験/学習からある仮説を持っているから有益な研究ができる
(未来)これまでの経験とMBAの学びによって、こんなビジョンを実現できる
というストーリーを納得感あるものにすること、自分が自信を持って語れる状態にしておくことが重要だと思います。

あと自分の仕事・会社・業界のことは専門家として語れる準備はしておいた方が良いと思います。

2. 志望動機について

2. 1 なぜMBA?

カウンセリングを受けていてよくあるのが「自分の知識不足を感じるので経営学全般を学び直したい」といったもの。多分これだけだと合格は厳しい。書籍でいくらでも学べるのでは?ということになるからです。また、MBAを志望するほとんどすべての人がそう思っているため、選ばれるほどの価値ある志望理由にならないからです。加えて、大学院は仮説を解き明かす研究をする場所でもあります。

どう考えていけば良いかというと、自分(や会社あるいは社会)の「未来」にとって、自分が経営学を学ぶ必要性を考えてみると良いと思います。自分の業界や自社に対する問題意識を経営者の目線で捉え、自分が経営学全般を学び、ある仮説に対する研究を行うことで、将来的にその問題が解決されていく(新たな価値が生まれていく)ような未来を描いてみる。

一つの考え方として、目の前の課題を経営視点の問題として捉え直して、研究テーマに昇華する方法。例えば、自分が営業チームに所属していて売上が下降しているというがある。その事象を経営者の視点で捉えてみると、組織の問題なのか、サービスの問題なのか、あるいはビジネスモデルの問題なのか、さまざまな視点から問いを立てることができます。単なる「営業訪問数が少ない」といったタスクレベルの話ではなく、「経営の問題」になってくる。そうすると、業界間・国際間・各社間との比較、調査・分析、経営理論の応用等、研究を通じて明らかにしたい問いを設定できてきます。

経営分析プログラムの修士論文題目はweb上で見つけられませんでしたが、他プログラムや他大学のものがweb上に公開されていたりするので、目を通してみると良いと参考になると思います。

自分の目の前で起きている課題を、ミクロとマクロ、具体と抽象を行ったり来たりしながら「なにを明らかにしたいのか」を突き詰めることで、MBAで学ぶ意味が明確になっていくと思います。大学側から見ても「社会のためにこの人材を育てる」意味が見出しやすくなるのではないでしょうか。一橋のMBAのミッションは「Captains of industryを育てる」ですからね。

2. 2 なぜ一橋?

「大学ごとの違いがよくわからないのですが、なぜ一橋にしたのですか?」と聞かれることもよくあります。あと研究計画書にも書く必要があります。

まず、そもそもなぜ一橋を選んだのか。

「金融戦略」「ホスピタリティマネジメント」「事業承継」など明確な目的が決まっている人は、それに合うプログラムがある大学に行けば問題ないと思うのですが、ぶっちゃけそうでもない人が多いですよね。とにかくMBAで経営学を学びたい。私もそうでした。

ちなみに、一橋の夜間コースには「金融戦略・経営財務プログラム」「ホスピタリティ・マネジメント」のプログラムがあります。早稲田には「事業承継者対象の入試(とプログラム)」があるようです。

自身の希望がそのようなプログラムに該当せず、シンプルにMBAに行きたい人にとって、主なところで違いをいうと「学び方の違い」「教員の違い」「学生の違い」があると思います。それからそれが創り出す「雰囲気」。

ちなみに、私が通ったことある大学院は、グロービスの単科(3ヶ月だけですが笑)と一橋(まだ3ヶ月ですが笑)のみなので、あとの大学は説明会やまた聞きの一般的な情報のみであることには注意してください。ただ、グロービスと一橋は対極的な存在な気がするので比較としてはおもしろいと思います。他大はこの2校を対極に位置づけて、間のどこかにプロットできる気がします。

第一に「学び方の違い」について。
よく「実践」寄りか「アカデミック」寄りか、なんて言われますが、早慶・青学・グロービスあたりの学生同士の議論中心に進めていく大学は「実践」寄り、一橋は(たぶん都立大・筑波あたりも)、読書量やレポート執筆が多いこと、修論のゼミが少人数制であることから「アカデミック」寄りと言われたりします。実際、一橋の授業は、読むことによるインプットと書くことによるアウトプットに相当力を入れていると感じます。一方、グロービスだと6人程度1組でのケースディスカッションを通じたアウトプット中心に授業が進みます。数ページのケースを読み込んで、授業中に発言したり授業で議論することに重きがあった気がします。
これは本当に好みの世界だと思います。私はじっくり考えて書きながらアウトプットすることが好きなので、ケース中心の授業よりも課題中心の一橋の方が合ってるなと感じています。

第二に「教員の違い」について。
これも「実践」寄りか「アカデミック」寄りかを分ける要素だと思いますが、早慶・青学・グロービスあたりは実務家教員が多く、一橋は研究者が多い(印象)です。実際、学者の先生と実務家の先生の授業は毛色が全く違います(先生によるところも多分にあると思いますが)。私はどちらもおもしろく勉強になると感じるので両方いる一橋でよかったなと思っています。
ちなみに、日本のMBAを志望する方で◯◯先生の元で学びたいからこの大学を選ぶ、というのはあまり聞いたことないですね。
私が聞いたことある話だと、立教の中原先生のもとで組織論を学びたい、早稲田の入山先生のもとでイノベーションを学びたい、一橋(金融戦略・経営財務プログラム)の伊藤先生のもとで学びたい、というのは聞いたことがあります。こと経営分析の受験だけを考えると「この先生に師事したい」というところまで検討の必要はないように思います。

第三に「学生の違い」について。
まず経営分析について紹介するとこんな感じ。

受験生の方へ(一橋大学HP):https://www.ma.hub.hit-u.ac.jp/examinee/

同期は50人弱いて、社会人は15人ほど。社会人は大企業や官庁からの派遣がほとんどで、一般受験をして入ってくる変わり者の(?)社会人は自分含めて3人しかいない。新卒は多大から進学してきた人が10人弱で、5年一貫生含む一橋生が10人ちょっと。留学生10人程度。
属性は、社会人は大企業の幹部候補生が多く、新卒はコンサル・シンクタンク・金融系に就職する(あるいは志望する)人が多い印象です。私のような人間は、超マイノリティ。紛れ込めたことに感謝ですね。

一方で、グロービスは、大企業から自営業までとにかく多様な人がいました。1学年1,000人ほどいますからね。早稲田や青学なんかもとても多様なバックグラウンドの人がいると聞いています。

私は大人数が苦手なので、少ない友達とひっそりと深く学びながら学生生活を送れる環境は合っていると思っています(笑)また、将来世界銀行や日本銀行で働きたいと考える新卒生や大企業の社長になることを目指す同世代の企業派遣生など、大きな何かを動かそうとする志高い仲間に出会えたことはとても刺激になっています。特に、少ない同世代と大きな志を持って深い付き合いができる機会は本当に貴重です。10年後、20年後、彼らと再会したときに誇れる自分であるためにがんばろうと思わされます。あと、キャリアアップを目指す留学生とも関われることで、グローバルに物事を考えることをふとした瞬間に思い出させてくれるのも楽しい。

一方で、「事業承継」について日中のコースで学びたいと考えている方なんかは、経営分析プログラムよりも早稲田の事業承継など、同じ志の仲間がいる環境に行った方が良いのではないかな、と思います。「人脈」に重きを置く人はやはり人数が多く、多様なバックグラウンドの人がいる大学の方が良いでしょう。

あとは雰囲気ですね。説明会に出るとかなり雰囲気の違いを感じるので、自分がここで過ごしたいと感じられるかどうかも重要な要素だと思います。私はシンプルに国立(のキャンパス)にめちゃくちゃ惹かれました。都会から離れて、一歩自分を俯瞰できる環境に身を置きたいと思ったのです。実際入学してみて、新たな知による刺激と将来を俯瞰する余裕が与えられている感じがしています。そんなこと?と思われるかもしれないけど、その環境にいったときに心が躍るかどうかって重要なんじゃないかなって思います。全然関係ないですが、一見合理的じゃなくても「自分の感覚」を大事にして生きたいですね。

では、経営分析受験する場合、研究計画書や面接で「一橋を志望する理由」をどう答えたら良いか。

私は将来計画書の中では、

また、貴院の理論と現実の往復運動を重視する方針や「読み、書き、考える」ための能力向上を図るカリキュラムは、経営者として理論を現場に活かしながら学びたい私にとって最適な環境であると考えている。

と一見当たり障りのないことを書きました。限られた文字数なので、経営分析のHPに書いてあるような内容になっちゃってますね。
大事なことは、この一つひとつの言葉の意味を自分ごととして語れるかどうかだと思います。なぜ自分にとって、理論と現実の往復運動を重視する方針が重要なのか、なぜ「読み、書き、考える」ための能力向上を図る必要があるのか、これらについて強い想いを持って語れるかどうか。また、全体の文脈から、この人がこれらを本当に大事だと思っていることを感じられることが重要になると思います。

書類には当たり障りない言葉になってしまうけど、面接ではこれらの言葉に自分なりの意味を載せて語れることが重要だと思います。同じこと言っていたとしても、滲み出る説得力が大事だと思うんですよね。

ちなみに面接では一橋大学を志望する理由をさらっと述べました。
①ミッションに共感(Captains of indusryにおれはなる!)②理論と現実の往復運動を実践したい(全力で勉強して、全力で仕事します!)③ 国立のキャンパスで学びたい(この環境にめちゃくちゃワクワクしています!)的な感じ。大したこと言ってないので、ぶっちゃけ評価点というよりは熱量をたしかめる感じかなと思ったりします。

おわりに

ということで前編終了。ここ最近毎日仕事帰りの電車でコツコツ書いてたのですが、だいぶ時間がかかってしまい、出願直前になってしまいました。読んでくださっている志望者の方、すいません。出願が来週だと思います。精一杯がんばってください!

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