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2023年読んだ本

いろいろ忙しい一年でしたが、今年も例年通りくらいのペースで本に触れることができました。

小説、教養、ビジネス書系で106冊

小説・教養系

技術書系は24冊(うち通読18冊)

技術書系

で、特に印象に残った本についてジャンル別に紹介します。

技術書

Linuxのしくみ

Linux関連の書籍はキャリアを通じてそこそこ触ってきた方だと思いますが、改めて内部動作を復習しようと思って手に取ってみました。
内容の読みやすさに加え、サンプルコードも豊富で、一気に読み進めることができました。
クラウド時代とはいえ、Linuxの仕組みを知っておくことは障害時やパフォーマンスチューニング時など何かと役に立つので全エンジニアにおすすめです。

Terraform: Up & Running; Writing Infrastructure As Code

今年になってまたTerraformをがっつり触るようになってきたので原著を通読してみたのですが、最近和訳本出ましたね・・。
基本的なTerraformの使い方に加え、IaCとしてのロジック実装方法やProductionレベルのコードについての章などもあり、中級者以上でも勉強になることが多い本だと思います。

ChatGPT/LangChainによるチャットシステム構築[実践]入門

大LLM時代、実際にChatGPT触ってみるだけでなく、LangChainを使って実践的なLLMアプリケーションを実装して見るところまで網羅されており、今読むべき本(来年になると遅いかもしれない)としてピックアップします。
書評は別で書いていたのでそちらもぜひ。

ビジネス書

Who You Are

組織にカルチャーを醸成していくためにリーダーに求められる立ち居振る舞いを、ビジネス書で触れられることはおおよそないであろう人々(チンギス・ハンから囚人まで)の事例を元に紐解いた本です。
書いている内容は他の書籍でも触れられることがあるようなものが多い(貞観政要とか通ずる部分が多かった)ですが、優れたリーダーは歴史やビジネスの表舞台以外にもたくさんいたという学びも含めて面白い本でした。

GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた

ついさっき読み終わり、今年のトップ書籍ランキング(自分調べ)に躍り出てきました。
リモート組織を作るかどうかによらず、いい組織を作るための実践的なナレッジが学術的な理論に裏付けられて網羅的に紹介されており、年明けすぐにでも実践提案したい話のオンパレードでした。

教養

教育格差

マイケル・サンデルの「実力も運のうち」読んだ時も衝撃を受けましたが、類似の内容を教育格差に特化して、研究データから紐解いていった本です。
生まれながらに埋めようもない格差が広がっていて、教育の機会、そこからの人生の選択肢も、統計的には生まれや幼少時代の環境に強く依存するという現実は目を背けていてはいけないな、と感じました。

ただしさに殺されないために~声なき者への社会論

本屋でタイトル買いし、すごく良かったので会社の読書クラブで読書会もしました。
特に第1章のグローバルな人権のスタンダードの脆弱性に関するテーマはあまりにも衝撃的で、自分の見識の狭さを詳らかにされ、ダイバーシティ、人生選択の自由、あらゆる当たり前が本当に人類のためになるのかについて改めて考えさせられます。

エッセイ

目の見えない白鳥さんとアートを見にいく

普段あまりエッセイは読まないのですが、この本は今年読んだあらゆる本の中で最も好きな本でした。
まずタイトルが秀逸で、書店で出会って即購入。「盲目の人がアートを鑑賞するってどういうことだろう?」という疑問から読み始め、登場人物(エッセイなので当然実在の方々)の魅力に引き込まれ、一気に読み通してしまいました。
アートに触れることもあまりないのですが、これを機にアートに触れる機会も作っていきたいな、と思える、あたたかい本でした。

小説(ミステリ以外)

孔丘 上 / 下

孔丘(孔子)の人生について、現存する書物や筆者の方の解釈を交えながら小説仕立てで紹介された本です。
孔子といえば、どうしても現代では神格化され、完全無欠なエピソードをビジネス書で触れたりするくらいのものですが、おそらくは人間的な不完全さも多く備えていたであろう一面が身近に感じさせ、その中でも教育に対する熱意は人一倍で、この時代において民衆に礼を教えて回るという難しさを傍で見ていられるような読書体験が得られました。

蜜蜂と遠雷

ピアノコンクールを題材に、複数人の天才、それも本当の天才型から努力の天才まで、いろんな人の視点で、猟奇の世界で戦っている人々を描いた群像劇です。2017年に直木賞と本屋大賞ダブル受賞で話題になってましたが、今更ながら手に取ることができました。
人物描写の繊細さは言うまでもないのですが、この本がすごいと思ったのは音楽描写の美しさで、ピアノコンクールの臨場感を小説でここまで表現できるのか、というところに驚愕しました。

小説(ミステリ)

方舟

今年のミステリはもうこれです。
何かを書くとネタバレ踏んでしまいそうであまり内容には触れられないですが、ラストの衝撃はいまだに鮮明に覚えています。
これ読んだら、そのまま夕木春央さんの「十戒」を続きで読むことをお勧めします。

世界でいちばん透きとおった物語

これもやばかったですねー
通勤の帰宅中に電車で読んでたとき、最寄駅に着いた時にちょうどこの本の佳境に差し掛かってて、電車を降りずに意図的に乗り過ごしてそのまま続き読むという意思決定をしたくらいの衝撃がありました。
このレベルのギミック本に出会えることはなかなかないんだろうな・・

文学少女対数学少女

ミステリを書く文学少女がいて、彼女の作品のロジックを天才数学少女に検算してもらうという変わった構成の本でした。
フェルマーの最終定理に絡めたミステリなど、数学ネタも散りばめられていて面白いなーくらいのテンションで読んでいたのですが、終盤に小さな違和感があって、最後までそれが回収されず、これはどう解釈すればいいのか・・?と考え始めると止まらなくなり、一つの可能性に思い当たるとゾッとする結末が待っていました。


ちょっとミステリは今年も豊作すぎてこれ以上紹介すると筆が止まらなくなるので泣く泣く3冊で手を止めます。

来年もたくさんのいい本に出会えますように(まず積読がまだまだ大量にあるのでちょっとずつ消化していかないと・・)


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